君と彼女と彼女の恋。 その6(シナリオ考察・まとめ)

シナリオ

ギャルゲープレイヤーには、二種類いる。
「自分と主人公を同一視できる人間」と「自分と主人公を別個の存在と認識する人間」だ。
私は後者だ。

私にとって、ギャルゲーなんて所詮イケメンリア充のハーレム日記でしかなかった。
いくらヒロインルートに入ろうと、彼女たちが好きなのはいつだって「主人公」であり、決して「私」ではなかったのだから。

アオイと美雪、どちらを選ぶか?
上記の観点で見ると、これは「どちらのヒロインルートに入るか」という単なる選択を超越した意味を持ちはじめる。
大げさに言ってしまえば、ギャルゲーマーとしての私たちの存在についての問いだからだ。

アオイは、画面のこちらの「君」に恋をしていた。
アオイを選ぶということは、画面の向こうの「彼女」と、画面のこちらの「君」が結ばれるということ。
今までは「主人公=自分」だと思わなければ実らなかったはずの「君と彼女の恋」が、成就するということだ。

美雪は、主人公である「彼」に恋をしていた。
美雪を選ぶということは、画面の向こうの「彼女」と、画面の向こうの「彼」が結ばれるということ。
「主人公≠自分」だという現実を受け入れ、「彼と彼女の恋」を応援するということだ。

つまり、この選択肢はギャルゲーマーとしての私たちの、これからのギャルゲーへの向き合い方を問うているのだ。

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私は、美雪を選んだ。
私は心から美雪が好きで、だから好きな女の子を幸せにしたいと思った。

本当は、ずっと彼女の世界に監禁され続けたかった。
でもそれは間違ったことだし、彼女の本当の幸せは、私と結ばれることじゃなかった。

元に戻った世界で、消えてしまった「君」ともう一人の「彼女」は、世界の外側から二人を応援することしかできない。
美雪ルートにおける「君と彼女の恋」は、失恋に終わるのだ。

ちなみに、アオイを選んだとき。
アップデートされた世界で、画面の向こうの「君」に恋をするという「バグ」を起こした彼女は、元に戻ってしまった世界には存在できない。
それでも、これまで攻略したすべてのヒロインは彼女であり、これから攻略するすべてのヒロインが彼女なのだ。
「君と彼女の恋」は実り、エピローグはどこまでも続く。
「君」がギャルゲーマーである限り、永遠に。

テキスト

文句なし。
センスもあるし、文章力もすばらしい。
スマガの時にはぜんぜん思わなかったけど、やっぱり下倉バイオってスゴい人なんですね! アザナエルもやります!!

個人的には、バッドエンドのときのエピローグがポイント高い。
選択肢ミスって30秒でタイトル画面に戻っちゃうようなゲームも多いなか、長いエピローグで空気感を大切にしてくれる感じね。
自分の選んだ未来に、じっくりひたることができちゃいますね。

グラフィック

独特の雰囲気。
水彩絵具か色鉛筆で着色したようなほんわかまったりした色彩は、なんだかとても落ち着きます。

しかし、津路参汰の絵は、ちょっと人を選ぶかもしれない。
かわいいとは思うんだけど、初めてアオイちゃんをみたとき、そに子かな? ってなったからね。

声優

こちらもナイスキャスティング。
特に、ハルちゃん役の桐谷華ね。
これが他の人だったら、私はハルちゃんを許せなかったかもしれない! かわいいは正義!

音楽

ニトロはいつも曲がすばらしいんだなぁ。
OPのタイミングも完璧。もうあそこしかないよね!
そして、クリア後のOPムービーは、涙なしでは見られない。

システム

神。
「アドベンチャーゲームってなんなの?」と人に聞かれたとき、「挿絵付きの小説みたいなものかな。紙芝居のPC版だよ」と答えていた私ですが、これはもはや紙芝居とかそういう次元を超越している。

作品の世界観に読者を没入させるのは、基本的にはシナリオライターの文章力(あるいは構成力)にかかっている。
しかしこのゲームは、私たちプレイヤーが触れるすべての要素で、世界観を伝えようとしてくる。

世界が美雪に書き換えられた瞬間、「は? え、どういうこと? ちょ……マジなの?」って一人でずっと言ってたからね。
インターフェースがアレになっちゃって、とりあえずクセで右クリックしたとき「うぉっ!?」って叫んだ。
そして、一通り満足するまで美雪に監禁されて、いったんゲームを終了しようとしたときの、あのバグったような演出。
マジで「ひぃっ!?」って悲鳴を上げた気がするよ……。

総評

超上級者向けギャルゲー。
最低でも50本はギャルゲーをプレイしてから、このゲームをはじめたい。

私たちは、二次元の女の子と仲良くなりたいと思いながら、ゲームをしたりアニメを見たりする。
このブログは、そういった「画面の向こうの女の子との恋愛」を、私の触れた様々な作品を通して紹介するスペースである。
その「二次元に恋をする108の方法」その1となったのが、今作「君と彼女と彼女の恋。」だ。
7作目の神作・★5評価です。

ギャルゲーなんて、所詮リア充のハーレム日記でしかない――
今までは、自虐交じりにそう言っていた。
けれど、美雪ルートを選んだ私は、これからは胸を張って言うのだ。
これからもリア充の日記を読みつづけること、そして二次元の女の子たちの幸せを祈ることを。
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ゲーム [★★★★★]
君と彼女と彼女の恋。

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