Maggot baits グランドエンド

トゥルーっぽいエンディングを迎えてシナリオ進行度が100%になったので、ゲームクリア。
記事のタイトルはグランドエンドにしたけれど、ここではシナリオ面でのキーパーソン・無名の魔女ちゃんにスポットを当てて、この作品を振り返ってみます。

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「この世界には愛というものがない。ゴルゴダの丘でこの世すべてに向けられた、ナザレのイエスという男の絶望に覆われたことによって」
「これは、その二千年に渡る呪詛を解こうという壮大な大秘儀なのよ。どうしようもなく残酷で不完全な世界を、この私が糺してやるの」


当代唯一の魔女である、CV:御苑生メイな無名の魔女ちゃん(かわいい)――略してメイちゃん(かわいい)は、この間違った世界を変えようとしていた。

この世界はマジでクソであふれたゴミ溜めだ。
それをメイちゃんは、裏切りによる絶望を抱いて死んだ男が、この世で最も強い神になってしまったせいなのだと言う。
だから、メイちゃんはキリストがこの二千年間で集めた絶望を上回る量の絶望をその身に貯めこむことで、新しい神――新しい世界の法則になろうとした。

まずメイちゃんは、26人の女の子の生贄を用意して、それから5000人の異常性欲者を用意して、考えうる限り最悪の方法で女の子をなぶり殺しにした。
次にメイちゃんの魔術で、女の子たちの魂は「不死身の魔女」に、5000人の魂は「妖蛆」へと生まれ変えられた。
そして26の魂は、関東邪法街という閉じた輪廻の中で、延々と恐怖・絶望・苦痛を味わい続ける。
何十億という人間が二千年間貯めこんだそれを上回るまで。
それが、メイちゃんの成そうとしたアルス・マグナなのだ。

「そして私が、すべての人間を救ってみせるわ。愛をあげる。平和をあげる。人類を争いも貧困もない完璧な世界へ誘う、真の救世主になるのよ!」


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ノーマルエンドでは、メイちゃんのアルス・マグナは達成される。
世界はメイちゃんのアガペーに包まれ、争いのない平和な世界が訪れるのだ。

しかし、キャロルだけは救われなかった。
不完全だった世界で、彼女は希望を見つけてしまったからだ。
それが大きければ大きいほど、絶望の淵は深くなる。

いや、たぶん救われなかったのは26人の女の子と、5000人の男たちなのだ。
ナイフで女の子のお腹を刺しながらエッチしちゃう男も救われるのが、メイちゃんの望んだ世界のはず。
けれど、魔術の生け贄になった彼ら彼女らは、救われることがない。

大多数のために少数が切り捨てられる世界って、やっぱり今の世界とあんまり変わらないよね?
知らない人10人と知ってる人1人を殺すの、どっちがいい? みたいな、そんなお話。

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グランドエンドでは、メイちゃんの野望が達成されることはない。
それは、キャロルが主人公に殺されたことが、絶望ではなかったから。
そして、メイちゃんを50年間一途に思っていた男が、己の愛を貫くことに決めたから。

主人公とキャロルの顛末については、こっちのまとめ記事のシナリオ評価のところに書くことにします。
そして、至門に裏切られたメイちゃんには、このセリフを贈ろう。
ねえ、自分で言ったことだよ?

「行為に意味を与えるものは、ひとえにこめられた質量だけよ。意味不明で無価値な愚行だろうと、貫く力がそこに意味を与える……与えてしまうの」
「逆もそう。どれだけ意義深く崇高だろうと、貫けなければ無意味の屑に終わるわ。復讐だろうと愛だろうと、価値を持つのは正しい理由とやらじゃない。個人が秘めたその質量……それだけなのよ」


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しかし、私にはメイちゃんの理想が、そう間違っているとも言えない気がするのだ。
いやまぁ26人の女の子たちからしたら、もう冗談じゃない話なんですけどね?
でも、メイちゃんの野望は、一欠片の私欲もない、本当の人類愛だった。
ちょっとの見栄はあったかもだけどさ、それでも心から正しい世界を望んでいたと思うんだ。

それは、愛と欲望の板挟みで息もできない至門とのやりとりからでもわかる。
この凛々しさには本当に惚れ惚れしてしまうよ。私、こういう女の子が大好きなんです!

「ただ師匠……あんた今まで何百年と生きてきて、人を愛したことはあるのかい?」
「馬鹿な質問ね。私は全人類を愛するわ。イエスごときの女々しい男にできて、私にできない訳がないでしょうに」
「なら……誰かに愛されたことは?」
「おまえ、どこまで愚かで低能なの? 愛というのは与えるものであって、乞食のように恵んでもらうものなんかじゃないわ」

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