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SWAN SONG 1章

鬱ゲー枠として始めた、SWAN SONG。
シナリオライターがキラ☆キラと同じ人らしい。
キラ☆キラの文体が結構好きだった私としては、期待してしまうね!

シナリオ自体は群像劇形式で、主観をころころ変えながら物語は進んでゆく。
基本は一本道なシナリオで、選択肢によってはすぐバッドエンドになってしまうようだ。
とりあえず1章が終わったので、一旦記事にする。

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物語の舞台は、クリスマス・イブの夜に震災に見舞われた地方都市。
そこで集まった6人の男女のお話。

1章は、なんとか教会を拠点として、日常を取り戻そうとする話。
お互いの距離感をなんとなく測って、非日常を日常として受け入れようとしていく。
柚香が体調を崩したのをきっかけに、6人だけで生活するのには無理があると悟り、教会を脱出し、街で他の生存者に会ったところまで話は進んだ。

街で出会った警官に無警戒でいると、男はその場で殺され、女はレイプされたあと殺されてバッドエンド。
こういう壊れてしまった世界だと、そこで壊れてしまった倫理や常識なんてのがメインテーマになってくるよね。
サバイバルとかいうマンガでも、そんな話が多かった気がする。
でも、やっぱりどうしても救いようのない話にならざるを得ない予感。
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ゲーム [★★★★☆]
SWAN SONG

SWAN SONG 2章

1章のラスト、狂った警官からはなんとか逃げて、司は柚香とエッチしちゃってた。
そして鍬形目線で、柚香寝取られ展開に。
なんだこれ、リアルにありそうでキツいな。
さすがに柚香のあのセリフは鍬形の妄想だろうけど。
しかし見てしまったこと自体は妄想じゃなかったのが驚き。うーむ

2章は、6人は避難場所になっていた病院に辿り着き、そこで避難生活を送りはじめる話。
そこに襲ってくる外界からの狂気の手。
まずは病院が襲われ、次に避難所の学校に燃料を盗みに来たところを追跡し、相手のねぐらを突き止める。

  (女の子が襲われてる! 助けなきゃ!)
  (でも、助けに行って返り討ちにあったらどうしよう 怖いよ)
  (でも、こっちは武器もあるし、奇襲だし、意外と勝てるんじゃ?)
  (早くしないとセックスが終わって勝率が下がっちゃうし、女の子も殺されちゃう)
  (でも、やっぱりひとりじゃ無理じゃないか?僕まで殺される)
  (冷静に考えて、見ず知らずの女の子より自分の命のほうが大事だろ?)
  (あぁ、こうやって逃げ道を探している自分ってなんて下らないんだろう)
  (こんな自分もう生きてる価値もないや、殺されてもいいからひとりで助けに行こう)

ここまでグダグダ考えておいて、ひとりで助けにいく鍬形はカッコ良い!
しかも結局ちゃんと助けられるしね。
鍬形は助けた女の子とイイカンジになれたりするんだろうか。
レイプされる気持ちはわからないけど、女の子の言う言葉はキツい。
  「わたしの身体、なんだかくさいんです」
  「どこか、腐ってませんか?」

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ヤツラを捕らえて監禁したはいいけど、逃げられてしまう。
それに気付いた鍬形がもたもたしてると、あろえと柚香、さらに司までヤツラに殺されてバッドエンド。
ひとりで追っていっても、ヤツラに反撃されてフルボッコにされる。
鍬形ちょっと可愛そうすぎる。

ヤツラのうちのひとりが、柚香を人質にして逃げる。
司がひとりでそれを追うけど、応援を待っていると柚香が殺されてバッドエンド。

この辺は社会機能を維持していない集団が、犯罪者をどう処分するのか、っていうあたりがポイント。
たしかにリンチで死刑にするのが感情的には正しそうだけど、それを容認した集団がどうなっていくのか、考えるとあまりハッピーエンドにはなれなさそうだよね。
でもなんとかして無力化しないと、こういうことになっちゃうし。

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司と柿崎院長のエピソードはとても良かった。
シナリオの大筋にはほとんど関係ないのに、こういうところがしっかりしているのは嬉しいね。

そういえば、柚香は処女だったのだろうか。
慣れてない描写はあったけど、処女じゃなかったのかも。
処女厨が蔓延しているエロゲ界では珍しいよね
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ゲーム [★★★★☆]
SWAN SONG

SWAN SONG 3章

3章では、6人のいる避難所である学校が、他の集団と接触する話。
その集団は新興宗教で、しかも6人を襲ってきた警官もそこに帰依していた。
もうなんか、お互いわかり合える気がしないよね。
結局、街に残された物資を巡り、小競り合いが起こるようになる。

