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彼女と彼女の猫 -Their standing points- まとめ

  季節は春の初めで、その日は雨だった。
  だから、彼女の髪も僕の体も重く湿り、あたりは雨のとてもいい匂いで満ちた。
  地軸が音もなくひっそりと回転して、彼女と僕の体温は世界の中で静かに熱を失い続けていた。
  その日、僕は彼女に拾われた。
  だから僕は彼女の猫だ。


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「秒速5センチメートル」の新海誠のデビュー作、彼女と彼女の猫。
短編小説のような趣のある、5分程度の短いアニメーション作品である。

こういう作品の良さを文字にするのはとても難しいね。
これが上手に出来たら、きっと私も文章を書くことで食べていけるに違いないのだけれども。

とにかく、雰囲気が全ての作品。
バージョン違いがいくつかあって、そのどれかで彼女が泣いた理由も語られていたと思うのだけれど(たしか妊娠したとかそんな話)、それは些細な問題。
一番重要なのは、最後のシーンに詰め込まれている。

  雪の匂いを身に纏った彼女と、
  彼女の細い冷たい指先と、
  はるか上空の黒い雲の流れる音と、
  彼女の心と、僕の気持ちと、僕たちの部屋。
  雪は全ての音を吸い込んで、
  でも、彼女が乗った電車の音だけは、ピンと立ち上がった僕の耳に届く。

  僕も、それからたぶん彼女も、
  この世界のことを好きなんだと思う。


この素晴らしき醜い世界、というやつだね。
どんな辛い出来事が起こっても、そこにあるものはいつでも美しい。
あるいは、そうでも思っていなければこんな世界で生きてはいけない、ということかもしれない。

直接言葉にすることはとても難しいし、さらに言葉にするとそれだけで褪せてしまう。
そういう雰囲気のなかでのみ伝わるメッセージを、とても上手に描いた作品だと思う。

アニメーション自体の完成度は別に大したことない。
全て新海誠がひとりで作ったという点はとてもスゴいと思うけれど、それは視聴者が評価することじゃないしね。
新海誠自身のナレーションは、あまり上手ではないとは思う。
けれど、なんども観直していると、これもいいな!と感じてしまう妙な味があるのが不思議だ。

新海誠は、雰囲気でなにかを伝えるのがとても上手いひとだと思う。
合わないひとだと、だから何?みたいな感想になってしまいそうだけれど、私は結構好み。
他の作品とは明らかに毛色が違うので難しいけれど、とりあえず★2評価を付けておきます。
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アニメ [★★☆☆☆]
彼女と彼女の猫
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