灰羽連盟 13話+まとめ

13話 レキの世界 祈り 終章

レキの真の名と、彼女がアトリエで描いていたもの。

「私はここで自分を捨てたんだ」
「私はね、ラッカ、良い灰羽であり続ければいつかこの罪悪感から逃れられると思ってた。お笑い種だ。私にとって、この街は牢獄だったんだ。壁が意味するのは、死だ。ここは死によって隔てられているんだ。そしてこの部屋は――この部屋は、繭だ。この暗い夢から、私はとうとう抜け出すことはできなかった。ありもしない救いを求めて、7年間、ずっと……」


石ころのレキ。轢き裂かれたレキ。
彼女が捨てたのは、クラモリの後を追って壁を越えようとした、幼い頃の自分だったのかも。
あるいは、灰羽として生まれる前の自分か。

レキは自分を殺して、だれかに尽くして、罪を忘れようとした。
救われる日を、ただ待ち続けていた。

灰羽として生まれる前、繭の中の夢で、レキはあのまま列車に轢かれてしまったんじゃないだろうか。
声も上げられず、誰にも助けを求められず。
ひょっとしたら、彼女が人として生きていた頃に、本当にあったことなのかもしれない。
それが、きっとレキの罪なんだろう。

「ラッカはレキを助けに来たのよ」
「私には救われる資格なんてない」
「私は助けてって言うこともできないの?」「だれかを信じるのは、そんなに怖い?」
「裏切られるのはもう嫌なんだ! 夢の中でも、この街でも、どれだけ願っても一度も救いは訪れなかったじゃないか!」
「だって、レキは一度も助けてって言わなかったもの。ずっと待ってただけ」
「……怖かったんだ。もし心から助けを求めて、だれも返事をしてくれなかったら……本当に一人ぼっちだとしたら……!」


自分には価値がない。石ころ同然だ。
そう思いこんでしまったら、そこから抜け出すのはとても大変だ。
一度嫌いになった自分を好きになるなんて、自分で自分を救うなんて、生半可なことじゃできやしない。
だから。

「――私がレキを救う、鳥になるんだ」


レキは助けを求めることができた。
傷つくことを恐れずに、人を信じることができた。
それは繭の中の夢ではできなかったこと。
そうして、彼女は救われ、祝福を受ける良い灰羽となり、好きな人にきちんと好きを伝えて、壁の向こうへと巣立っていくのだった。



まとめ

グリの街は、死後の世界。
この説は、原作者が否定しているという噂もあるけれど、そう考えるととてもしっくりくる。

クウの巣立ちからは、灰羽は「現世に未練を残した魂」と考えることもできる。
レキの世界からは、罪憑きの罪は「自殺したこと」とも考えられるし。
すると、ラッカは投身自殺でも図ったのかなぁ?

壁に囲まれたこの街で、灰羽たちは自分の真の名を――自分の存在している意味を、探している。
――どうして生まれてきたのだろう?
――この世界で何をするために生まれてきたのだろう?

すべての存在には、生まれてきた意味がある。
そして、その理由は一人では決して見つけることができない。
この作品は、そういうメッセージを孕んでいるように思う。

たとえ巣立っていっても、レキのお節介な優しさはみんなの心の中に生き続ける。
クウの無邪気さな元気さも、ラッカの情の厚さも。
そのためには、だれかと心を通わせなければいけない。
人は、一人じゃ生きていけないんだ。

---

1~2話の感想でも書いたけれど、細かな設定がしっかりしていて、とても好印象。
羽がきちんと皮膚を破って生えてきたり、その羽を通す穴を服に開けなきゃいけなかったり、寒いときは羽袋をはめたり。
輪っかが浮いていたり、ちゃんとくっついている理由は不明だけど、作り方はわかったしね。

ただ、せっかく天使みたいな羽があるんだから、ラストで「覚醒!」みたいなノリで飛べたりしたらすごく盛り上がったのになぁと思わなくもない。
結局、なんで羽が生えて輪っかをつけるのか、よくわからなかったもの。
いつか壁を越える象徴、なのかな。時計塔の親方が言ってたみたく。

設定は、やはり村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」によく似ている。
読んだのがかなり昔だから、細かいところは忘れてしまったけど。
2周目を観る前に、もう一度読んでおきたいなぁ。

見終わった後味がとても良いアニメだった。
こういう雰囲気のアニメは少ないから、とても貴重だと思う。
設定がしっかりしていて、テーマがあって、メッセージ性もある。
コアなファンがいるのもよく理解できる。私も嫌いじゃないよ!
秀作、★4評価です。
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アニメ [★★★★☆]
灰羽連盟

Comment

灰羽連盟と世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

こんにちは。通りすがりですが、失礼します。

灰羽連盟は世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドに強く影響を受けているそうですよ。
http://abworks.blog83.fc2.com/blog-entry-596.html

あと「覚醒!」をすると盛り上がるかもしれませんが、物語として全部を語るのではなく、視聴者に想像の余地を残すためにあえてやらなかったのでは?なんて想像しています。
もちろん本当のところはわかりませんが…
  • 2012⁄12⁄29(土)
  • 12:33
  • [edit]

コメントありがとうございます

> 灰羽連盟は世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドに強く影響を受けているそうですよ。
やはりそうなんですね。

あのお話でも壁を越えられはしなかったですし、翼があっても「ここじゃないどこか知らない場所」へは行けないのかもしれないですね。
それでも、迫り来る列車からレキを救うラッカが、セリフ通り鳥みたいに飛べたりしたら、絵的にもすごくキレイだったろうなぁと空想してしまいます。

ツッコミも大歓迎なので、気軽にコメントくれたら嬉しいです。
ありがとうございました。
  • 2012⁄12⁄29(土)
  • 15:06

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