少女革命ウテナ 38、39話+まとめ

38話 世界の果て
アンシーと暁生の苦悩、そしてウテナの矜持と、革命へ至る戦いの話。

アンシーが飛び降りようとしていたのは、薔薇の花嫁としての苦痛に耐えられなくなったからだった。
世界の果てで待っているウテナの苦しみを知っていながら、ウテナに努力させていることに、心の痛みは増すばかりだった。

「身体はどんなに苛まれても、心なんて痛くならないと思っていたのに。あなたの無邪気さを利用してた……あなたの優しさに、私はつけ込んでいた……」
「違う……ボクは君の痛みに気付かなかった。君の苦しみに気付かなかった。それなのにボクはずっと、君を守る王子様気取りでいたんだ……。ホントは、君を守ってやっているつもりでいい気になっていたんだ……」


だから、ウテナはアンシーを救うために薔薇の門をくぐった。
自分のではなく、アンシーの王子様を見つけるために。
そして暁生の理想を聞き、世界を革命する決意を固める。

「だが、かつての俺の言葉通り、歳月を経て、君はもう王子様を目指す純粋な魂ではなくなっているはずだ」
「ボクはあなたから姫宮を解放する者になる! ボクが王子様になるってことだろう!」


アンシーは薔薇の花嫁としての苦痛から解放されることはなく、暁生もまた魔女の封印から解放されることはない。
変わらないもの、永遠のものがあるから。
それは例えば、兄妹の血の繋がりといったものなのかもしれない。
けれど、そこからの解放、革命という名の希望を持たなければ、人は生きていくことなんかできない。
だからこそ、みんな空に浮かぶ城を目指す。
変わったのは自分じゃない、世界なんだ。

暁生の理想は、世界の果てに立つことなんだろうか。
世界のすべての可能性を知り、そこから幻想を見せることで、自分たちが決して救われないという現実に安心したかったんじゃないか。
救われる人なんかいない。自分たちの苦しみは、決して特別なものなんかじゃないってことに。

「王子様など最初から、世界のどこにもいないのに」

39話 いつか一緒に輝いて
最終話。アンシーに刺されたウテナが、棺を開けて革命する話。

暁生は倒れたウテナの剣を奪って薔薇の門をこじ開けようとするも、失敗する。
しかし世界の悪意を一身に受けるアンシーを見たウテナは、苦痛に耐えながらも門を開け、棺の中にいたアンシーに触れる。
アンシーは解放され、代わりにウテナが悪意に刺され、世界から消えてしまう。

「やっぱりボクは王子様になれないんだ……。ごめん姫宮……王子様ごっこになっちゃって……ごめんね……」

暁生の言う革命とは、世界の殻を破ることなんだろう。
自分の知っているものがすべてな世界。羊水に浮かんでいるような、温かい世界。
かつての王子様であった暁生は、そこから出ることはできなかった。

けれどウテナはアンシーをそこから出すことができた。
ウテナは自身の少女性を革命し、アンシーの運命を革命した。
棺から出て、世界の殻を破ったアンシーは、生きる意味を見つけて外の世界へと旅立っていく。

「今度は私が行くから。どこにいても必ず見つけるから。待っててね、ウテナ」

――ねぇ、困ったことがあったらなんでもボクに相談してよ。ボクは君と友達になりたいんだ。そしていつか一緒に……。
――いつか一緒に?


--- まとめ ---

おそらくこの鳳学園という世界は、個々人の認識している世界そのものなんだろう。
生きるってことは戦うこと。
まずは自分を中の葛藤に勝ち、そして世界の外に出て、そして本当の戦いが始まる。
そうしないと、生きている意味は決して見つけることはできない。

子供は誰かに守ってもらえる。親とか、王子様とか。
けれど大人になったら守ってくれる人なんかいない。
自分で自分を守らなきゃいけないんだ。
その強さを持たなければ、大人にならなければ、外の世界に出ることはできない。
きっとこういうお話。

他所ではウテナとアンシーは同一人物なのだと書かれていた。
振り返れば、そういう解釈もできるかなと思う。
最終話、幼いウテナが閉じこもっていたはずの棺に入っていたのはアンシーだったのだから。

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わかりやすく喩えてみよう。ある夫婦のお話。

妻はガマン強い人で、パートに出て家計を支えている。
夫は才能のない画家で、働きもせず下手くそな絵を描き続けている。

そんな夫婦に対する世間の目は冷たいが、夫はまるで気にしない。
妻が世間の悪意に晒されて落ち込んでいると「自分の絵が気に入らなかったんだ」と考え、ますます浮世離れしていく。

しかし、あるとき妻が身体を売ってお金を稼いでいるのを知ってしまう。
夫は妻に裏切られたのだと逆上するが、実は妻はそのお金で画材を買っていたのだった。

この夫婦が愛し合っていたのかどうかはわからない。
夫は単に働くのがイヤだから絵を描いていただけかもしれないし、妻は甲斐性のない夫に身を削って尽くす自分に酔っていただけかもしれない。
けれど、夫は筆を置いて働きに出る。

夫がウテナ、妻がアンシーだ。

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自分がラクな世界、楽しい世界では、きっとどこかでツケが発生してる。
それを払うのも結局は自分なんだ。

世界に果てなんかない。
そこが「世界の果て」だと思うのなら、それは単にそれ以上歩くのを諦めたというだけの話。
暁生が色んな人に見せていた世界の果ては、きっと夢を諦めたその人の末路のようなものだったんだろう。
世界の果てにあるのは希望じゃない。絶望だ。

ウテナにとっては、永遠に苦しみつづけるもう一人の自分がそこにいたように、人にはそれぞれ違った世界の果てがある。
世界の果てに永遠に閉ざされるのがイヤなら、剣を持って戦うしかない。
戦って、勝ち抜いて、世界を革命するしかないんだ。
自分の一番大切なもの、輝くもの、自分の存在意義を守るために。

――そう、若者はいつも世界の果てを目指すんだ。

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また非常に難解で示唆に富んだアニメだった。
こういうものに的確にレビューを書けたら、私も文章を書くことで食べていけるような気がする。

ピングドラムを見てからウテナを見ると、世界観がリンクしている部分が多々あることに気が付く。
はっきり言って、1回観ただけじゃどっちもほとんど意味不明だよ!
大筋のテーマはなんとなくわかるけど、細かい演出や台詞が何を意味しているのかほとんど読み解けない。

みんなは世界の果てに何を見たのか。
どんな絶望を抱き、何を望んで革命を目指したのか。
2周目以降をする際は、そのあたりの心情変化をもっと気にしたい作品だ。

私の世界の果てには何があるのだろう。
どんな絶望を知れば、世界を革命する力を欲することができるのだろう。
私が世界を革命したら、この世界はどう変わるのだろう。
そこで私は輝くものを見つけられるのだろうか。

そんなことを考えてしまう作品でした。
現状、意味不明さのほうが際立つので★3評価に留めておきます。
もっとちゃんと理解できたら星の数は増えていくような気がするよ!
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アニメ [★★★☆☆]
少女革命ウテナ

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