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電波的な彼女(OVA) 1、2話+まとめ

三周目視聴:加筆修正 2012/10/29

未来日記が面白いという話をしたらオススメされた、電波的な彼女。
単発のOVAが2本と、消化しやすそうなので観てみることに。
とりあえず、タイトルにとってもそそられるよね!

同じ作家が書いている「紅」という小説のスピンオフ作品にあたるらしい。
紅は全く知らないのだけれど。

--- 1話 電波的な彼女 ---

人は皆 中身を隠している
それぞれが 剥き出し になる瞬間
彼は何を見せてくれるのだろう?


不良の主人公と、「前世からの絆」といって彼につきまとう電波な女の子が、連続通り魔事件を解決する話。

「俺は一人だ。でも同情なんかすんな、すんじゃねえ! 俺はそんなもん欲しがるほど弱くねえ!」
「わかっています。ジュウ様は弱くない。だから孤独も怖くない」
「私を信じてください。私がいる限り、あなたに寂しい思いはさせません。あなたの敵はすべて排除します。私はあなたのために存在するのですから」


主人公の柔沢ジュウは、紗月美夜にとって、孤高の、彼自身の王に見えた。
だれともツルまない、一匹狼。一人で完結している、完全な存在。
それはある種、美夜にとって憧れだったのだろう。

「初めてジュウ君のこと見たとき、すごく気になったの」
「いつも一人で仏頂面で、でも平気な顔してて、なんか王様みたいな人だなって」
「だから見てみたいと思ったの。ジュウ君の、中身」
「目の前の現実に困惑して、どうしていいかわからなくなって、きっとすごい素敵なものを見せてくれるって」


紗月美夜の言いたいことは、わかる気がする。
人はみんな何かを隠しながら生きている。
どんなものを大切にして、何を隠しているのだろう。それが見てみたい。
そして、自分の隠しているものと比べてみたい。

誰とも本音で向き合えない、誰にも助けを求められない、誰も信じられない。
そんな、熟しすぎて腐っていく心を見ているようだった。

紗月美夜の不幸は、自分が不幸であることに気付かなかったこと。
誰にも助けを求められなかったこと。
ジュウは彼女を救わなかったし、救おうともしなかった。
ただ、彼女がするべきだったことをしてみせただけ。

「お前はかわいそうな奴なんだよ。そういう奴は、だれかに助けてもらう権利があるんだ!」
「俺は、王なんかじゃない……。俺は弱い。寂しいのは嫌だ。辛いのも苦しいのも……」
「俺はこのまま死ぬのは嫌だ。みっともなくてもなんでも言ってやるさ」
「怖いよ、寂しいよ、死にたくないよ――だれか俺を助けろよ!」


雨がジュウを慕っているのは、幼少期にジュウが雨を助けたことがあったからか。
そのシーンにセリフはなかったし、ジュウも大したことをしたつもりはなかった。
けれど、泣いていた雨にとっては、きっと何よりも大きな支えになったのだろう。
その朧気な記憶が、雨に前世という理由を与えたのだろうね。
そう考えると、雨がとても一途で切ない女の子に見えてくる。

しかし堕花雨の素顔が可愛い設定は必要だったかな。
最初は全く顔見えないし電波すぎて怖かったのに、素顔は以外と可愛いじゃん!ってなった途端に、電波でもいっかぁみたいな軟弱な心が出てきてしまった。
確かに可愛いに越したことはないんだけれどね!複雑だね

雨がジュウを美夜から助けるところはカッコ良かった。
こういうトンでる人って躊躇いがないのが見てて清々しいよね!

--- 2話 電波的な彼女~幸福ゲーム~ ---

幸せになりたい
小さな頃からそう思ってた
誰だってそう思ってる
でも――
どうすれば幸せになれるの?
――幸せになりたい
わたしは幸せになりたい――


柔沢ジュウの周囲で些細な嫌がらせが頻発し、それがジュウに良くしてくれた生徒会長や、堕花雨の妹の光にまで及んだので、なんとかしようとする話。
嫌がらせは「他人を不幸にすることで自分の幸福値を上げる」ことを信じているグループがやっていた。

確かに、自分が幸せになることは他人に不幸をもたらす、そういう一面もある。
でもそうじゃない幸せだって確かに存在するはず。
綾瀬一子はそれに気付けなかったんだね。そして生徒会長も。

「幸せ潰しか……。そんなことしてて、あいつは本当に幸せだったのかね?」
「だと思います。その間は信じていられますから。この辛い状態はもうすぐ終わると」
「それって、ただ現実から目を背けてるだけじゃないのか」
「そうです。手っ取り早く幸せになる方法は、現実を見ないことなのです」


幸せになりたい。私も時折そう思うことはある。
でも私もどうすれば幸せになれるかなんてわからないし、目指すべき幸せの形もわからない。
きっと今の世の中ってそういう人が多いんじゃないかな。
幸福クラブは、そんな歪んだ世界を象徴しているような気がしたね。

「お前にとっての幸せってなんなんだ?」
「今、まさに私が感じていることです」


気になったのは、一子みたいに自分の行いを100%信じられて、死さえもねじ曲げられる意志をもつ人が、ちょっと雨に言われた程度で自分の考えを改められるものかな?
幸福値を上げること自体を否定されたわけじゃないからいいのか。
でもそれが否定されなかったから、生徒会長もあんなことに。
とても良いラストだったけどね!

--- まとめ ---

「可哀想に。君は狂ってるね」
「みんな狂ってるさ。狂ってるから気付かない。この世界がどれだけ歪んでいるかにな」


正直に言って、予想以上に面白かった。
私はどちらかといえば1話のほうが好き。
電波なのは雨だけじゃなかったよね。
どこかおかしくなってしまった人の、秩序立った狂った世界が描かれていた。
まぁ完全に普通な人なんかいない、人間はみんなどこかおかしな部分を抱えているという観点からすれば、とてもリアリティのある世界だとも言える。

ここで描かれている電波な女の子は、いわゆる「狂っている」と世間では思われている思考に取り憑かれて、それを正しいと思い込んでいる。
そういう女の子の迷いのない行動って、見ていて清々しい気持ちになるね。
何かを信じていて、それに対する真っ直ぐな行為って、美しいものだからね。

「紅」は知らなくても楽しめた。あまり関係ないんじゃないかな?
絵柄が妙な感じなのは、そういうものだと納得しました。
出てきた駅はそのまんま下北沢駅だったね。

本当は1クールくらい使って普通にアニメ化してほしいところだけど、原作が滞ってしまっているようだ。
ネタがないなら、雨とか光とかのラブコメ展開は少しならあってもいいよ?少しだよ?
普通にアニメにしたらとっても面白い作品になると思うんだけどなぁ。
続きがとても気になるよ!

OVAだけあって、クオリティは上々。
OVA1本でTV版2話分だから、合計4話分でここまで評価できる作品はあまりないかも。
調べたら、ヤンデレという新ジャンルを確立させた先駆け的存在でもあるらしい。
こんな掘り出し物な作品と出会えたのは僥倖。
大満足の秀作、★4評価です。
category
アニメ [★★★★☆]
電波的な彼女