ちはやふる 1~3話

名作アニメ枠で紹介されていた「ちはやふる」を、とうとう観ることに。
来期に二期がやるという噂だね。
教養がなく、百人一首を一つとてマトモに覚えていない私は、「全釈 小倉百人一首」(福音館書店、1958年)を引っ張り出してきてみたので、そのあたりも少し気にしながら観てみようと思います。

まずはこのタイトルでもあり、主人公の名前でもあるコレから。

ちはやぶる神代もきかずたつ田川  からくれなゐに水くくるとは
  一七 在原業平朝臣

いろいろ不思議なことが起こったという神話の時代ですら聞いたことがない。
龍田川の水がこんなにも真っ赤に染まっているなんて。

紅葉の名所である龍田川に、もみじがたくさん散り流れている様子を詠んだ歌のようです。
「ちはやぶる」は「神」の枕詞で、神様の勢い、すなわち神威をあらわすようです。



第一首 さくやこのはな

主人公の綾瀬千早の小学校時代。
福井からの転校生の綿谷新の、かるたへの情熱に当てられ、日本一を目指すお姉ちゃんよりもスゴい、世界一を目指す夢を見つける話。

新の情熱はたしかにスゴかった。だってふすまに刺さってたもん。なにあれこわい
しかしあれを見て引かない千早もスゴい。私なら戦意喪失してしまいそうだ。

あんなに札をまき散らしていいのかと思って調べてみたのだけれど、競技かるたには「札押し」というルールがあるらしい。
すなわち、他の札を使って目当ての札をエリア外に出すことが認められているそうな。
平たく言って、付近の札を勢いで全部出しちゃってもOK!みたいなことのようだ。粗暴だ

千早が必死に取ろうとしていたのは、これ。

瀬をはやみ岩にせかるる滝川の  われても末にあはむとぞ思ふ
  七七 崇徳院

瀬が早い滝川の水は、岩にせきとめられて二つに割れてしまうけれど、また一つになるものだ。
それと同じく、今は離ればなれになっている恋人にも、いつかは会おうと思う。
こんな、熱い恋の歌らしいね。ふぅむ。なにかの伏線だろうか?

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千早が京王高尾線で、かるたへの情熱を失っている太一の話を聞いて思い出したのは、これ。

たれをかも知るひとにせむ高砂の  松もむかしの友ならなくに
  三四 藤原興風

だれを友達にしようか。
あの高砂の松もずいぶんと年老いているけれど、あれは人間じゃないし、昔馴染みでもないのだ。

この歌は、友をなくした老人の寂しさを歌ったものの様子。
きっと千早と新と太一は、一緒にかるたに情熱を燃やしていたのだろう。
そんな仲間だったはずの太一も、そして新も、もういなくなってしまっていた。
千早の喪失感は、この老人のそれと似ているのかもしれないよね。

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サブタイトルにもなっていて、アバンでも詠んでくれるのは、これ。

難波津に咲くやこの花冬籠り  今を春辺と咲くやこの花
  王仁

冬には籠もっていたけれど、春になったからこの花咲いたよ!っていう歌。
作者と献上した相手にいろいろ確執はあったようだけれど、それは割愛。

これは競技かるたを始める前に、儀礼的に詠む序歌というものらしい。
べつにこの歌でなくてもいいけど、これを使うのが定番なのだとか。



第二首 からくれなゐに

イジメられていた綿谷新が、いじめっ子の真島太一とかるた大会で勝負する話。
サブタイトルは、「ちはやぶる~」の下の句だね。
「からくれない」は「韓紅」で、大陸から輸入された鮮やかな真紅の着物のような色のことを指す模様。

太一が新をイジメるのは千早のことを好きだからで、つまりヤキモチを妬いているんだね。
好きな子もイジメてしまう、小学生らしさが遺憾なく発揮されていた。

太一にメガネを盗られて、取り札が見えない新に代わって、千早が太一と勝負する。
ほら、私が1話で言ったとおりの展開になった!
よくわかんないからその辺の札を全部ぶちまけて、取ったことにするっていう。
マジでその戦法を使ってきたときには吹いてしまったよ!

純真な千早を裏切る罪悪感に耐え切れなくなった太一は、新にメガネを返す。

「これ、廊下でひろって……いや、盗ったんだ、俺が……」
「千早には言わないで……千早には、嫌われたくない……」
「真島、おめぇ……」「ひきょうなやつやの」
「でも、ちょっとわかるわ」

こうして、三人はきちんと仲間になったのだった。

しかし、千早のお姉ちゃんじゃないけど、かるたってやっぱりちょっと地味でダサいイメージがあるよね。
囲碁将棋のほうがまだスマートな感じが……。
千早はそのあたり、どう考えているんだろう?
家族には誰も大会で優勝したのを取り合ってもらえなかったようだし。かなしい



第三首 ふれるしらゆき

かるた仲間になった三人が地元のかるた会に入り、大会を目指す話。
三人は特訓を重ねて、心は一つになったかのようだった。

ちはやの才能は、耳がいいことなんだろうな、きっと。
最初の一字を聞いて動く瞬発力は、全国優勝をした新にも勝るもの。

そんな千早がたった一枚取れたのは、これ。

吹くからに秋の草木のしをるれば  むべ山風をあらしといふらむ
  二二 文室康秀

吹くと秋の草木がしおれる、すなわち「荒らす」から、山風を「あらし」と言うんだなぁ。という、言葉遊びな歌。

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けれど、太一は遠い私立の中学に通うことになり、新は祖父が倒れたから福井に帰らなくちゃならなくなり。

「ひとりになるなら、かるたなんか楽しくない!」


千早は、自分だけが取り残されたまま、二人がどこかに行ってしまうように感じたのだろう。
それは卒業したら一緒にかるたができなくなる、ということだけじゃない。
三人でするかるたが楽しかったのは自分だけなのだろうか? そんなに簡単に捨ててしまえるものなのだろうか?
千早にとってはある種裏切られたようなもので、この楽しかった冬さえも否定されたように感じたからだろう。

「あたしだって怒ってんだからね!? 二人してあたしのこと置いてけぼりにして!」
「でも、こんなにさびしいのは、あたしだけじゃないよね!?」


三人の思いはやっぱりひとつだった。
大会で優勝はできなかったけれど、それでもたしかに何かを掴めたのだった。

この回は内容がぎゅっと詰まった、かなりの感動回だったよ!
ちょっとうるうるきてしまったもん。すばらしかった。

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今回のサブタイトルに使われた歌は、これ。

あさぼらけ有明の月と見るまでに  よし野の里に降れるしらゆき
  三一 坂上是則

夜明けに有明の月が出ているのかと思ったほどに、吉野の里に降った雪は本当に真っ白だった。という歌。
有明月というのは、月齢25日ごろのそれを言うらしい。
夜明け頃に登ってくる、三日月とは逆の形をした細い月のこと。

このサブタイトルで使われている「降れるしらゆき」は、三人で雪合戦をするシーン、「ずっと一緒にかるたしようね!」の台詞のことかな。
そして、雪のように、その約束は春には溶けて消えてしまうものでもあったのだった。
落ちてくる桜の花びらは、まるで雪のようだったけれど、それはやっぱり違うもので。

「かるたを……かるたを一緒にしてくれて、ありがとな。千早も、太一も……。でも、たぶんもう会えん……」
「なんで……? あたしたちにはかるたがあるから、また会えるんじゃないの?」
「続けてたらまた会える! ぜったい会えるよ!」

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