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加奈…おかえり!! 知的ルート第1エンド


知的ルートと銘打たれたいくつかのエンディング群は、小中学生の妹に本を読ませまくると、妹が賢くなって迎えるものらしい。なんだそりゃ

賢くなるってのは、小難しい単語を使うようになったり、アポトーシスについて語ってくれたりするようになることを指すのではなく、他人の態度や自分の病状から「死期を自ら悟る」ことを言っているんだと思う。
それは、本の知識ではなく、叔母の死に触れたことも多いに関係しているに違いない。
(知力を上げる選択肢と、須磨子さんのエピソードに関係性がなかったらごめんなさい)

色々なことを知り、けれど病院から出られない加奈の実体験は、知識にまったく追いつかない。
まるで頭でっかちのようになっていく加奈。

「……私もそろそろ自立しないとって思って」
「いろいろ、考えてるの」
「……兄さんだっていつまでも家にいるとは限らないし」
「……お父さんやお母さんに心配かけないようにしたいし」
「……勉強だってしなくちゃ、本だってもっとたくさん読みたい」
「……考えたいことだってたくさんあって……あって……」
「兄さんにもキレイな恋人ができた……し……」

「けど……けどね……わたし……何もしてなくて……生まれてから何もしてな……叔母さんは死んじゃうし、お兄ちゃんは彼女できるし……わたしだけ時間が止まってて……何かしなくちゃって思って……なのに身体は痛くて……」
「つらくて……寂しくて……」
「恐くて……」


いくら賢くなって「死期」を知っても、「死」そのものを知ることはできない。
それは誰もがその存在を知っているにも関わらず、未だ解明されていない大いなる世界の謎の一つだからだ。

自分に残された時間はあと少し。彼女は焦る。
誰もが前に進んでいるのに、立ち止まっているのは自分だけ。
けれど、焦ってもなにもできない。

しかし、あるとき、彼女はふっと気づく。
自分をなによりも大切に想ってくれる人のこと。
そして、自分もその人を心の底から大切に想っていること。
それは、おそらく海に行き、彼の背に負ぶわれたとき。
あるいは、自分を大切に想うあまり、抱かないという決意を見せられたとき。

生きられなかったことは悲しい。
けれど、後悔はしない。
彼女は、彼女の人生で、彼女だけのたからものを手に入れ、世界が終わった後でも、それは続いていくのだから。

「今まで……どうだった?」
「生まれてきて、良かった。だって……大好きな人と過ごした時間なんだもの」


そうして彼女は雪のように、ただ溶けて消えていくのだ。

---

なんだか終わりかたそのものは、ひどく無難なものだった印象。
妹とエッチしちゃうとまたがらりと変わってくるのかもしれないけど。

しかし、須磨子さんのエピソードは完成度高し。
香奈ちゃんの前ではまるでお姉さんな加奈ちゃんは、とてもほほえましかった。

というか、日記はどうしたんだ?
読んでね、って言ってたよ! 読んでないよ!
でも読まれたらまたヤバそうだから、このまま忘れててもいいんだよ!
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ゲーム [★★★☆☆]
加奈 ~いもうと~

加奈…おかえり!! ノーマルエンド

前回の夕美エンドの記事において、私は加奈に対する主人公の想いの純粋さに疑惑をかけていた。
本当に加奈のことを大切に想っているのか? と。
今回、ノーマルエンドを経て、その疑惑は確信へと変わった。

しかし、それは主人公のせいではなく、曖昧な選択肢しか選ばなかった私のせいだった。
加奈も大事、夕美も大事。でも、一番大事なのは、自分。
そうして、加奈のためではなく、自分のために加奈を大切にしていたから、加奈を失ったとき、自分をも失ってしまったのだろう。
そういう意味では、選択肢式のアドベンチャーゲームとしては、本当によくできていると思う。

ノーマルエンドでは、主人公は加奈の想いに応えるため、加奈を大事にする。
加奈を失っても、加奈を大切にする想いまでは損なわれることはない。
だから迷路に足を取られることもないのだ。
そして最後、加奈は伝えることの許されなかったその想いを、たった一つの言葉に込め、レコーダーへと吹きこむ。

ラストシーンは、正直に言って、感動的だった。
これを「ノーマルエンド」と言うのはもったいないほど、きれいにまとまっていた。
「死にたくない」の慟哭を経てのアレは、ヤバいよ。ヤバすぎだよ。
小学生並みの感想だけど、この一言で伝わるはず。日本語ってすてきだよね。

---

鹿島夕美について。
彼女は、賛否両論あるキャラクター付けがなされていると思う。
というか、否定的意見のほうが多いのではないだろうか?

