グリザイアの果実 蒔菜ルート

グリカジ、2ルート目は入巣蒔菜ちゃん。
このゲームの公式HPでのキャラ紹介での扱いは、どのヒロインもみんなひどい。
マキナに至っては完全にアホの子扱いされている。

マキナの魅力は、愛らしいロリっ娘な見た目に反した毒舌さにあるね。
特に幸との絡みが秀逸。
それでは、園芸の授業で木酢液のついてしまった手を洗っている幸を見たマキナのセリフ。
「なんかスッゲー必死に手ぇ洗ってんだけど、奴はあぁいう病気なの?」
「私にもなんだか、レイプされた女が公園の水飲み場で泣きながらマンコ洗ってるみたいに聞こえるのよさ!」


蒔菜ルートは、彼女が求める父親と、それに応えようとする雄二の話。
マキナの心の闇というよりも、雄二の過去についてかなり深く語られているシナリオになっている。

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マキナの闇は、いつでも自分の味方でいてくれた父親を、目の前で殺されたこと。
それ以来、彼女は家族のように、無条件で自分を愛して守ってくれる、父親が欲しがっていた。
彼女はそんな人間をずっと探し続け、雄二に出会い、彼女が持っている物を全て差し出すことで、父親を手に入れようとした。

そして、そんなマキナの期待に、雄二は応えようとする。
彼女の袋小路のような自由のない人生に、父親として可能性を与えようとした。
それが雄二の望む父親像であり、彼が師匠の麻子にしてもらったこと。
雄二は麻子を失ったことで一度は生きる理由を見失っていたけれど、マキナに自分が与えてもらったものを分け与えることで、自分の存在理由にしようとした。
こう書くととても打算的な関係に聞こえるけれど、それを温かさで包み込むのがマキナの愛。

自分の業に悩む雄二に、マキナは言う。
「パパの過去に…何があったのかは知らないのよ?でも、きっとそれは、誰も赦してくれないほどの罪なのよね?」
「だったら、私が赦す!例え他の誰もが赦さなくても、私が赦す!」
「誰も赦せない罪で悩んでる方が無茶苦茶だよ…目の前で股開いてる女が赦すっつってんだから、赦されときゃいいのよさ!」
「パパはもう、私のパパなんだから…死ぬために生きるなんて、私が赦さないのよ?」
「お願いだから…しっかり生きてね…?大丈夫、私がずっとそばに居るから…ね?」


マキナは決して強い女の子ではない。
誰かに守ってもらわないと生きていけない。
物理的な障害を排除する方法は、雄二が教えてくれた。
けれど、彼女の心はひとりでは立ちゆかない。
それは、バッドエンドにも良く表れている。

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蒔菜ルートのチャプターは、一貫して「セカイ樹の種」というタイトルがつけられている。
これは、マキナが園芸の授業でもらったリンゴの苗であり、雄二とマキナが現実から逃げた先にあると信じた希望の象徴でもある。

雄二は、結局はマキナを取り巻く現実と、彼自身が持つ心の傷から逃げた。
マキナに実家に帰っても自己を保てるほどの強さは与えられなかったし、マキナを殺すこともできず、マキナの望む平和を手に入れるために友人を巻き込む度胸もなかった。
どれも雄二の責任ではないし、そんなことは夢物語だというのもわかる。
彼ら自身にもそのことはわかっていた。
けれど、逃げ続けることが正しいことではないこともまた、わかっていた。

しかし、幸が言っていた通り、自分たちのことを信じてくれるひとがいるという事実は、強さになる。
だからこそ、それを失うわけにはいかなかった。
希望を失うことは、命を失うことよりも辛い。
「…命よりも大切な鉢植えなの?子供ね…」
「アンタは…命より大切な物って…ないのか?JB…」


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蒔菜ルートは救いのないエンディングだと言われている。
確かに、マキナが学園の友人たちが再会することも、母親と解り合うこともなく、雄二も右腕を失う。
結局はマキナも9029号として、雄二のように心を病んでいくのかもしれない。

けれど、大事なのは、セカイ樹の種は芽を出したということ。
親とは、子にその進むことのできる道の可能性を指し示す存在。
麻子が雄二に与えたものは、雄二からマキナへと受け継がれていく。
そして、マキナは自分の力で未来を選ぶことができた。
マキナにとっては、自分の肩書きだけを必要として、何者にもなれなかった入巣の家にいるよりも幸せなことに違いない。
私は、そう思いたい。
マキナの父親がその身を捧げてでも娘に見せたくなかった社会の闇に、マキナが自ら身を投じる結果になってしまったのは皮肉ではあるけれどもね。
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