ゴア・スクリーミング・ショウ まとめ

――世界が憎い、と少女は笑う。
憎しみ、絶望、嫉妬、殺意、悲観、同情、固執、不安……。
闇に閉ざされた世界のただ中で、少女はつぶやく。
幸せになりたい――


シナリオ

ゴア・スクリーミング・ショウ!
まず、このタイトルがすばらしいね。なかなか考えつくものではない。

企画・原作は「上田メタヲ」。
屍メイドちゃんと鬼畜なご主人様」の原画担当の人。
陵辱、触手、解体など(あと、デスメタルも)上田メタヲの世界観が果てしなく広がっている。

まず目に付くのは、そういったグロテスクな展開の数々。
人間のあらゆる負の感情を凝縮したヒロイン・ユカと、それらを一欠片ずつ持つあかね、葵、希衣佳。
ユカはゴアという破壊願望を駆使し、汚い世界を浄化していく。

皮膚は偉大な防臭剤。
希衣佳のバッドかな? 誰かがそう言っていたよね。たしかにその通りだ。
だからバットエンドではいつも、ヒロインたちの隠された汚い部分を暴くかのように、皮膚を剥き、内臓をさらけ出すものになる。

しかし、そういったユカの憎しみは、ヒロインたちに向けられているようでいて、世界すべて――ひいては、その世界を持つ自分へと向かっている。

「時が止ったから」
「だからユカは、世界がずっと憎い。何もかも嫌い。お腹が空いて、痛くて、寂しくて、寒くて、気持ちが悪くて」
「――そして一番、ユカはユカのことが嫌い。ずっと汚いままだもの」


井戸に閉じ込められたユカは、自らの負の感情と向き合い、初潮を迎え――
――しかし、大人になることを拒絶した。
自分が汚れているのは仕方がない。
けれど、自分が汚れていることにすら気づかず、のうのうと生きている人間が憎くて仕方がなかった。

そんな少女を受け容れてくれた唯一の存在が、幼少期の主人公。
彼こそが、ユカにとってただ一つの光で、希望だった。
その希望のともしびが燃えはじめ、止まった時が動き出すと、ユカはようやく自らの呪縛から解き放たれる。

このゲームは、少女が大人になる過程を描いたものなのだ。

個別ルート別評価
  ユカ > あかね > 希衣佳 > 葵 ≧ 闇子

ユカルートは、いかんせんトゥルーのオーラスがきれいにまとまりすぎている。
あれはずるいよ。高評価をつけざるを得ない。

あかねルートは、ビッチあかねちゃんがかわいすぎてヤバイ。
しっかり者な幼馴染みのあかねちゃんが狂気に染まると、世界が途端に非日常化してきて、ものすごく不安になる。
そういった危うい均衡が演出されていて、楽しいルートだったな。
あと、井戸に閉じ込められてからの脱出シーンのサスペンス具合もなかなか。

希衣佳と葵ルートは、やや押しが弱い印象。
楽しいは楽しいけれど、あかねルートに比べたら見劣りしてしまう。
闇子ルートは、私が年上のお姉さん属性を持っていなかったせいか、あまりハマれませんでした。

テキスト

シナリオそのものを書いたのは「草壁祭」。
ギャグ要素はほとんどなく、文章的な面白みも薄い。
けれど、読み物としての表現力はなかなかで、世界観とうまくマッチしていたように思う。

輝いていたのは、あかねルート・井戸の底での、ゴアの登場シーン。
あのときのゴアの名乗りの上げかたは、恐ろしく格好よかったな!

グラフィック

クオリティ自体は、やや時代がかって見える。
仕方ないよね、もう7年も前のゲームなんだもん。

ただ、遠慮のないグロさは今でも輝きを失っていない。
のーみそ見えちゃってるユカちゃんの立ち絵はすばらしかった。ああいうのもっとほしかったな!

ところどころ見惚れてしまうような一枚絵もあった。
というか、ユカとゴアはとても絵映りがいい。
ユカルートラストの由規と戦うシーン、ユカを抱えたゴアが背中に満月を背負うCGには惚れ惚れしました。

Hシーン

輪姦、陵辱、リョナが好きな人にはかなり使えるのではないでしょうか?
和姦もあるにはあるけれど、そういったものたちと比べてしまうと、どうしてもインパクトは薄い。
テキスト的な興奮度は、普通の純愛ゲーム並み。

音楽

オープニングとエンディングは「電気式可憐音楽集団」。
ただ、オープニングムービーは作中にほしかった。
この時代のゲームって、ゲーム起動と同時に流れること多いよね。
それだけが残念。

BGMはまぁまぁ。
私はあまりこだわりがない人なので、なにも不満はありませんでした。

声優

可もなく不可もなく。
強いて言うなら、可寄りが木村あやか(一柳あかね)。不可寄りが北都南(さいたま闇子)。

あ、ゴアを忘れていたね!
あの一人芝居は熱演でした。すばらしい

総評

ただのグロゲーと侮るなかれ。
人間という存在に踏みこんだ、深遠なテーマがそこにはある。

とは言え、グロテスクな要素がものすごいインパクトを持っているのも間違いない。
人間の負の部分を描くには、仕方がない部分でもあったとは思う。

そして、ややテーマを偏重しすぎて、「石」や「真白」といった鍵になるものについての掘り下げかたが甘いようにも思う。
……もしかしたら、ヒントは出てるのに私が読み解けていないだけかもしれないけれど。

愛とか恋とか勇気とか正義とか、そういった正の側面から世界や人生のすばらしさを語る作品は数多い。
けれど、憎しみや絶望や嫉妬や殺意などといった負の側面から、そのすばらしさを語る作品は希有。
普通の純愛ゲームに飽きてしまったら、是非手にとっていただきたい作品の一つだ。

もしこの「ゴア・スクリーミング・ショウ」が面白ければ、「沙耶の唄」「euphoria」「闇色のスノードロップス」なんかも楽しめるのではないかな。
ちょっと毛色は違うけれど、「螺旋回廊」シリーズも楽しいかも。

私の評価は★4つ、満足の秀作でした。
さすが名作と言われるだけのことはあるな
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ゲーム [★★★★☆]
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