その中で、学校内でも穏健派と過激派に別れてくる。
わかり合えないのは仕方ないとして、不干渉を貫くか、不安材料を消し人々の平和を守るために戦うか。
穏健派は多能村、過激派は鍬形として描かれる。
こんなのどうしようもない問題だよね。
冷静に考えれば不干渉が一番なんだけれど、禍根を断ちたい気持ちもわかる。

大智の会とはとうとう実際の戦いが始まり、死傷者が出てくる。
戦いで戦果を挙げれば過激派の発言力が強くなる。
そして、過激派によって穏健派の筆頭であったリーダーは毒殺され、クーデターが起きる。
結局鍬形に多能村は殺せず、生き残ったけれど、多能村は雲雀を連れて学校を出て行く。

このあたりでだいぶ鍬形がオカシくなってきてしまっていた。
でも何が正しくて何が間違っているかを決める基準がなくなってしまったからね。
相手のことを思いやる気持ちが、どう自分たちにメリットになるかを考える想像力が必要だった気はする。
鍬形には雲雀が必要だったと思うんだよー

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司とあろえは大智の会に捕らえられていた。
お告げとやらで、司は教祖との子供を作るように強要されたりして。
教祖の竜華樹とエッチしちゃうと、バッドエンド。
でも竜華樹は献身的で結構可愛い。

学校ではほとんど独裁者と化している鍬形は、大智の会を皆殺しにしようとする。
その前後で、鍬形が柚香をレイプしちゃうと、これまたバッドエンド。
虐殺の際に誤って司まで殺してしまい、それを悲嘆した柚香は自殺する。
バッドにならなくても、竜華樹と司以外はほとんど皆殺しなんだけどね。

平和な世の中の価値観では、明らかに鍬形たちはおかしい。狂ってる
でも、この過程を見せられると、一概にそうとは言えなくなってくる。
鍬形たちがそう考える理由も、根拠もわかってしまって、自分がその立場だったら同じようにしないとは言い切れないから。

多能村と雲雀が正常値のバロメータだったのに、このふたりがいなくなるとキツいよー。
ふたりが学校を出て行くシーンはとってもよかったけどね!

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司と柚香の過去、そして柚香の内面の描写もあった。
柚香の考えてることは意外とよくわかったなぁ

結局人は死んでしまうんだから、本気で泣いたり怒ったりすることなんて無駄じゃないか。
しかも私たちは、今までよりもよっぽど死に近いところにいる。
どうせ死ぬのなら、楽しいことばっかり考えて過ごせばいいのに。
希望とか未来とかに変にこだわって、生きている辛さをわざわざこれ以上増やさなくたっていいのに。

そう話す柚香に司は言う、そんなに絶望しなくてもいいと思いますけど。
柚香にとても共感できる私も、なにかに絶望していたのだろうか。
柚香もびっくりしていたけど、私もびっくりした。
「困ったな、自分でも気付かないなんて。そのあたりがなんというか、酷いですね」

司と柚香の過去の出会いの話はよかったね。
こういうエピソードの充実は、ゲーム自体の完成度を高めてくれる。
できればピアノ演奏のBGMが欲しかったところだけれど。
結局スワン・ソングの白鳥って、あろえのことなのかなぁやっぱり
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ゲーム [★★★★☆]
SWAN SONG

SWAN SONG 4章(ノーマルエンド)

4章は、大智の会という明確な敵を失った学校の話。

司とあろえは大智の会から逃げ出し、教会で自活していた多能村と雲雀に合流する。
しかし、そこにも学校が残党狩りをしにくる。
そこで多能村は命を落とす。

司とあろえと雲雀は、多能村の時間稼ぎもあってなんとか逃げ延びる。
その先で、外界から来た人間と接触する。
そして一緒に学校へ行き、鍬形を説得しようとする。

しかし、鍬形は先に投降してきていた大智の会の残党と一緒に、司と雲雀を裏切り者として処刑しようとする。
司は左腕を落とされ、雲雀は輪姦される。
このあたりでバッドエンド入ったかと思ったのに、これが本筋で焦った。
雲雀ちゃんお気に入りだったのに…。

組織が先鋭化してきちゃうと、敵がいないと組織が成り立たないのはわかる。
けど、ルールを重視しすぎて、遊びをなくしちゃうのはよくないよね。
鍬形の気持ちもわかるんだけどね。
でも、施政者のすることじゃなかった。

