FLOWERS -Le volume sur hiver- (冬篇) その2(まとめ)

春篇の感想はこちら、夏篇の感想はこちら、秋篇の感想はこちらから。

シナリオ

ストーリーそのものには、見どころはさほど多くない。
生徒会長になってしまった蘇芳ちゃんは、マユリを探すための謎解きだけに没頭してはいられないようで、お話はたびたび脱線する。
早くマユリと会いたかったり、謎解き要素を期待していたりした諸兄姉には、ややまどろっこしい展開かもしれない。

けれどそれは、今まで蘇芳ちゃんが地道に積み重ねてきたものが結実し、みんなに頼りにされ、慕われるシーンが増えたから。
ちど×えりスキーな私が秋篇の感想で「夏篇のアフターストーリーとして最高」と書いたように、過去3作での蘇芳ちゃんの努力が報われた結果とも言える。
そうして、蘇芳ちゃんが一人での謎解きに煮詰まってしまっていると友人たちが手助けに来てくれて、最後は少年漫画ばりに「みんなの力を合わせて壁を乗り越える」お話になるのだ。
(あんなに頼りなかった蘇芳ちゃんが、こんなに立派になっちゃって……)

こういう熱い展開は、ベタだけど悪くない。
ただ個人的には、春編や夏編での「少女たちの繊細な心のふれあい」が好きだったわけで、すべてのヒロインの好感度MAXでカップルも決まってしまった今作は、そういう意味では物足りなかったかも。
(なので、えりかが怪我したことに逆上しちゃったチドリンとの絡みはGoodでした!)

物語のオチは、ギャルゲーによくある個人主義のお話。
なにかを決断するとき、常識や慣習、あるいは他人の事情を汲み取って自分の気持ちを押さえつけず、「自分の心」に従おう――と。
その是非はともかくとして、今咲いたばかりの少女たちには、その無垢な真っ直ぐさが似合うことは間違いない。
やっぱり蘇芳ちゃんは私のナンバーワン主人公なのです!

グラフィック・ムービー

冬編のOPムービーは、さほど印象に残らない普通のスライドショー形式。
(季節が冬ということで、落ち着いた色彩設計になっているせいかも)
が、過去3作とは違い、すべて描き下ろしのイラストなんだよなぁ。
ゲームクリア後にもう一度見てみると、なかなかに印象深く感じられるから不思議。

そういえば、ネリネがなぜだかショートカットになっていた。
最初に見たときは長いほうがよかったかなーとも思ったけど、ヘアバンドするとけっこうかわいい!

蘇芳ちゃんの眼鏡っ娘な一枚絵もありましたね。
あの美少女っぷりはヤバスギ。マジで図書室の妖精だった……。

音楽・声優・システム

特筆すべき点はなし。秋編以前の評価に準じます。

総評

ジャンル「百合系ミステリィADV」。
だけれど、「ミステリィADV」だけを期待してプレイすると、少しガッカリすることになるかもしれない。
たしかにミステリー要素が屋台骨ではあるけれども、そこだけを評価するなら凡作レベル。
(というか、イノグレのミステリーは毎度わかりづらいんだよなぁ!?)

しかし「百合」要素の完成度はすばらしい。
この点についての評価は春篇の総評を参照していただければ!

四部作の完結編として見れば、十分な出来と言って差し支えないと思われます。
気になるところを上げるなら、細かな伏線が回収されていないあたり。
たとえば、蘇芳ちゃんが蝶が苦手な理由(義母にずいぶん嫌らしいことを言われたようではあるが)とか、譲葉とネリネが義理立てしていた相手とその理由とか、貴船さゆりが自殺した理由とか。
特に、シオンとさゆりについてはもっと掘り下げてくれてもよかった気がするのです。
そうすれば、マユリと蘇芳と立花の関係がもっと鮮やかに浮かび上がってきたような!

私の評価は、★4・傑作評価。
批評空間ベースでは、81点です。
少女たちによってたどたどしく紡がれていく、甘酸っぱい青春の絆をどうぞ!
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