眠れぬ羊と孤独な狼 -A Tale of Love, and Cutthroat- 「眠れぬ羊と孤独な狼」ルート

2つのルートをクリアすると開放されるのが、グランドシナリオに当たるこのルート。
運命の分かれ道で、運命は受け入れなかったもののブルーフィルムを見せられた場合のお話の模様。

プロローグからなかなかゾクゾクさせてくる立ち上がりを見せる、アクション色の強いストーリー。
オーラスは「まぁこうなるな」状態ではあるけれど、そこに至るまでのプロセスがちょっと予想外。
っていうか、みんな無駄にあっさり死にすぎなんだよなぁ……。
しかも、ストーリーを動かすだとか誰かを守るためだとかではない、ただ単純に死ぬだけっていう。
このドライさこそがリアルなのかもしれないけど。

普通の物語の場合、主要人物が死ぬときはなんらかの役目やドラマを持ってシーンを演出する。
けれど、現実ではなんの意味もない無駄な死だって存在するし、少なくとも主人公やあざみにとっての死とはそういうものだった。
だからこそ主人公は極端に死を恐れていたわけで、あざみは躊躇なく殺すことができたのだ。

そのオーラス、エンディングは私たちが選ぶことができるのだけれど、あなたはどれが好みだったでしょうか。
私のお気に入りは、相打ちエンドかなぁ。
二人とも互いに互いが唯一の理解者だったのだから、そのどちらが欠けてもいけないような気がしてしまう。
ならばいっそ――と思ってしまうのは、私がネガティブすぎでしょうか……。
主人公が身を挺して救おうとしたあざみのエピローグがほしかったような気は、ちょっとします!

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さて、このシナリオで私の一番のお気に入りは、ファザコン美玲ちゃんのエピソード。

幼い頃から母によって父から遠ざけられていた彼女は、父親の愛情に飢えていた。
だからこそ、彼女は父をかつてのような男稼業の舞台に立たせたいと願っていた。
それが成功したなら、彼女は父を見捨てた母を超え、父からの愛情を思うがままに受けられるはずだったのだ。
それが、大人びた彼女の、子供みたいな夢物語。

しかし、夢は夢のように、歌舞伎町の最後の物語と共にあっけなく消えて終わる。
彼女が知る初めての「圧倒的な現実」のもたらす痛みに、幼い心は耐えきれず――だから、代わりの傷を要求するのだ。

「この街にもおまえにも、夢見ていたようなことは何も起こらない。もうそのことはわかったのか?」
 美玲は少し考えるようにして、やがて苦笑しつつうなずいた。
「まだ引きずってるし、正直何日かは落ち込むんじゃないかな。でも、そのうち忘れると思うわ」


彼女の人生には「いつか」は訪れないし、願った夢も叶わない。
けれど、現実を知り、挫折を知ったからこそ、彼女は新しい一歩を踏み出そうとする。
(そして、挫折しなければ彼女が破滅することを、私たちは知っている)
こうして絶望と仲良くなり、少女は大人になっていくのだ。

「さよなら――歌舞伎町」

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ゲーム [★★★☆☆]
眠れぬ羊と孤独な狼

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