Entry Navigation  [月別アーカイブ]

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
category
スポンサー広告

FLOWERS -Le volume sur hiver- (冬篇) その2(まとめ)

春篇の感想はこちら、夏篇の感想はこちら、秋篇の感想はこちらから。

シナリオ

ストーリーそのものには、見どころはさほど多くない。
生徒会長になってしまった蘇芳ちゃんは、マユリを探すための謎解きだけに没頭してはいられないようで、お話はたびたび脱線する。
早くマユリと会いたかったり、謎解き要素を期待していたりした諸兄姉には、ややまどろっこしい展開かもしれない。

けれどそれは、今まで蘇芳ちゃんが地道に積み重ねてきたものが結実し、みんなに頼りにされ、慕われるシーンが増えたから。
ちど×えりスキーな私が秋篇の感想で「夏篇のアフターストーリーとして最高」と書いたように、過去3作での蘇芳ちゃんの努力が報われた結果とも言える。
そうして、蘇芳ちゃんが一人での謎解きに煮詰まってしまっていると友人たちが手助けに来てくれて、最後は少年漫画ばりに「みんなの力を合わせて壁を乗り越える」お話になるのだ。
(あんなに頼りなかった蘇芳ちゃんが、こんなに立派になっちゃって……)

こういう熱い展開は、ベタだけど悪くない。
ただ個人的には、春編や夏編での「少女たちの繊細な心のふれあい」が好きだったわけで、すべてのヒロインの好感度MAXでカップルも決まってしまった今作は、そういう意味では物足りなかったかも。
(なので、えりかが怪我したことに逆上しちゃったチドリンとの絡みはGoodでした!)

物語のオチは、ギャルゲーによくある個人主義のお話。
なにかを決断するとき、常識や慣習、あるいは他人の事情を汲み取って自分の気持ちを押さえつけず、「自分の心」に従おう――と。
その是非はともかくとして、今咲いたばかりの少女たちには、その無垢な真っ直ぐさが似合うことは間違いない。
やっぱり蘇芳ちゃんは私のナンバーワン主人公なのです!

グラフィック・ムービー

冬編のOPムービーは、さほど印象に残らない普通のスライドショー形式。
(季節が冬ということで、落ち着いた色彩設計になっているせいかも)
が、過去3作とは違い、すべて描き下ろしのイラストなんだよなぁ。
ゲームクリア後にもう一度見てみると、なかなかに印象深く感じられるから不思議。

そういえば、ネリネがなぜだかショートカットになっていた。
最初に見たときは長いほうがよかったかなーとも思ったけど、ヘアバンドするとけっこうかわいい!

蘇芳ちゃんの眼鏡っ娘な一枚絵もありましたね。
あの美少女っぷりはヤバスギ。マジで図書室の妖精だった……。

音楽・声優・システム

特筆すべき点はなし。秋編以前の評価に準じます。

総評

ジャンル「百合系ミステリィADV」。
だけれど、「ミステリィADV」だけを期待してプレイすると、少しガッカリすることになるかもしれない。
たしかにミステリー要素が屋台骨ではあるけれども、そこだけを評価するなら凡作レベル。
(というか、イノグレのミステリーは毎度わかりづらいんだよなぁ!?)

しかし「百合」要素の完成度はすばらしい。
この点についての評価は春篇の総評を参照していただければ!

四部作の完結編として見れば、十分な出来と言って差し支えないと思われます。
気になるところを上げるなら、細かな伏線が回収されていないあたり。
たとえば、蘇芳ちゃんが蝶が苦手な理由(義母にずいぶん嫌らしいことを言われたようではあるが)とか、譲葉とネリネが義理立てしていた相手とその理由とか、貴船さゆりが自殺した理由とか。
特に、シオンとさゆりについてはもっと掘り下げてくれてもよかった気がするのです。
そうすれば、マユリと蘇芳と立花の関係がもっと鮮やかに浮かび上がってきたような!

私の評価は、★4・傑作評価。
批評空間ベースでは、81点です。
少女たちによってたどたどしく紡がれていく、甘酸っぱい青春の絆をどうぞ!
関連記事
スポンサーサイト
category
ゲーム [★★★★☆]
FLOWERS

FLOWERS -Le volume sur hiver- (冬篇) その1(シナリオレビュー)

冬編をやろうと思っていたら夏になってしまった。
なので、エアコンをガンガンで冬っぽくしてプレイ!

