虚ノ少女 その5(まとめ)

「カルタグラ」→「殻ノ少女」→「虚ノ少女」のプレイ順を強く推奨します。
「体験版」は本編の前日譚に相当します。本編プレイ前に見ておくことを勧めます。

シナリオ

「KARANOSHOJO」三部作の二作目ということで"繋ぎ"的な位置付けになるのかと思いきや、完成された一つの作品と言えるものに仕上がっている。
この世界観の作り込みかたはすばらしい。
本当にどっぷりとハマることができます。

ただ、これが次回作があるせいなのかは定かではないけれど、回収しきれていない伏線が残っているように思う。
「虚ノ少女」だった雪子についてなんか、もうちょっと掘り下げてくれてもよかったよ。
雪子や小羽、未散のパラノイアが、薬のせいなのか、それとも個々人の資質なのかがよくわからず終い。
未散ちゃんに「視ること」について、もっと語ってもらいたかったかもしれない。

花恋のパラノイアは、玲人と同じく、割と早めに解ってしまう。
ヤンデレ妹花恋ちゃん!は可愛いのだけれど、そのヤンデレ具合が凶行以外に向かなかったのは残念。
もっと真崎相手にヤンデレ具合を発揮してほしかったです。
「花恋」エンドもかなり大人しめだったし。

ボリューム自体は、おそらく30時間ほど。多め、かな。
方向性は今までとほぼかわらない。
普通に「謎解き推理モノ」としてプレイするだけで十分楽しめる。

テキスト

今作では、玲人以外の視点で物語が進むシーンがしばしば発生していた。
過去回想が多かったので、それも仕方のないことかとも思う。
けれど、それを「複数主人公」という形で扱うのは、あまりよろしくない気がする。

「殻ノ少女」からプレイしてきている私たちにとっての主人公は、あくまで時坂玲人しかいない。
だというのに、紫ちゃんが真崎になびきかけるのとか、ギャルゲーとしては禁じ手だと思うよ!
これがNTRゲーとかそういう趣向のゲームならまだいいんだけどさ……。

真崎の、砂月やぐり子相手のシーンなんかは、そもそも玲人の絡む相手ではないから、もやもやしたりはしない。
砂月とのエッチはシナリオ上でも大事だしね。
でも、ぐり子とのシーンを実装するなら、玲人に他のキャラとエッチしてほしかったなぁ。

CG・グラフィック

「カルタグラ」「殻ノ少女」と同じ、杉菜水姫が原画。
殻ノ少女の時点で完成形かと思ったのだけれど、今作はそれをさらに上回っている。
もし「絵がいちばん綺麗なエロゲーを教えて」と言われたら、今までは原画・植田亮の「七つのふしぎの終わるとき」を挙げる私だったけれど、これからは迷わず「虚ノ少女」を挙げようと思います。

絵柄は、やはりリアル志向な劇画調。
デフォルメを極力排除したタッチなのは言わずもがな、特徴的なのは、その塗り。
水彩画のようなほのかな陰影が、世界観と相まって染み入るのです。

今回は枚数もかなり多め。
細かなカットインも合わせれば、おそらく150枚ほどはある。

そして、今回は血糊がかなり増量されている。
過去のイノグレ作品、凄惨な死体でも血があんまり出てないな~~ってちょっと不満だったのだけれど、今回は大満足です!

キャラクター

紫ちゃん健気可愛いよぉぺろぺろ!
非攻略キャラな時坂紫が、「よくできた妹」枠で私の二次元ヒロインランキングに入選しました!
何も聞かず、兄である主人公を影で支え続ける紫ちゃん。
きっといいお嫁さんになること間違いなしです!

ただ、真崎とイイカンジになるのだけは許せない。
私は、妹が他人に取られるのは悔しいです。

紫と双璧を成す萌えキャラ、もう一人は包帯だらけの義眼のメンヘラ少女、白崎未散ちゃん。
未散はトゥルーでもっと重要な役回りになるのかと思っていたのだけれど、出番が少なくてがっかり。
「殻ノ少女」でのステラ的位置付けだったのかもしれない。
これが普通のギャルゲーだったら、未散ルートでブヒれたんだけどなぁ……。

過去編での千鶴さんも、予想以上に可愛らしかった。
クセっ毛の女の子が好きなのかもしれない。お兄ちゃん大好きな妹だしね!

トジ子的にぎやかしキャラが欲しかったような気がする。
未散と夜宵がそのポジションに着けそうだったけれど、いかんせん出番が……。
「あっ、雛神理人さんですか!?」「……うん」のくだりはとても面白かった。

Hシーン

全9シーン。
ヒロインの数が多いせいで、少なく見えてしまう。
カルタグラの時みたく、もっといろんな女の子とエッチしてくれていいと思います。

私は、シーンそのものが見たいわけじゃない。実用性には乏しいし。
女の子とそういう行為に及ぶ過程が見たいのです。
だから、雪子や歩みたいな、唐突な「抱いてください」みたいな尾を引かない展開だと、結構ガッカリです。

声優

今回の声優陣は、割と大人しめ。
この人は上手かったなー!という声優はいなかった。
逆もなかったので、安定といえば安定か。

音楽

今作は、オープニングムービーがきちんと存在する。しかも2つも。
この完成度はすばらしいよ。
エロゲーにまったく興味のない人にも「なにこれ面白そう!」と言わしめるレベル。

個人的には、第1オープニングのほうが好み。
冒頭、暗い背景が一転、真っ白になってタイトルロゴが出る演出にはゾクゾクする。

BGMの作り出す雰囲気と世界観のマッチング具合の素晴らしさも、特筆するレベル。

システム

セーブ枠が100個に増強された。嬉しい。
もっさりしていた立ち絵表示も、パッチを当てることでスムースになる。

前作よりも「捜査」「推理」の難易度は低め。
「行動選択」も2箇所から1箇所に減り、それが出現する日も半減。
ゲーム自体の難易度はかなり下がったように感じる。
なんとか自力でも攻略できるレベルだと思います。

今回の「キャラクター別音量設定」は、今までのしりとりではなく、川柳になっていた。
キャラの性格をも含めた紹介としては、このネタのほうが向いているのかもしれない。
けど、しりとりだと全キャラ聞く気にもなるけど、川柳じゃなぁ……。
私は気になった女の子だけ聞いていました!

総評

このシリーズがエロゲーなのは間違いない。だがギャルゲーなのだろうか?
この疑問は、「殻ノ少女」のプレイ後よりも、ますます強く私を取り込んでくる。

「ジャンル:サイコミステリィAVG」の通り、純粋なノベライズゲームだと解釈するのが妥当そうだ。
つまり、いくらヒロインが可愛かろうと、その子とラブラブなエンディングを迎えることなど望んではいけないのだ。

この作品の持つ独特な世界観は、好きな人は本当に好きだと思う。
かくいう私も、このしっとり感はかなり好みです。

ただ、カルタグラで私を惹き込んだ「和風時代劇もの」という雰囲気は、かなり薄れてしまったと思う。
登場人物の言葉遣いや物腰も、かなり現代チックになってしまった。
その方が多くの人に違和感なく受け入れられるのかもしれないけれど、私としてはやや残念なポイント。

カルタグラから続くこの一連のシリーズは、「エロゲーってどんなものなの? ちょっと興味ある」って私が言われたときは、かなり強めに勧めるタイトルになりました。
今作「虚ノ少女」、名作★4評価です。

さて、次作タイトルは「空ノ少女」で間違いない。賭けてもいいよ!
……で、それはいつ発売でしょうか?
やっぱりあと2年くらいかかるのかな……。
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ゲーム [★★★★☆]
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