グリザイアの果実 まとめ

--- シナリオ ---

  砕け散る この世界から 今救い出す

OPテーマ「終末のフラクタル」でも歌われている通り、少年少女の世界の崩壊と再生というテーマがシナリオの根本にある。
暗い過去を持つ少年少女をキャラクターにしてはいるけれども、これは彼らに限った問題ではない。
誰もが抱くような身近な悩みを、彼らにとってはそれが世界の全てになるほど純粋なものへと昇華させ、それを各キャラクターに付与している。
例えば、由美子なら「家族」「孤独」、みちるなら「存在意義」「友情」、幸なら「家族」「愛憎」など。
こうしたテーマを明確にし、きちんと起承転結を組み立てたシナリオは、概して完成度は高い。

特筆すべきなのは、主人公にも「生きる意味」というテーマを付与し、キャラクターを確立している点。
主人公にきちんとしたテーマを持たせるという姿勢は、珍しいものだと思う。
更に、そのテーマが普遍的に人間の根幹にあるものであり、全てのヒロインの世界の再生への足がかりとなっていることが、シナリオの完成度を一層高めている。

非常に語弊がありそうなのだけれど、「CLANNADは人生」というセリフが理解できる人にはこう言おう、「グリザイアは人生である」。
登場人物の世界を描くということは、その人生を描くということでもある。
個性というのは、歩んできた人生のなかで形作られていくもの。
登場人物の個性にはちゃんとそうなるだけの理由があり、決して逆ではない。
そして、その理由はきちんとシナリオに組み込まれている。
言い換えれば、キャラクターを使い切っている、ということでもある。

どのシナリオでもハッピーエンドとバッドエンドがあるのも良い。
人生は上手くいくことばかりじゃないもんね。

というようなシリアスな面とは一変し、ギャグのクオリティが素晴らしいのも特徴。
共通ルートの記事にも書いたけれど、私は「面白い話」を書ける人は多くても「印象に残る文章」「笑える文章」を書ける人は少ない、と考えている。
そういう意味では、この数多のコメディシーンを書いたライターは、間違いなく何かを持っている。
これはライターが複数いることもこのクオリティを発揮する要因になっているのかもしれないね。

個別ルート評価
みちる > 天音 ≧ 幸 > 蒔菜 ≧ 由美子

みちるルートは、過去最高のギャルゲーシナリオだと言って良いレベルだと思う。
個人的に好みなテーマだったせいかもしれないけれど、私にはツボだった。
シナリオライターの文体も私好みだったね。

天音ルートは、「エンジェリック・ハゥル」の完成度がポイント。
雄二の人間性に大きな影響を及ぼした、姉の一姫について良く描かれていたと思う。
細かなリアリティを追求したのが、この結果を生み出している。

幸ルートは、幸のキャラクター設定を完全に使い切っていた点がポイント。
ラストの落とし方も高評価。

蒔菜ルートは、雄二に関するイベントが多かったのがポイント。
燃え展開多めで楽しかったのと、雄二の過去が推察できたのが良かったね。

オススメ攻略順
みちる → 由美子 → 蒔菜 → 幸 → 天音

これが雄二の過去的な意味で、一番ネタバレが少ない順だと思う。
天音を最後に持って来さえすれば、あまり気にしなくていい気もするけど。
全てバッド→ハッピーの順で回収することをオススメ。

--- キャラクター・絵 ---

とにかくみんな可愛いね!
私のお気に入り順は、みちる > 雄二 > 由美子 > 幸 > 天音 > 蒔菜 かな。
主人公がここまでお気に入りになるギャルゲーも珍しいね。
蒔菜は下ネタ要員としては必須だね!

CGはどれも素晴らしいクオリティ。
キレイだしエロいし、言うことなし。

立ち絵はちょっと変わったポーズのものが多いような気がする。
最初は違和感あったけど、ずっと見ていると「これじゃなきゃ!」となるから不思議。

SDキャラがあったのも嬉しい。
立ち絵とセリフだけじゃ伝わらないものってあるもんね。
こういう楽しさって重要だと思うよ!

--- Hシーン ---

各キャラ2~3回ずつ。
絵が上手いとエッチシーンも萌えるよね!

天音ルートだけやたら多いと言われているけれど、細切れに入れてきているだけで、CGの枚数は大差ない。
ただしやたら笑えてやたらエロい。

幸の従順さを利用した鬼畜なシーンがあったりしないかなーとか期待していたけど、さすがになかった。
そういうのを求めるなら違うゲームで、ということか。

--- 声優 ---

ヒロインに関しては文句無く素晴らしい。
私の一押しは、みちる様の声を当てている水橋かおりかな!
蒔菜役、民安ともえのあの独特な声も好き。
由美子役、一色ヒカルも味があって良いよね。
天音役、田口宏子はやっぱり安定。
幸役、清水愛も好みとは違うけどハマり役だと思う。
千鶴役、まきいずみボイスが聞けたのも満足。

残念なのは、一姫の声を当てている青山ゆかり。
演技の幅が足りないせいか、どうしてもまじこいのワン子に聞こえてしまう…。
あと、男キャラの声優がもっと上手な人を使ってくれてもよかったかなーと思わないでもない。

--- 音楽 ---

何はともあれ、オープニングを評価せずには始まらない。
曲も良いし、アニメーションも良い。
とても完成度の高いオープニングになっている。

BGMも素晴らしい。
キラ☆キラ、スマガと同列の名曲揃いだと思う。
私のお気に入りは「TOY BOX」と「瓶詰めの空」。

ボーカル曲もなかなか。
「SKIP」はヘビーローテーションです!
みちるエンドはエンディングアニメーションも好き。

--- システム ---

一通り揃っている、という感じ。
おまけでチャプターごとに鑑賞できるのは素敵。
ちゃんとサブタイトルと一言コメントが付いているあたり、作品に対する愛を感じるよね!

--- 評価 ---

フロントウィング10周年記念作品として、全三部作として制作されたグリザイアシリーズ第一作目。
記念作品の名に相応しい、力作に仕上がっている。
シナリオライターが複数いるせいか、チャプターごとにしっかり区切られているのも、共通ルートなんかではメリハリがあって良かったと思う。

最初から三部作にするつもりで、伏線を全部回収してこないことが批判されていることもあるようだけれど、私としては別に気にならないかな。
むしろいっぱい楽しめていいじゃない!くらいの勢い。

私は好みだったからよかったけど、この主人公が苦手な人は辛い作品になっているかも。
良くも悪くも、主人公の存在感がとても大きいので。

とにかく、よく練り込まれた世界観が堪能できる。
笑いも燃えも萌えも泣きも、全てが入っている。
面白くて楽しくて笑えるなんて、とても贅沢なゲームに仕上がっています。
2011年度萌えゲーアワード大賞金賞も納得の、神作★5評価。
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ゲーム [★★★★★]
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