刃鳴散らす 1周目

時は現代。
剣戟と血糊に染められた元帝都・東京を舞台として、その刀を復讐の焔で焦がす青年と、その刀こそを己の存在そのものとした青年が交差する、本格剣劇浪漫ADV「刃鳴散らす」。

和風時代劇なエロゲー枠候補に入れていた今作をたまたま掘り起こしてしまったので、プレイしてみた。
ニトロプラスから2005年に発売された、そろそろレトロ枠に入ってもおかしくないゲーム。
だが、いいものは色褪せない――とでも言うのだろうか、一周目をプレイし終えた現在、控えめに言って、今までプレイしていなかった自分の愚かさにヘソを噛んでしまいたいくらいには面白い。

ちなみに、戦国時代や三国志をモチーフとしていない時代劇エロゲー枠には、和風サイコミステリィADV「カルタグラ」、大正伝奇ADV「月陽炎」なんかがありますよ。

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現在回収しているのは、弓エンド、一輪エンド、伊烏エンド。

とりあえず、伊烏ルートに入るまでは武田赤音とかいうサイコパスには早く死んでほしかったのに、三十鈴との過去が出た途端、すべての評価が180度変わってしまった。
めっちゃ応援したのに死んでしまって、でもそれも運命のように思えて、なんだかとてもやるせない。

そう思って見ると、弓エンドがものすごいハッピーエンドに思えて仕方がない。
僕っ娘はNGだけど、弓の一途さには惹かれるものがあるし、そしてなにより、伊烏と戦うためだけに生きてきたはずの赤音が、弓のために生きようと剣を取るのは、まるでかつて失ったなにかを取り戻したかのよう。

赤音が失ったのは、たぶん純粋さなのだ。
道場に入り、伊烏に憧れ、技を磨き、正々堂々と試合をしたい――
己を磨いて高みを目指したいという少年らしい純粋な思いは、しかし三十鈴の利己的な裏切りによって粉々に打ち砕かれる。
自分を殺された赤音に、残ったものは強さを秘めた剣のみ。
ならば、かつて失ったものを取り返す道は、もはや一つしかないのだ。

赤音に使い捨てられた瀧川の大隊長が言っていた、「利己的に生きているのに、己がない」「一つの想いだけを己に投影し、己とみなしている」というのは、まさにそれ。
そして、その想いが遂げられた時、もはや彼が生きている意味すらも残っていなかった。

一輪エンドでは、失ったものを彼女のなにかで埋めて、違う道を歩みはじめる。
詳しくは描写されなかったけれど、その「なにか」というのは、多分一輪の母性愛のようなものなんじゃないのかな。
最も人死が少ないエンドであり、最も優しい終わり方でもある。
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