四月は君の嘘 7~9話

7話 カゲささやく

「君は誰だい? 君はどこにいるんだい? さあ――旅の準備はできたかい?」


コンクール前夜。
音楽に自分を表現することを強いられ、自分自身を見つめなおす公生。
ずっと母親に言われるがままにピアノを引き続けてきた彼にとって、手をのばそうとも求める答えは見つからない。
あるとするならば、たった一つ――

「キミはキミだよ。キミらしく――なんて曖昧なものじゃない。なにやったって、変わったって関係ない。
 キミは、どうせキミだよ」


自分は自分にしかなれない。
その自分が、どうしてピアノに向かおうとするのか?
――弾きたいからだ。
とどのつまり、答えはそれしかないのだ。

8話 響け

コンクール前編、公生のライバル・相座武士と井川絵見回。

二人とも幼少の公生を見て、ピアノに向かってきた。
相座武士は、公生に勝つため。井川絵見は、公生を否定するため。
ライバルという意味では、二人は似ている。

相座は、常にコンクールで自分の上に立ち続けていた公生に勝つことで、自分の成長を実証する。
清く正しいライバルであり、敵は常に今の公生だ。

けれど絵見は違う。
絵見は、初めてピアノを演奏した頃の公生に憧れていた。
あの頃の彼のように、人を感動させる音楽を奏でたい――その憧れを持ち続けてここまできた。
だからこそ「コンクールのために」弾く公生を、その舞台で下さなければならない。
それこそが、自分の歩んできた道が正しかったことを証明する、唯一の方法なのだから。
彼女の敵は過去の公生であり、その彼に憧れた自分自身なのだ。

9話 共鳴

コンクール中編、有馬公生の過去回。

公生は、単に母親の操り人形としてピアノを弾き続けていたわけではなかった。
ただひたすら、母親に喜んでほしかっただけ。
努力のみならず、その想いすら否定されたとき――

それは舞台に立つのが恐いのに似ているかもしれない。
自分の努力が、歩んできた道が、存在そのものが、全否定されてしまうかもしれない。
その舞台で、公生は自分自身を否定してしまったのだ。
母親のためにピアノを弾く自分がいなくなったとき、残されたものはなにもない。

いくら自分や他人のためにピアノを弾こうとしても、その礎となるものを築き上げたのは、母親で違いない。
それを使おうとする限り、母親の呪いは解けやしないのだ。
関連記事
category
アニメ [★★★☆☆]
四月は君の嘘

Comment

Trackback

http://otabes.blog.fc2.com/tb.php/797-586ba93f