WORLD END ECONOMiCA episode.2

二周目プレイ:加筆修正 2013/10/05

昔、一人の女の子を最後まで信じ抜くことができなかった。
自分は、誰を信用するべきなのか、なにを守るべきなのか、本当に大事なものはなんだったのか、土壇場で見失ったのだ。


夏コミで出た「WORLD END ECONOMiCA」の第二話をプレイ。
いちおう、第一話をプレイしなおしてからの取り組みだよ!
第二話には第一話も収録されているので、今からはじめる人は第二話だけ買えばOKっていう親切設計。

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話は第一話の4年後、ハルが20歳になったところからはじまる。
取り返しのつかない過ちを犯したハルは、株の世界を離れ、役所で働きながら夜学で法律を学んでいた。
4年前も、結局は困った人を助けようとしたことだった。法律を学ぶのも同じこと。
そう言うハルに、理沙は言った。

――大人になっちゃったのね。


けれど、実際はそうじゃなかった。
過去から目を背けて、自分を否定して、殻に閉じこもっているだけだった。
ハルの過ちは、投資に失敗したことじゃない。ハガナの手を払いのけたことだった。
あんなに近くにいたはずだったのに。何もかもをわかりあえたと思っていたのに。

「皆、きちんと前に進んでいるのよ。止まっているのはあなただけ。いえ」
「迷ったままなのはあなただけ。一時は立ち直ったかと思ったけど、さっきのあなたを見て確信した。あなたは自分で自分を誤魔化していただけ。しかも、強烈にね。違う?」
「ハル。一生傷口をかばって自分に嘘をつき続けることも可能かもしれない」
「でもね、人生は一度きりだし、あなたがそういう一生を送ってほしくないと願う人は、あなたが思う以上にたくさんいるものなのよ」


そんなハルに訪れた転機。
4年前の投資コンテストのデータを見て、ハルをスカウトしにきた零細ファンドの代表、エレノア。
クリスは彼女の元で、ハルとハガナの遺したプログラムを洗練させ、トレーダーとなっていた。
クリスは、4年前のハルとハガナの雄姿に憧れ、そして目指していたものがあった。

「私は、バートンのようになりたいんです」
「信念があって、目的があって、手段があって、行動があって……誰かになにか言われるかもなんて全然気にしなくて、誰かがこう思っているから妥協するなんて全然なくて、鉄の塊みたいに進むのが本当に格好良かった」
「私は自分が嫌だったんです。お父さんのために頑張ろうとか、皆が応援してくれるから頑張ろうとか、それで、そうやって、誰かのために頑張ってしまう自分が嫌だったんです」
「それに、私はお金が嫌いです。もう二度とあれに振り回されたくありません。だから、今度は私が振り回します」
「そして、そうして、本当に、自分が思うように……生きてみたいんです……」


ハルは「クリスのお目付役」という建前で、エレノアのファンドに参加することにする。
本音は、ハガナだった。
過去をなかったことにはできない。だから、きちんと立ち向かわなくちゃならない。
もしハガナにもう一度会えたのなら、黒ずくめの少女は、きっとこんな自分に失望するにきまっているから。
それに、投資の世界はやっぱり面白かった。

エレノア・シュヴァイツェル。
家業だった会社を潰した、没落貴族。妙に意志の強い瞳を持つ、ブロンド娘。
彼女もまた、取り返しのつかない過去を持っていた。
彼女の自宅代わりのホテルの部屋を訪れたとき、ハルはそれに気がつく。
シュヴァイツェル家の持つ数百年の歴史を、悪によって傷つけられてしまった。取り返しのつかないこと。正義の実現。

ここには、目的がある。信念がある。
俺の胸の中にぽっかりと空いた穴を埋めていた物である、泣きたくなるほど立ち去りがたい懐かしさが、ここにはあったのだった。


そうしてハルは、エレノアの、自分の会社を潰した黒幕である大企業アバロンの不正を暴くという目的に、協力することにする。
ハガナを求める資格を得るために。離してしまった手を、もう一度握れる日が来ると信じるために。

トリカエシノツカナイコトを、私は絶対に取り返す。
この、手と、この力と、あなたの協力で。
そしてその到達点を、正義の実現と言ってのける!


しかし、国家予算規模の大企業の不正を暴くなど、簡単なことではなかった。
決定的な証拠をつかんだと思ったその瞬間に、エレノアは足もとを掬われてしまう。

「ハルがこの右手を忌まわしいものかのように見るのは、そういうこと。ハルが一番後悔しているのは、ハガナを救えなかったことじゃない。最後までハガナの側にいられなかったこと」
「じゃあ、今度こそ、やるべきことは決まってるんじゃないかしら?」
「本当に大事なものだけは見失わないで。あなたはそれが、とても壊れやすくて、取り戻すのがどれほど大変か知っているはずだから」


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第二話はここでおしまいかよ! という悔しさがまず第一。こっからすげぇ面白くなりそうなのに!
いや、ここまでも十分面白かったんだけどね。

エレノアの女の子としての魅力の引き出し方はとても上手かった。そう、SUSHIのくだりだね。
そして、ハルとエレノアの、紙媒体には電子媒体のような「偶然の出会い」がないという話題からの、洗練されたいちゃこら具合も大したもの。
並みのギャルゲーなんか目じゃないよ!

クリスの淡い恋心のお話も、完成度高し。
ラストで、クリスとハガナをダブらせるあの構成はとてもいいね!
私はクリスみたいなタイプの女の子にはあまり食指が動かないので、クリス絡みのエピソードはあまりそそらなかったけど、クリス好きな人はかなりやきもきしたんじゃないでしょーか?
バートンみたいになりたい! と言い切るクリスは格好良かったけどね!

しかし、それで言うならやっぱり理沙のお姉さんっぷりはすごい。
私はまごうことなき理沙派です。ハガナやエレノアを差し置いてね。
スージー・ウーがハメられたあとの、教会での理沙とハルの語りは最高だよ。
神の見放した世界の果てで、自分の信念で優しく包み込んでくれる。
あぁ、私もこんなお姉さんがほしい。

――神ってのはどこにいるんだ?
「聖書に書いてあるわよ。神は常にいまし、昔にいまし、後に来られる方」
「あなたが困っている誰かの元に駆けつければ、その誰かはあなたの側に神を見るでしょうね。それこそ……あなたには見えなくても」
「これが、神は常にあなたの側に、という言葉の、あまり語られないもうひとつの、でもとても大事な意味」


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CGや音楽なんかのクオリティは第一話と同程度。
エロゲーじゃないから、CGが全部イベントCGになっている。そのせいか、やっぱり使い方が贅沢に思えてしまうね。
もっと長い間見ていたいCGとか、結構あったよ。

オープニングは、台詞が入ってきたせいで、なんだか安っぽく見えてしまった気がした。
そこだけは少し残念。

現状の評価は、やはり★4を継続しておこうと思います。
ただ、第一話であったような、血湧き肉躍るといった感じの冒険譚とは少し違った。
疾走感は相変わらずスゴイけどね。

取り返しのつかないことを取り返す。
きっと第三話は、ハガナと再会できるに違いないよ。そうして、失ったものを取り返すんだ。
……え、取り返せるのは次の夏コミかよ。長すぎる……。
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