月陽炎 ~つきかげろう~ まとめ

シナリオ

世界観設定、すなわち雰囲気が良いね。
大正時代の、田舎の神社。
在りし日の古き良き日本、そんな幻想を抱くような設定だよ。

けれど、その時代考証はそこまで正確なものではない。
そもそも、女の子がパンツをはいているしね。
西洋文化であるパンツが庶民に普及したのは、昭和になってからのはず。
つまり、大正時代の女の子は、みんなノーパンなんだよ!!

女の子の言葉遣いも、かなり現代風な感じ。
さすがに「ヤバイ」とは言わないけど「私って~~じゃないですか?」とは言っていた。
まぁそんなところに深く突っ込んでも仕方がない気はするんだけども。
個人的には、もっと時代がかった言葉遣いをしてくれたほうが嬉しかったなぁ。

大正時代という設定は、女の子が普段から和装でいても不自然じゃなくするため、という理由が6割だろう。
残りの2割は、Hシーンで女の子に「後生だから堪忍して……」と言わせるため。
日本語ってすばらしい。ふぅ……。

その時代考証が甘いのと同様に、展開の細部にも甘さが散見される。
というか、伝奇ホラーものとなってくる後半、ファンタジー展開が正直意味不明。
いきなり空を飛びはじめたり、エネルギー弾を撃ったり。
せめてそこは日本刀を振り回してほしかった。ほら、和服といえば……じゃない?

あと、結局最後まで主人公の出自がよくわからなかった。
これは私の理解力が足りないせいなのかもしれないけど。
だれか「神威の子」とはなんなのか、私に教えてください。

前半の萌えゲー展開は、かなりよかった。
最新のギャルゲーとも十分戦えるクオリティだったと思う。
美月のキャラが立っていたのが大きいね。
美月と主人公、そして鈴香の掛け合いがなかなか楽しかったよ。

個別シナリオ別評価
  美月 > 柚鈴 > 鈴香 >> 双葉 > 葉桐

拭えぬ運命に戒められ……
大切な何かを失ったとしても……
それでも、ほんのひと欠片の幸せを追い求めた、少女と青年の物語が、今そっと幕を開ける……。


このゲームの根幹には、この「幸せを手に入れるために何かを失う」というテーマがある。
美月ルートでは柚鈴が必ず犠牲になり、柚鈴ルートでは美月が必ず犠牲になり(だからチビキャラとして美月が復活するエンディングはトゥルー扱いではない)、鈴香ルートでは主人公以外の全てが犠牲になる。

この寂寥感は、私はなかなか好きだよ。
その読後感からいくと、上のような順位になる。

葉桐をなぜ攻略できるようにしたのかは謎。
その分のCGを鈴香に回してほしかった。
鈴香エンドは、文量を増せばもっと面白い話になったと思うんだよ。くやしい

オススメ攻略順
  柚鈴 → 鈴香 → 美月 → 葉桐 → 双葉

キャラクター

私のお気に入りは、美月 > 柚鈴 > 鈴香 = 双葉 。

ルックスは柚鈴が一番だけど、性格的な面も含めてしまうと美月が一番。
日常シーンを楽しく演出してくれるキャラクターって、やっぱり惹かれるよ。
私がツンデレ好きという属性を持っているせいでもあるのかもしれない。

柚鈴の人見知り設定はいいんだけど、慣れるとふつーにお喋りしてくれるところにやや違和感。
もう少し、自分の意見を言えない引っ込み思案で従順な女の子でいてくれたほうが、人見知りという設定が鮮やかになったような気がする。
とは言え、柚鈴のツッコミもなかなか面白いんだけどね。

主人公のキャラクターは、ちょっと微妙かも。
少し精神年齢が低いようにも思える。
言葉遣いが大人びているぶん、それが目立つかな。
美月ルート冒頭、ハプニングエッチで美月の胸を触って唇を奪ってしまう展開、あれ結局主人公一言も謝ってないからね。
美月が謝ったところで「私も悪かったです、すみませんでした」くらいあってもよかったと思うんだ。

鈴香と双葉は、ファンディスク「千秋恋歌」に期待。

立ち絵・CG

昔のゲームには、面白そうなのに絵柄が古すぎて受け付けず、手が出せないものは多い。
そんな中でも、このゲームは今風な萌え絵になっているように思う。
特に、立ち絵の美月は「驚き」「怒り」がデフォルメされていて、なかなかかわいいよ。
柚鈴も普通にかわいいしね。

けれど、一枚絵になってくると、ちょっとアヤシイ。
というか、正面の絵は見れるんだけど、構図が変わってくるととたんにパースが狂ってくるような気がする。
これは絵師の力量のせいなのか。
顔を描くのは顎が一番難しいという話を聞いたことがあるけれど、このCGを見ているとそれも納得してしまいそうだ。

そして、服装のバリエーションはもうちょっとほしかったように思う。
例えば柚鈴、巫女装束はとても可愛らしいのだけれど、普段から普通の和服も着て登場してきてくれれば、巫女装束がもっと映えたと思うんだ。
割烹着姿を立ち絵にしている場合じゃないよ!

でも、なんだかんだ言って、出来のいい絵はたしかにかわいい。
思わず見とれてしまう一枚絵も何枚かあったし。

Hシーン

絵が崩れてくるのが主にHシーンなので、実用は難しいか?
テキスト的な興奮度もびみょーだし。
ただ、無理矢理っぽいシーンがかなり多かったので、そこだけは評価。

声優

録音と編集に不満がある。
音質があまりよくないのと、音量のノーマライズを強くかけ過ぎていて、逆に不自然になっている。
いいんだよ、叫び声は大きく、ささやき声は小さく聞かせてくれれば。

声優さんの演技自体は文句なし。
なかなかレベルが高かったのではないでしょうか。

音楽

オープニングは、ムービーも含めてけっこう好みかもしれない。
何度も見せられるとちょっと飽きちゃうけど、最初の数回はけっこう見入ってしまったよ。
BGMも悪くなかったように思います。

システム

古いゲームだけあって、ここは貧弱。
せめてオート機能はほしかった。
セーブ枠も少ないしね。

攻略順がかなり限定されているのは、賛否両論あるようだけれど、システム的には悪くなかったと私は思う。
メインヒロインは最後に攻略したい性質ではあるけれど、サブヒロインルートの内容を考えると、これも致し方ないところかとも思うし。

総評

和風時代モノギャルゲー。
そして、和服・巫女萌えゲー。後半は伝奇ホラー。
シナリオは、突き詰めると鬱ゲー要素もあり。
ご都合主義のハッピーエンドにはならないので。

伝奇要素の完成度は疑問だけど、きちんとテーマがあって世界観が作られていて、好印象を受ける。
世界観ももっと作り込めたと思うんだけどね。

最近こういう雰囲気のゲームはなかなか出てこないので、とても貴重な作品なような気がする。
2001年発売とかなり古いゲームだけれど、今でもプレイする価値はあるはず。

私の評価は、良作★3つ。
期待に応えてくれました。ごちそうさまでした
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ゲーム [★★★☆☆]
月陽炎

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