私は思うのだけれど、鍬形に必要なのは希美じゃなくて雲雀だったんだよ。
ふたりとも一つの視点に集中して、周りが見えなくなるところは同じだけれど、そこに気持ちがあって、互いを理解しようとする姿勢さえあれば、ふたりはきっと良いカップルになれたと思うんだ。
そうすれば、互いが互いのブレーキになって、何かを妄信することもなかったのに、って。
そのためには、希美を助けるのは多能村じゃなきゃいけなかったんだなぁ。
でも鍬形が希美を助けられたからこそ、彼は自分に自信を持つことができたわけで。
やっぱりどうしようもなかったのだろうか。うーむ

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結局、猜疑心が恐怖心を呼び、恐怖心が暴力を呼び、学校は自滅した。
生き残ったのは司と柚香だけなのかな。
雲雀とかどうなったんだろう。

ふたりは教会へ行き、そこであろえの死体と彼女が完成させたキリスト像を見付ける。
死に行く司、生き残ったことに絶望した柚香、ふたりは十字架を立てる。

結局、空虚な人生を送ってきた柚香に、司が言いたかったことはなんだったのだろう。
なんとなく分かるような気もするんだけど、言葉にすると違うように思える。

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結局4章にはバッドエンドが6つも用意されていた。
しかも、ノーマルエンドとは言え、結局全員死んでしまうし。
教会に現われなかったということはきっと雲雀も死んでいるのだろうし、柚香も最後には自殺するに違いない。

このシナリオにメッセージがあるとしたら、きっと「生きていることは無意味だけど無駄じゃない」っていうことなんじゃないかな。
よく考えたら、地震があって以降、彼らは何も生産的なことをしていないよね。
ただひとつ、あろえが十字架を完成させたこと以外は。
きっと、その(無駄な)努力の結晶を青空に向けて立てたら、とても美しい光景になるはず。
私たちがどんなことをして生きていようと、世界はいつでも美しいものなんだろう。
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ゲーム [★★★★☆]
SWAN SONG

SWAN SONG 4章(トゥルーエンド)

ノーマルエンドをクリアしたあと、4章冒頭からやり直すとトゥルーへ行ける。

ノーマルと違う出来事は、教会を襲ってきた鍬形を多能村が積極的に迎撃したため死ななかった、そして竜華樹が学校へ投降せずに多能村たちと合流した、この2点のみ。
話としては、鍬形を捕虜にして隣町の人と一緒に学校に戻ったら、意外と友好的に受け入れてもらえて、結局誰も死なずに済みました、っていう感じ。

ちょっと無理矢理ハッピーエンドに仕立て上げた感はあった。
鍬形が欠けた学校がどうなっていたのか、司たちはどういう経緯で学校に受け入れられたのか、そのあたりが省かれていたのは少し残念だったね。
けれど、向日葵の種を持ってくる雲雀と、独房にいる鍬形のエピソードは、ライターとしても入れたかったのだろうと思う。

結局、雲雀はいつでも元気な女の子だったし、鍬形もやっぱり卑屈な男の子だった。
鍬形を突き動かしていたものに名前を付けるなら、それはやはり「狂気」なんだろうけれど、狂っていたのは決して彼だけじゃなかったよね。
むしろ本当に狂っていたのは無名の大衆で、鍬形はその気に当てられていただけとも思える。
ちょっと好意的に過ぎるかな?

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竜華樹と司の関係のくだりはとても良かった。
そのあとの雲雀のリアクションもね!
やっぱり雲雀がいると和むよなぁ。
やや取って付けた感が無いわけでもなかったけれど、大智の会もただ信仰のためだけに動いていたわけではない、人間的な部分が描かれていたね。

この作品が鬱ゲーと言われるのは、単に大災害が起こって生きることが難しくなったり、やたらとバッドエンドが多くて登場人物が死にまくったりするせいじゃない。
みんながみんな、非日常のなかで自分なりの正しさを追求した結果起きてしまった争いや行き違い、それらの醸し出すどうしようもない閉塞感のせいなんだろう。
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ゲーム [★★★★☆]
SWAN SONG

SWAN SONG まとめ

--- シナリオ ---

完成度は非常に高い。
エロゲーのテキストというよりも、普通の小説のような印象を受ける。

起こる事件やイベントなどは単純でわかりやすい。
けれど、その行動に至る登場人物の思考、心理を追うのは難しい。
それは、私が大災害という非日常の舞台に経験がないせいでもあり、私が他人の気持ちを想像したり共感したりすることが苦手なせいでもあると思う。
だが、おそらく最も大きな理由は、このシナリオがとても詳細に登場人物の心理を描写する反面、その裏を読ませようとする書き方をしているせいだろうと思う。

