キラ☆キラ Rock'n' Roll Show まとめ

シナリオ

1.パンクロッカーは何事にも従ってはいけない <アナーキーの精神>
2.パンクロッカーは自分の行動に保険をかけてはいけない <ノーフューチャーの精神>


OVERDRIVEらしい、パンクロックを主題にした青春活劇。
その「パンクロック」について、本作では殿谷健太によって上のように定義されている。
それからさらに殿谷はこう続ける。

「本当はね、全ての人間は本来何もしなくてもパンクなんだよ。生まれたときから、死ぬまで、誰だってパンクなんだ。なかなか気がつきにくいことだけど、そのことに、気がついてほしいんだ」


本当は、全ての人間は本来何もしなくても自由なはず。生まれてから、死ぬまで、誰だって自由に生きていいのだ。
けれど、そのことに気が付かないまま、人生を窮屈にしているのも、また自分自身だ。
その殻を打ち破ることができるのが、パンクロックなのだ。

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OVERDRIVEらしい、ロックンロールを主題にした冒険活劇。
第一章・第二章のバンド結成からツアーまでのくだりは、プレイしていて楽しくなること間違いない。
リアリティ不足という、ややファンタジーチックな展開も垣間見えるが、それはそれとして割り切ってしまうのが、このゲームを楽しむコツ。

そんな楽しいお話の裏には、理不尽な世界で藻掻く少年少女たちの苦悩が描かれている。
私が思うに、世界に真っ向から刃向かえる情熱こそ、青春なのだ。
だからこそ、この作品はキラキラした輝きを放ち続けている。

およそ100作品という私のエロゲー遍歴が多いのか少ないのかはよくわからないけれど、ここまで「人生」というものに真摯に向きあった作品は、そう多くはない。
言い換えれば、本作を担当した瀬戸口廉也は、そういうことができる数少ないシナリオライターなのだろう。

個別ルート別評価
  千絵 > きらり1(鹿之助) > きらり2 > 紗理奈

この順位はPC版と変わらず。
千絵ルートをここまで評価するのは、きっと私くらいのものだろうと思うけれど、私にとっては世界で二番目くらいに好きなギャルゲーシナリオだ。
(ちなみに一番好きなのは「グリザイアの果実」より、みちるルート)

「青春恋愛ロックンロールノベル」のジャンル通りの、すばらしいエンディングを迎える。
うまく言葉にできないけれど、音楽の魅力のうち最もすてきな部分が描かれているような気がする。

鹿之助ルートは、おそらくライターが最も注力したシナリオ。
「SWAN SONG」のノーマルエンドみたいなものだね。
このシナリオは、主人公に魅力を感じるかどうかで評価が分かれるようにも思う。
私は鹿之助のキャラがとても好きだし、彼の人生の問題点にも共感できる。
そして、鹿之助が自分で自分の人生を選び取った、唯一のエンディングでもある。
バンドマンの成れの果てといった独特な世界が興味深いシナリオでもある。
ついでにアキちゃんがかわいいね! ああ見えてドMらしいですよ!?

きらりルートは、彼女が自分の人生を革命する。
「罪と罰」を読む機会があれば、また少し考察を深めてみたいとも思う。
ただ、前にも書いたけれど、「ロックンロール」がきらりの問題にあまり関係してこなかったのが痛い。
あと、きらりのギターのオバケについてもうちょっと掘り下げてくれてもよかったような気もするな。

紗理奈ルートは……すいません、ちょっとわかんないです。
家族の絆って大事だよね! っていうお話だと思うんだけれど、私のツボとはちょっと違いました。

テキスト

一文が長く、読みにくい部分もあるが、惹き込まれる特徴的な文体。
主人公の斜に構えたようなキャラと、文章のタッチがよく合っているね。
このシナリオライターには、文章を書く才能があると思う。

大筋とは関係ない小話の完成度が高いのも特徴。
本当にたくさんの引き出しを持っている。
私のお気に入りは、「きらりの誕生パーティ」「翠ちゃんの語る『女の子の心の中はお化け屋敷』」「アキの語る『幸せに"なる"ってなんや?』」。
特に、翠ちゃんのお話はいちいち鬱陶しくて、そこがすてきなのです。

ギャグ要素とは違うのだけれど、日常シーンも面白い。
たとえるならば、頭のいい人間同士の掛け合いが面白いようなものか。
なのに、ときどきアホになってしまう鹿之助は、とてもいい主人公でした。

グラフィック

CGの枚数自体はそれなりにあるものの、クオリティは微妙。
キャラクターの造型は、あまり面白みのないハンコ絵。
そもそも、PS2の解像度が640x480程度なので、表示はあまりきれいではない。
グラフィックに期待するのはちょっと間違っているかも。

ただ、PC版と違ってHCGがないため、その分を日常CGで補ってきている。
妹の祐子ちゃんの立ち絵も入っていたり。
そういう意味ではちょっとだけ豪華。

音楽

PC版から、全ボーカル曲が新曲に差し替えられている。
どちらのサントラも持っているのだけれど、甲乙付けがたい。とにかくすばらしいね!
PC版OPテーマの「キラ☆キラ」が最高なのは間違いない。

BGMも秀逸なものが多い。
この作品は、私の中でBGMがすてきなゲームTOP3に入っている。
残り二つは「スマガ」と「グリザイア」ね!

声優

可もなく不可もなく。
ちなみに私はアキの声が一番好きです。
女の子はともかく、男キャラが冴えている気がする。特に村上。
ロティカについては、あれは本人が声を当てているようなので、ああいうものなんでしょう。

総評

「PC版とPS2版、やるならどっち?」と聞かれたら「どっちでも大差ないからとにかくやれ!」と答えます。

このゲームの魅力は、シナリオ・テキスト・音楽。
グラフィックだけはやや弱いが、上の3つがあればギャルゲー界では天下が取れるはず。
なのに、批評空間では中央値85点。低すぎる。
私の評価は95点、★5つの神作です。

ロックンロールッ!!
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