ちはやふる 7~9話

第七首 ひとこそみえねあきはきにけり

学年二位のガリ勉、駒野勉を勧誘する話。まごうことなき太一回。

千早には、たしかに才能があった。
太一の頭の回転をもってしても埋められない、生まれつきの才能。

――千早と俺じゃ、実力が釣り合わない。俺は名人目指してるわけじゃないから勝てなくてもいいんだけど……。
――だけど、あいつだったら……もしも、千早の練習相手が、新だったら……。
――千早はもっと強くなれるのか……?


千早は強引なスカウトで勉を引きずってくる。
彼は、15分で札を全て憶えるという話を聞き、ならすべて裏返して取って見せろと言う。
感覚派の千早は、時間が経つと記憶があやふやになってきて、頭脳派の太一に敵わなくなってくる。

――勝てるかもしれない……千早に……。
――『勝てなくてもいいんだけど……』? そんなわけあるか!
――千早! 目の前にいるのは、俺だろ!!


そうして、裏返しかるたで、太一は千早に勝利する。
けれど、勉は「どうせ一位になんかなれやしない」「僕はお前とは違う!」と言って拒絶する。
勝てるものでしか勝負しない。太一にとってのそれは、幼い頃の自分だった。

「かるたの才能なんて、俺だって持ってねえ。キツイけどやってんだ。負けるけどやってんだ」
「だって、勝てたとき、どんだけ嬉しいか!」
「俺は、仲間にするならかるたの天才より、畳の上で努力しつづけられる奴がいい」


太一の言葉は、自分に向けたものなんじゃないのかな。
勝つことの喜びを思い出して、千早と同じ土俵に立てるよう、努力していこうっていう。
この原動力は、やっぱり愛なんだろうか。
……たーくん、カノジョさんはどうしたの?

ちなみに、勉の思考回路はよくわからなかった。
そもそも一位になれなかったら、勉強に固執するのも難しいはず。
そして、からかわれるのが嫌なんだったら図書室にでも行けばいいのに。うぅむ。

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さて、今回のサブタイトルの歌は、これ。

八重むぐらしげれる宿の寂しきに  ひとこそ見えね秋は来にけり
  四七 恵慶法師

雑草が生い茂る家はとても寂しく、誰も来る人はいない。けれど、秋だけはやって来ている。

これは勉の心情と掛けているのだろうか。
太一は無理に誘ったりはしない。けれど思いだけはしっかりと届いている。
……ちょっとうがちすぎだろうか?



第八首 たえてひさしくなりぬれど

千早が、3話の小学生大会で会った肉まんくんこと西田優征を勧誘する話。

思っていたけれど、千早の勧誘って本当に強引だよね。
「経験者はかるた部に入らなきゃダメ!」とか、よくよく考えたら勉を誘った理由も「学年二位で頭いいから」だもんね。
まぁ西田の場合はかるたが好きっていうのが透けて見えてたけどさ。

そんな彼にも、新の影がまぶたから離れずに、かるたから離れてしまっていた。

「かるたは才能なんだよ! 俺たちみたいのがいくら努力したって、綿谷新には勝てないんだ!」

そう言う西田と千早は、かるたで勝負する。
好きだけで続けてきた千早が、きちんと成長していることを証明するために。

千早がするような名前でのイジリは私は嫌いだけど、西田のキャラはなかなかいいよ。
うごけるデブって三倍くらいカッコよく見えるよね。
……でも、メインの三人ばっかり美形に描かれているような気がしてならない。

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今回のサブタイトルの歌は、これ。

滝の音は絶えて久しくなりぬれど  名こそ流れてなほ聞こえれ
  五五 大納言公任

この滝(京都嵯峨の大覚寺の滝)は枯れて久しいけれど、滝の名前だけは水音のように流れ聞こえてくるものだ。

この滝は新のことだろうか。
かるたの神様の存在は、いなくなってから丸3年が経った今も、多くの人に影響を及ぼしているのだから。



第九首 しのぶれど

晴れて正式な部活動となったかるた部が、全国大会目指して合宿をする話。
と、千早と新の関係に嫉妬する太一の話。

かるた馬鹿の名がふさわしい千早は、初心者の奏と勉もビシバシしごいていく。
かつて自分が新にされたように、そしてそれを経て勝利の喜びを知ったように。
それをやり過ぎだと、太一は止める。

それはたしかに初心者に無理をさせてはいけないという思いもあるのだろうが、千早の向こうに透ける新を見たくなかったのかもしれない。
合宿の夜、あえて間接キスをしてしまうあたり、そしてエンディング直前の暗い太一に、その思いがよく見えるよ。
このことで、太一が自分の恋心をはっきりと自覚したのかもしれないね。

今回のサブタイトルの歌も、まさにこれ。

忍れど色に出でにけりわが恋は  ものやおもふと人の問ふまで
  四〇 平兼盛

この恋はだれにも気付かれないように隠していたけれど、とうとう外に表われてしまった。
物思いをしているのかと人に不審に思われるほどに。
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