涼宮ハルヒの消失 まとめ

長門有希の恋物語。

ハルヒの力を使い、世界が再構築される話。
犯人は、本人曰く、溜まったエラーデータのせいで暴走を起こした有希。
その世界では、SOS団は存在せず、またその記憶も持たず、全員ごく普通の一般人になっている。
キョンだけが以前の記憶を持ち続けている。
キョンは再構築する前の有希からのメッセージを頼りに、緊急脱出プログラムを使い、元の世界に戻ってくる。

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有希が暴走を起こしたのは、感情を得た有希が「疲れた」と思ったからだとキョンは言う。
ハルヒに振り回され、尻拭いをし続け、さらにその状況に周囲が慣れ、皆が自分を頼り続ける環境は、それは疲れるだろう。
しかし、それだけが原因でないのは間違いない。

再構築後の世界の有希は、明らかにキョンを慕っている。
見られただけで耳まで真っ赤だし。
それが、有希のしたかったことだったのだろう。

27、28話辺りで語られたように、有希は感情を手に入れている。
そしてそれは恋に近いものに見える。
ハルヒがキョンに恋心を抱いているのは、有希も知っているだろう。
さらに自分の役割が観察であり続ける限り、その恋が実ることはない。
いわば禁断の恋であり、抱いてはいけない感情だった。

それに耐えきれなくなった有希は、自分が望むように世界に改変し、そこに在りたい自分を置いた。
キョンに自然に恋ができる世界、そしてキョンのことが好きな自分を。

キョンの記憶だけをそのままにしたのは、自分の想いを受け入れてくれるかどうか知りたかったから。
それが、入部届と緊急脱出プログラムの二択。
しかも、SOS団を再び集めるくらいハルヒや他の皆のことを好きでなかったら、その選択すらさせてもらえないという、かなり強い想い。
世界を改変している有希は、愛を語っているようにさえ見えるね。

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その二択に直面したキョンは、日常と非日常を天秤にかける。
有希と過ごす受動的で平凡な日常か、SOS団と過ごす能動的で刺激のある非日常か。
自分は、本当はどちらを望んでいるのか、どちらが楽しかったのか。
そして、キョンは後者を選択し、これからは自分も主体的にハルヒのしたいことに参加することを決意する。

戻ってきた後、キョンは有希に言う。
そこまでしないと自分のしたいことさえできないことに気付けなくて、悪かった。
そのままのおまえが好きだし、SOS団のかけがえのない仲間だ。
おまえがいなくなっても、ハルヒと同じようになんとしてでも探してやる、守ってやる、と。

それを聞いた有希は、目を少しだけ潤ませて「ありがとう」と言う。
告白は受け入れてもらえなかった。
けれど、自分はありのままでいい、どんな気持ちを抱いていてもそれでいいんだ、そう赦してもらえるだけでどんなに救われたことだろうか。

屋上の邂逅は、とても綺麗なシーンだ。

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涼宮ハルヒシリーズは、いつでもキョン主観で物語が進み、他の人物の心理はほとんど行動でしか語られない。
さらに長門有希はあの通り、無口で表情も行動もほとんど変わらない。
そんな有希の内面、感情を得た有希の気持ちを、とことん突き詰めた話。

3年前の七夕、キョンに噛み付く有希の目は、感情がない宇宙人なんかじゃない。
自分の愛を受け入れてくれないことを知りつつも、想い人の願いを献身的に叶えようとする、泣くのを必死で堪えてるただの女の子の目だ。

また、キョンのこれからのハルヒ及びSOS団への姿勢の転換点でもある。
ラノベ主人公らしからぬ、能動的に物事を選択してゆくようになるはず。
幸せとは、近くにありすぎると気付かないものなのだね。

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160分と、かなり長い。
TV版にしたら丸8話分。
もう少し短く作ってくれてもよかった気がする。

それでも、映画だけあってクオリティは極上。
普通の女の子な有希はとても可愛い。
いつもの有希も可愛いけどね!

TV版を観た上での評価、★5です。
これだけで観ると長すぎて退屈するかも。
観るなら最低でも、射手座の日、サムデイ イン ザ レインだけは復習してからがオススメ。
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