四季4部作の最終章の主人公は、春編と同じく白羽蘇芳。
残された七不思議のふたつ、「真実の女神」「アガペのタルパ」の謎解きを通して、消えてしまった勾坂マユリを追うストーリーとなっている。

この記事では勾坂マユリにスポットを当て、この作品の根幹である七不思議である、「マユリが真実の女神に攫われた理由」を探ってみたいと思う。
なぜ彼女は想いを通じ合わせたはずの蘇芳になにも告げずに去ったのか?
なぜ彼女は「シオン=バスキア」と「勾坂マユリ」の二足のわらじを履かなかったのか?
(たとえばアミティエたちにマザーエルダーのことを打ち明け、淡島家の屋敷から学院に通うことはできなかったのか)

---

結論から言えば、マユリが淡島邸から学院に通うことも不可能ではなかったと思われる。
(学院側からしてみればバスキア家の弱みが明らかにされることは好ましくないだろうが、マユリが口止めされている描写は見当たらなかった)
しかしそれができないのが、マユリの弱さだった。

"言ったでしょう、人は醜いものだと"


この作品群の根底には、秋篇での譲葉も、蘇芳のタルパである義母も言っていたこの思想が根付いている。
そして、マユリにとってもそれは真実だった。

ここでマユリの抱えていた心の傷についておさらいしておく。
マユリの両親は彼女が10歳の頃に離婚し、父親に引き取られた彼女は家政婦に育てられていた。
しかし、どうしても母が恋しくなってしまったマユリは、一人で母に会いに行く。
そこで彼女は離婚の真相――母親の浮気という真実を目の当たりにしてしまう。
そうして心に深い傷を負ったマユリを献身的に癒やしたのが、彼女の育ての親とも言える家政婦だった。
そんな彼女にマユリは恋心を抱くが、その恋が実ることはなく、逃げるようにして全寮制であるアングレカム学院へとやってくる。
そこで知り合ったのが、想い人だった女性を彷彿とさせる少女――花菱立花であった。

あんなに優しくて大好きだった母親が、父と自分を裏切っていた――
幼かったマユリは、真実を追い求めたばかりに人間の醜さを知ってしまったのだ。
彼女にとって真実とは恐ろしいものであり、二心は忌むべき醜さだった。
だが、自分の心の中にもその醜さがたしかにあることを、彼女は知っていた。

立花に想い人だった女性を見ていたこと――
その想いを蘇芳に向けたこと――
そしてなにより、女の子を好きになってしまったこと――
だからこそ彼女は、自分の心の内を明かすことを人一倍恐れていたのだ。

そんなマユリの懊悩すべては、母親に端を発したもの。
すべてを受け入れて愛してくれるはずの存在に拒絶されたトラウマが、彼女を臆病な少女に変えてしまっていた。
蘇芳がどれだけ優しかったとしても、「失恋した」という打ち明け話をするのが限界で、「お母さんがほしい」などという心の弱さは見せられなかった。
だから彼女はアミティエにはなにも告げず、自分の本当に弱い部分は隠したまま、「攫われる」ことを選んだのだ。

マザーエルダーは孫を無条件に愛していたし、マユリは無償の愛を求めていた。
マユリにとって「シオン=バスキアになる」という行為は、「勾坂マユリ」が失ってしまったものを取り戻す行為だったのだ。

---

結局、マユリは最後まで自分の弱さを克服することはできない。
「真実の女神」が消えるそのときまで、彼女は学院には帰ってこないのだから。

人間は醜い存在である。
そんな「本当のマユリ」を知って、それでも蘇芳と立花は温かく迎え入れる。
彼女たちは友人であり、恋人であり、家族であり――アミティエなのだから。
そうして勾坂マユリは、かつて失ってしまったもの、それ以上のなにかを手に入れるのだ。

「わたしたち、三人のアミティエで佳かったわね」
「一人が倒れたとき、アミティエの一人が支えてくれれば佳い。けれど、寄りかかって二人とも倒れてしまったら――」
「わたしが二人とも抱き起こすわ! だからアミティエは三人じゃなくちゃね!」

関連記事
category
ゲーム [★★★★☆]
FLOWERS
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。