夕美はたぶん間違いなくナルシストで、すぐ悲劇のヒロインになってしまうタイプの女の子だ。
だから、加奈が死に瀕していても、その事情を自分の価値観でしか測れないし、加奈の死をあまつさえ自分の恋路に利用しようとさえする。
正直、ちょこちょこ顔をのぞかせる夕美の自己中さには、私もイラッとさせられた。

そんな彼女のワガママは、飽くなき生への欲求とも言えるもの。
自分が可愛くて仕方がないから、幸せになりたくて仕方がないのだ。
性欲が強いのも、生のエネルギーの顕れなのだろう。

けれど、夕美は自己中だけど、悪人じゃない。
彼女の欠点は、使いようによっては、明らかな長所となる。
自分が幸せになるために、主人公を幸せにしようとするのだから。
事実、夕美エンドでもノーマルエンドでも、主人公が加奈の死を乗り越えられたのは、夕美の生のエネルギーのおかげだろう。

過程は正しくなくても、最後はハッピーエンド。
そんな、塞翁が馬のようなヒロイン――それが、鹿島夕美なのだ。

こういう女の子、まるで人間っぽくって、私はぜんぜん嫌いじゃないよ!
一緒にいたら、ぐいぐい引っぱってってくれて、気づいたら毎日楽しくなってそうだし!
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ゲーム [★★★☆☆]
加奈 ~いもうと~

加奈…おかえり!! 夕美エンド

残念なお知らせです。
私、自分を重度の妹フェチだと思っていたのですが、どうやら違うのかもしれません。

衝動的に究極の妹ゲー「加奈」をはじめたところ、なぜか妹・加奈ではなく、幼馴染み・夕美とのエンディングを迎えました。
世界一のお兄ちゃんになろうと思っていたのに! どうしてこうなった!!

加奈を傷つけたくなかった。
でも、夕美も傷つけたくなかったんだ。
そしたら、夕美とセックスしてるとこ加奈には見られるし、加奈といちゃいちゃしてるとこ夕美には見られるし、もう最悪。

でもたぶん一番最悪なのは、八方美人な選択肢しか選べなかった私なんだろうね。

---

プレイしたのは「加奈 ~いもうと~」のリメイク版、「加奈…おかえり!!」。
リメイク版は、フルボイス化+原画の描き直しだけで、シナリオは同一の模様。

兄性に目覚め、病弱な妹を守ろうと決意することで人間的に成長していく主人公。
けれど、妹への気持ちは、いつしか異性へのそれと色彩を似せていく。
兄妹愛と異性愛の間で揺れ動くうちに、彼の目からは、妹以外なにも見えなくなってしまう。
そして、その妹が消えた日以来、彼の目はなにも映すことはなくなった。

結局、主人公は最後まで夕美を愛することはない。
付き合っている最中だって、夕美に加奈を重ねて見ているだけだし。

そんな主人公の不純な想いを、夕美も理解している。
理解していて――なお、好きでいることがやめられない。
夕美が傷ついていることを理解しているからこそ、受け容れられない。
加奈への想いが顕在化してしまった今、夕美を受け容れてしまうことは、主人公のトラウマになった小学生時代のラブレター事件と同じか――あるいはそれよりもひどい裏切りに違いないから。

大切にしてきたもの。
なにもかも犠牲にして――好きだと言ってくれた女の子を裏切ってまで、自分のものにしたかった存在。
それは、もはや加奈ではない。抽象的な自分そのもの。
加奈の死を受け容れることは、自分の存在を否定することと同じ。
だから主人公は心を壊してまで、執拗に妹の姿を追い求め続ける。

そんな出口のない袋小路のような、色のない世界にも、まだ残っているものがあることに気づく。
それが、夕美の献身的な愛だった。

ならば、どうしてそれは残ったのか?
夕美は「本能」という言葉で主人公を好きな理由を述べていたけれど、それも小学生時分の「兄」に目覚めた主人公の姿を見ていたから。
言い換えれば、加奈がもたらしたものだとも言える。
だから、主人公は夕美を――加奈の死を受け容れることができたのだろう。

---

夕美ルートは、かなりどろどろして、どうにも後味のよろしくないシナリオだった。
狙って作ったのなら、それは大成功です。

後味を悪くしている原因は、夕美の負い目と、主人公の負い目に、釣り合いが取れていないような気がしてしまうからかな。
どう考えても、主人公のほうが夕美にひどい仕打ちをしているように思える。
夕美はいったいどうやって自分の心に整理をつけたのだろう?
あるいは、本当に整理がついているのだろうか?

また、主人公の思いにも、やや疑問符。
夕美を失いたくなかったのではなく、これ以上なにも失いたくなかっただけではないか?
ひいては、加奈を守りたかったのではなく、自分を守りたかっただけではないか?
そんな疑惑までかけてしまう。

「この……いくじなし!」
「加奈ちゃんと一緒に、この世から消えるなんてできっこないんだよ、隆道君はこれからも生きていかなくちゃいけないんだよ?」


十年も想いを持ちつづけるなんて、並大抵の強さじゃない。
夕美は、だから主人公を愛しつづけることができるのかもしれない。
彼女もまた、これからも生きていかなくてはならないのだから。
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ゲーム [★★★☆☆]
加奈 ~いもうと~
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