キラ☆キラ Rock'n' Roll Show きらりルート2

ラストの4ルート目は、きらりシナリオその2、トゥルーエンド。
椎野きらりの声を当てているのは、中村知子。
私にはあまり馴染みがないが、知る人ぞ知るアニメ声優らしい。

ちなみに、第二文芸部として歌っているきらりの歌声は、UR@NことAiRIのもの。
声でガラスを割ったとか割らないとか言う伝説のハイトーンボイスの持ち主です。
私はこういう歌声がとても好み。

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きらりのトゥルーエンドは、彼女が夜の仕事に就く前に、鹿之助がその現実を知ることで分岐する。
彼はそんな理不尽な現実を変えようと手を尽くすのだけれど、結局何もできない。

運命の日の前日、ここでもPC版とPS2版では微妙に違いがある。
PC版では、二人でラブホに行って朝帰りをする様子が、鹿之助の無力さと共にあっさり目に描かれている。
PS2版では、半ば駆け落ちのように電車の終点まで行き、旅館で一泊することになっている。

そのシーン、きらりは「いつか遠い将来にみんなで演奏したい」と言っていた曲を、未完成のまま聴かせてくれる。
歌うことを諦め、現実を受け容れたきらりは、まるで大人で、それが切なかった。

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このシナリオは、ドストエフスキー著「罪と罰」を下敷きにしたものだという。
教養のない私は未読なのだけれど、主人公がよかれと思って行った確信犯的な罪が、思いもよらぬよくないことを引き起こし、罪の意識に苛まれるといった筋書きらしい。
鹿之助の場合も、同じような展開になる。

無力な鹿之助の前に、突然きらりの問題を解決出来る選択肢が降って湧く。
彼は、一旦はそれを(消極的にだけれど)選択する。
けれど、恐ろしくなって「やっぱやめ!」をしたときには、既に遅かった。

鹿之助は後悔する。
それは、自分が人を殺した罪に対してではない。
たしかに既存の状況はよくなり、問題は解決した。
けれど、同時に新たな問題が生まれてしまったのだ。
父親は、きらりを苦しめ傷つける存在だった。思惑はどうあれ、現実にはそうだったのだ。
そして、気がつけば、自分も同じだった。

「世の中って、むつかしいね」


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きらりの持つ世界観は、千絵ルートで語られている。
それでは、カレーパーティの話。

「全てを理解しあえなければ、一緒に楽しくやっていけないとしたら、それってとても寂しいことだよね。でも、そんなことはないじゃんっ。理解なんか出来なくたって、あたしたち、仲良しになれるんだもんっ」
「お互いのことなんかそこまで詳しく知らなくたってさ、みんなが少しずつ出せるものを出し合って、一緒に料理をして、それで出来上がったものが美味しければ結構みんな仲良くなるよっ」


きらりは、目的を達成する意識と、結果とを共有できれば、相互理解など必要ないと言う。
そうして互いが互いのために少しずつ自分を犠牲にしさえすれば、世界は平和になるのだと。

彼女がこう考えるのも仕方がない。
もとよりきらりには相互理解など不可能な話だったのだから。
父親の語ったように、きらりは天才であり、周囲を理解することも、理解されることもなかったのだ。
それでも、彼女は自己を抑圧することで共同体を維持しようとしてきた。
今までは、それですべてが上手くいっていたはずだった。

別れ話を切り出したきらりに、鹿之助は「なら、逆に俺がきらりの立場だったら?」と、前島家が破産したことを喩えに、説得を試みる。
すると、きらりは「そんなので別れるなんて、絶対に嫌!」と、自分のしようとしていたことを省みる。

おそらく、鹿之助の罪の告白を聞いたときも、同じことが起こったのだろう。
今までは、自分を殺してでも社会の歯車になりたいと思っていた。
それが、世界をよくすることに違いないと信じていたから。

けれど、愛する人は、自分を犠牲にして世界をよくしようとした結果、こんなに苦悩してしまっている。
その現実に気づき、きらりは言うのだ。

「鹿クン、世の中には、悲しくて寂しいことがいっぱいあるね」
「私ね、なんだか、歌わなきゃいけないことがあるような気がして来たんだ。もしかしたら、それは私の義務なのかもしれない」


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こうして、きらりは自分を殺すのをやめる。
彼女は優しい女の子で、世界が好きなのだ。
愛するものたちのため、彼女はその才能を手に、キラキラした世界へと羽ばたいていくのだった。

「あたし、鹿クンのことが、一番大好きなんだよ」
「あたしが、一生守ってあげる」
「今度はあたしの番だからね。言ってる意味、わかるでしょう?」

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