群像劇という形式を取っているこの作品では、複数の登場人物の視点で物語が進む。
そして、あろえについてはまったく語られない。
あろえはとても重要なキャラクターなハズなのに。

彼女については、公式HPに「プレ・スワンソング」として震災前のショートストーリーが公開されている。
なかなか面白いエピソードだったね。
ゲームに収録してもいいくらいのクオリティだと思うのだけれど。

八坂あろえについて
これは他所で書かれていて納得してしまったのだけれど、他の登場人物の欠点を詰め合わせた象徴的な存在として、自閉症の少女八坂あろえは描かれているという。
ひとりでは生きられないから社会を作り、孤独から身を守ろうとして見栄を張り、他人がわからないから自己に埋没する。
人がその欠点に押しつぶされて個を保てなくなったとき彼女も死に、うまく共存できたときは彼女も笑う。

「白鳥は死ぬ前に一声だけ鳴く」「その鳴声はその生涯で最も美しい」
こういう伝説があるらしい。知らなかった。
教養がないとこういう時に面倒だ。

この作品だと、白鳥はあろえで、その歌は継ぎ接ぎのキリスト像、と考えるのが自然かな。
他の登場人物の可能性もあるけれど、白鳥に喩えられるほど美しい死に様を見せた人はいなかったもんね。

あろえの歌が本当に美しいものだったのかどうか、私にはよくわからない。
けれど、心を表現する術のない彼女の鳴声をどう感じるかは受け手に任されてしまっているし、私は人間はその死に際が最も美しくなれる可能性を持った瞬間だと信じている。

--- キャラクター ---

それぞれのキャラクターの個性が良く考えられて描かれていた。
キャラクターの性質がそのままシナリオに直結しているからね。

一番わかりやすかったのは、狂気に当てられた悪役としての鍬形だね。
別に悪じゃないんだけれどさ。
何度でも言うけど、鍬形に必要だったのは柚香でも希美でもなく、雲雀だったんだよ。

そして、柚香も少し変わった登場人物だった。
司と付き合うは付き合うけれど、ふたりはおそらく永遠にわかり合うことはできないだろう。
ふたりともよく似て、とても内向的なんだよね。

--- CG ---

絵のタッチは少し独特かな。特に鼻の描き方。
私は好きでも嫌いでもなかった。

立ち絵はなく、表情をカットインとして入れてくる。
その演出はよかったね。
背景などの細かいカットインも多かったし、グラフィック的なクオリティは比較的高めだと思う。

グロ描写のCGがほとんどなかったのは不満。
まぁそういうゲームとは違うのだから仕方ないのかもしれないけれど。

--- その他 ---

声優
特筆すべきことはなかった気がする。

音楽
普通。
BGMを使わないことでの場面演出が多かったな。
それと、オープニング曲はもう少しなんとかならなかったのだろうか。

Hシーン
それ目的では使えないかな。
セックスを物語に含めることでリアリティを出すためだけに、Hシーンは入っていると思って良い。

システム
このシナリオライターの特徴として、一文がものすごく長くなる傾向にあるから、そこに配慮してほしかった。
わかりやすく言うと、テキストが読みづらい。
それと、音声再生中に次の文章へ進むと台詞が切れる。
この2点以外不満はありません。

--- 評価 ---

テキスト的な意味でのボリュームは少なめだけれど、内容は盛りだくさん。
エロゲーを作るつもりだったというよりも、ノベライズゲームを作ったらたまたまエロゲーになってしまった、といった風情の作品。

完成度はとても高い。
ただ、人を選ぶ作品であるのには間違いない。
おそらくこのシナリオライターは、ノーマルエンドのほうを主眼に物語を書いている。
なので、処女厨とハッピーエンド厨には合わないと思う。

あまり鬱ゲーと言われる作品を多くプレイしてきたわけではないけれど、このゲームの鬱な感じを超えられる作品はなかなかないと思う。
トゥルーエンドだって、バッドエンドと比べて変わったのは「一見平和になった」というだけで、登場人物の人間性は何も変わっていない。
彼らは変わらず欠点を持っているし、変わらずわかり合うことはできない。
でもそれが現実であり、人生なんだよなぁ

個人的には、文庫本みたいな形で枕元に置いておきたい作品。
寝る前とか、気が向いたときに気に入った部分だけパラパラ読み返したい感じの。
そんな「読ませる」エピソードがいっぱい散らばっていたね。
鬱ゲー枠でこれを超える作品はあるのだろうか、★4評価です。
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ゲーム [★★★★☆]
SWAN SONG