Entry Navigation  [カテゴリ別アーカイブ]

グリザイアの迷宮 体験版 まとめ

2011年度萌えゲーアワード大賞、金賞を受賞したグリザイアの果実。
その続編が、グリザイアの迷宮として2012年2月に発売される。
これは期待せざるを得ないよね!
ということで、体験版が公開されていたので、さっそくプレイしてみた。
プレイ時間は2時間ほど。

収録されていたのは、天音アフター、みちるアフター、雄二過去編「カプリスの繭」。
ちなみに、製品版にはヒロイン5人のアフターと雄二過去編に加え、「デイブ教授の抜きまくりチャンネル」「ショートショートシナリオ」というものも収録される模様。
最後のふたつはなんだ?

---

天音アフター
エッチシーンのみ。
原作の果実からして天音ルートのエッチシーンは笑えると評判だったけれど、今回も同じ路線を踏襲してきたようだ。
いや私はこういう女の子好きだよ?天音可愛いよね!

みちるアフター
日常シーンのみ。
雄二にデレすぎて脳みそまでデレているみちるちゃんが見られる。
あれ?みちるってこんなアホの子だったっけ?
幸と蒔菜の出番もある。
このゲームの醍醐味とも言える日常シーンでの下ネタは、やっぱりとても面白いね。
そしてやっぱりみちるがいちばん可愛い!異論は認めない!

カプリスの繭
迷宮でのメインシナリオ。
雄二が師匠である日下部麻子に拾われて、一緒に暮らす話。
それ以前の雄二の過去についてはあまり出てこない。
陰惨な人生を送ってきたことは垣間見えるけれど、その苦悩を乗り越えて一回り成長する過程が描かれる。
体験版のくせになかなか盛り上がったよ。
雄二と一姫のエッチシーンがありそうな展開だったのには期待せざるを得ない。

熊の絵はこれでいいんだろうか。
まぁもともと変わった絵柄のゲームなので、あまり深くツッコんじゃいけないんだろう。

麻子の声を担当するのは、安定のかわしまりの。
かわしまりのが好きなのとは違うんだけど、この人が出てくるととても安心するね。
ただ、麻子の立ち絵の雰囲気が若干由美子と被っている気がしなくもない。

---

これは製品版も確実にプレイするね!
せっかくなので、迷宮発売前に果実を二周目プレイしてしまおうかと考え中。

予約特典のみちる抱き枕カバーはとても気になるね!
本当は大きなポスターとかのほうが良いのだけれど。
まだ絵柄が公表されていないからなんとも言えないが、もしかしたら予約してしまうかも。
みちる様は、人気が、ある!
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実

グリザイアの果実 共通ルート

2011年度萌えゲーアワード大賞で金賞を受賞した「グリザイアの果実」。
グリカジは、私が真面目にギャルゲーを始めてから4本目に手を付けた思い入れの深いゲームであると同時に、シュタゲ・リトバスに次ぐ満点★5評価を付けたゲームでもある。
果実、迷宮、楽園という三部作構成になるらしいけれど、その二作目であるところの「グリザイアの迷宮」が2012年2月24日に発売されるということで、それに備えて果実の2周目をプレイすることにした。

しかし今日は2月21日、実質あと3日しかない。
これも「WHITE ALBUM2」をクリアするのに10日もかかったせい。
できれば5日、余裕を持って一週間で終わらせるつもりだったのに。
もっと気持ちにゆとりを持ってこの神作品に再び向かい合いたかったような気もする…てか本当に間に合うのか…?

---

このゲームの魅力の6割は、共通ルートにあると言っても過言ではない。
多くの所で言われている通り、共通ルートは明るく楽しく、個別ルートは暗くシリアス。
そのギャップが、このゲームの世界観を際立たせている。
隔離施設のような学園なのだから暗いハズなのに、空元気のごとく楽しい雰囲気を演出しているような気さえする。
「言ったでしょう?まともなら、こんな学園になんて居ないわよ…貴方を含めてね」

共通ルートの楽しさは、主人公の風見雄二のキャラクターの因るところが大きいかもしれない。
世間離れした軍人キャラな出来る系主人公の雄二の、現実的かつ論理的な語り口から、ヒロインたちのキャラクターが浮き彫りにされていく。
共通ルート「アホの子と嘘ツンデレ」での雄二のみちるに対する印象や、「グレイ・シュガー」での、雄二が千鶴に語るヒロインたちの所見に、そのあたりの特徴がよく出ている。

