サクラノ詩 ―櫻の森の上を舞う― A Nice Derangement of Epitaphs(雫ルート)

サクラノ詩、4周目のヒロインは、無口無表情系不思議っ娘・夏目雫ルート。
CVは、早瀬ゃょぃこと早瀬弥生。あまり知らない人。
棒読み演技は雫のキャラによく合っていたような気がします。

雫ルートは「葛が雫になる話」「葛と稟の千年桜」「葛と吹と雫」の三本立て。
メインは、伯奇という心を持たない存在だった少女が、一人の心優しい少女として絆を大切にしようとするストーリー。
「墓銘碑の素晴らしき混乱」と名付けられたこの章において主にスポットが当たるのは過去回想で、現在の時間軸の主人公は「雫から告白されて付き合いはじめる」「エッチする」「エッチする」「エッチする」「吹の話を聞く」くらいしかしてない。

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里奈ルートの夢のお話だった「中村義貞と伯奇」のお話が、時を超えて現代の雫に結びついていたとは、「その発想はなかった」というやつだった。
おぉ、そうくるか!? って叫んだ気がする。

中村家において雫の身代金の額としての15億円というのが、ちょっと安くない? と思わなくもないけれど、例えば「オランピア」の時価が4.5億円だというのだから、一人の画家が生涯に稼げる額としてはかなり高く見積もられているのかもしれない。
実際、草薙父は9億円くらいにしか届かなかったらしいしね。

その足りなかった6億円の稼ぎ方が、まぁ見事という他ない。
実際にどんな絵だったのかも気になるところではあるけれど、それよりも「直哉が健一郎の署名と落款をもらうシーン」は、たぶんこのゲームで一二を争う名場面に違いないよ。
ついでに、世界のワタール・アッカシのポイントが急上昇です。

贋作の話、思い起こせば今までちょいちょい出てきてたね。
名前忘れちゃったけど、あのサイコパス入ったストーカーの女の子。気づいてたよね? どうして?

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稟が千年桜を咲かせるお話については……ごめんなさい、ちょっとよくわかりませんでした。
あの子はいったい何をしていたの?

千年桜は、想いに共鳴して花を咲かせ、願いを叶える奇跡を起こす。
稟は、死者の復活――すなわち稟ルートで語られていた、(自分の過失で引き起こされたと稟が信じている)火災で死んだ母親を生き返らせようとしていた。
人形を母親に見立てていたのは、自分をも騙そうとする稟の演技。
想いの強さが奇跡を起こすことを、彼女は知っていたのだ。

創作の才能と言うよりもイメージを具現化する特殊能力と呼んだほうが適切なほどの稟の画力によって、千年桜は咲いて奇跡は起こりかける。
しかしそれを阻止するのが、伯奇として覚醒した雫。
雫は稟の夢を呑み、起こるはずだった奇跡は幻と消える。
稟は夢と記憶と才能を失い、雫は中村家から追われるようになるのだった。

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吹は、雫の飲んだ稟のナカミが具現化した形だという。
なるほど、お母さんへの想いであって、お母さんとは違ったんだ。

吹という存在は「因果交流電燈のひとつの青い照明」の最たるものなのだろう。
SWAN SONGでいうところの八坂あろえ、ゴア・スクリーミング・ショウでいうところのユカだね。
作品のテーマが具現化した、いわばマスコット的存在という感じかな。

人は一人では存在できない。
自分がいて他人がいるからこそ、その関係性の中に自分を見つけることができる。
関係がなければ、存在が認識できない。交流があるからこそ、存在が灯る。
そして吹という存在は、稟のなかで生まれ、雫が産み出し、直哉が電気を通すことで、ようやく存在が明らかになる。
本当に因果が交流しなければ灯らなかった電燈なのだ。
心、その繋がり――絆の尊さがテーマのシナリオは、そうして因果交流電燈を灯し続けることを誓ってエンディングを迎えるのだった。

「ねーねー、だったら琴子お婆さまの心はどこにあるの?」
「そりゃ、雫の中にあるんだよ」
「わ、私の中に? え? んじゃ……私の心は?」
「雫の心は私の中にあるのさ。そして、もちろん雫の中にもあるんだよ」

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