また、雄二が姉の一姫や師匠の麻子なんかから教わった「人生の教訓」のようなちょっと擦れた感じの一般論から、ヒロインたちの個別の行動の描写に移り、最後にオチを付けるこのシナリオの書き方は、個人的な好みかもしれないけれど私はとても好きだなぁ。
ときどき雄二が世間離れしすぎていて滑っているところもないではないけれども。
みちるを赤痢扱いするところとかね。

---

普通にコメディものとしても優秀。
みちると猫ニャーの出会いのチャプター「チャーリー」とかやばい。
私がみちる好きだという贔屓目はあるのかもしれないけれど、これは間違いなく面白い。

ちょっとダークな笑いの要素があるのも良いよね。
幸のみちるに対する扱いとか。
「みちる様の社交性には頭が下がります。まるで壊れたダンプカーのように相手の懐に飛び込んでいきますよね」
「みちる様、冷静になった上で、その現実を受け入れてください。みちる様は、人気が、ない」
「ちゃんと頭数から外して頂けるはずです。みちる様は、頭数に、ない」


そして、楽しさの要素として外せないのは、エロゲーならではの18禁な笑いの要素。
オナニーの話題で盛り上がったり、幸がいきなり下着姿で登校してきたり。
エロゲーとしてのキャパシティをフルに使い切っているよね!

このジャンルでは、「痛快、エクストリームスポーツ」での蒔菜のセリフを金賞を贈りたいね。
何度聞いても吹いてしまうよ
「なんだ貴様ら!どいつもこいつも青ビョータンみてーな顔しやがって!気合いを入れろ!ジジイのファックの方がまだ気合いが入っている!この腐れマンコ共!」

面白いだけの話を書ける人ならよくいるけれど、「印象に残る文章」「笑える文章」を書ける人は少ない。
そういう意味では、この数多のコメディシーンを書いたライターは、間違いなく才能があるね!

---

2周目ともなると、個別ルートへの伏線となるシーンが目について、1周目とはまた違った新鮮な気持ちでプレイできた。
例えば、「オープニング」での雄二と天音の初対面のシーンとか、みちるの「銀の銃弾で狙う場所」とかね。
まぁそのあたりは個別ルートの記事で触れていくことにしよう。
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実

グリザイアの果実 みちるルート

グリカジ2周目、まずはみちるルートから。
松嶋みちるは「UT」である――とは、公式HPのキャラ紹介より。
昨今のゲリラ豪雨より唐突…それがみちる様ですから――とは、小嶺幸の談。

公式でも作中でもとにかくイジられ続ける不憫な子ではあるけれど、今現在の私の二次元ヒロインランキングでは、堂々の5位入賞を果たしている。
余談だけれど、迷宮の予約特典では迷うことなくみちるの抱き枕カバーを選びました。
みちる様は、人気が、ある!

みちるルートは、みちるの世界の崩壊と再生のお話。
彼女の世界と、抱えている心の闇、そして彼女が作り続けているツンデレキャラがテーマ。

---

共通ルート「銀の銃弾で狙う場所」で、みちるの世界を垣間見ることができる。
世界は大きな箱で空はその蓋、彼女はずっとそこに閉じ込められ続けている。
猫ニャーに邪魔されてみちるは言い切らなかったけれど、彼女が銀の銃弾で撃ち抜かれたいのは、当然一度壊れたはずの心臓。

みちるの中では、心臓移植手術を受けてから、多重人格のようにもうひとりの少女が生きるようになっていた。
共通ルートでの、みちるの「あたしはあたしよ!」などの自己を再認識するような発言が目立つのも、彼女のなかで自己というものの定義があやふやになっているから。
普段のみちるからはもうひとりの人格を認識できず、彼女は酷く怯えていた。

「あたしは、自分の知らない間に何が起こっているのかすごく怖いの。状況が悪くなってないからそれで構わない、なんてことにはならないでしょ?」
「自分の知らないところで自分が何かしてるなんて、すごく、怖い」
「自分が自分でなくなっちゃうような気がして怖いの」
「思い出せないことが多くなって、知らないことが増えて、あたしの世界がどんどん小さく、狭くなって、最後にはあたしは自分でなくなる。そういうのが、怖い」


---

みちるは幼少期に家庭教師からの虐待を受け、親の期待を裏切り、さらに心臓病まで患ってしまう。
彼女はそんな情けない自分自身に存在価値を見出せず、思うのだった――ああ、死にたい。

そんなみちるの目の前で死のうとしていたひとりの少女。
これだけ悩んで、苦しんで、辛い思いをしている自分より先に死のうとしてる少女を、みちるは「ずるい」といって止める。
そうして、ふたりは初めての親友になる。
けれど、しばらく経ってから少女はみちるを置いて死んでしまう。

「結局さ、人間て一人だよね。わたしのこと心から大事にしてくれる人なんて、どこにもいないんだ。最後にはみんな消えていくよね」
「嫌われたくないなぁ…だったら先にわたしから嫌ってやりたい…わたしから先に消えてしまいたい…なんてね」


みちるが学んだのは、自分が大切だと思ったり、必要だと感じたものは、失われてしまうということ。
期待するから裏切られるのだということ。
自分には、自分自身のために何かを求める価値なんかないということ。
そうして、自分のために生きることも死ぬこともできない彼女は、自分を偽って他人を笑わせることで自分の居場所を見付け、ツンデレというキャラクターのピエロになった。

そんな風に生きていても、みちるにだって大切なものができる。
それは猫ニャーであったり、雄二であったり。

けれど、臆病な彼女はそれを自分のものにしようとできない。
猫ニャーには名前を付けないし、雄二とはデート「ごっこ」を繰り返す。
失いたくないけれど、依存もしたくない。
自分を偽れば偽るほど、どうすればいいのかわからなくなり居場所が不安定になっていく。

---

そんなみちるの歪な世界の終わりは、ニャンメルと名前を付けた彼女の猫を失ったことから始まる。
彼女の世界を構成する数少ない大切なパーツのひとつを失った彼女は、親友を失った過去と重ね合わせ、生きる気力をなくしていく。

「あたしより上手に生きれるんだとしたら、その子があたしの代わりをずっとした方がいいのかもね…」
「あたしが今までずっとやってきたことって、あんまり意味なかったのかな」
「だったら、あたしがいる意味って何なんだろう。その子があたしよりよくできた子だとしたら、あたしの存在の意味は?」
「そんな子に、あたし…敵わないよ…」


みちるは辛い現実から逃げ、もうひとりの自分に「松嶋みちる」を譲ろうとする。
それは消極的な自殺であり、自分自身さえ失ってしまえばこれ以上何かを失うという辛い思いをすることはないという、彼女なりの解決方法でもあった。
「生きてるって、失い続けることなんですね。とてもとても、とても辛いです」

けれど、雄二はそんな甘えは許さなかった。
葬式を騙り、みちるに「死」というものの現実を見せる。
それは奇しくもみちるが助けられなかった親友の少女の死と同じ構図。

みちるは、何もないと思っていた自分の世界に、大事な友達や男の子がいることに気付く。
彼女たちはみちるのために泣き、本当のみちるの存在を受け入れてくれていた。
そして、彼女の元に届くのは、死んでしまった親友に伝えられなかった言葉。

「どうして…どうして一人だなんて思うの?」
「ちゃんと、あなたのこと、友達だって思って、大切にしてる人が、いるよ」
「それなのに、どうして一人でどこかに行こうとするの?」
「あなたは、置いていかれるのがどんなに辛いかわかってないんだ。だから勝手にどこかに行こうとしちゃうんだ」
「失うことは当たり前だよ。誰かに嫌われることだって特別なことじゃない」
「わたし、あなたのこと、大好きだよ。だからどこにも行かないで」
「もしあなたが、自分のことを不幸せだと思うなら…」
「これから幸せになろう」
「ここに戻ってきて、これからまた、一緒に生きよう…」


生きる意志を、失うことを恐れない強さを手に入れた彼女が最初にしたことは、自分の大切なひとに想いを伝えること。
「あたし、ごっこじゃなくて雄二と恋人になりたい」
「いつか終わりがくるとしても、それまで、一秒でも雄二と長く一緒にいたい」
「現実から、この世界から逃げないようにする」


---

1周目よりも2周目のほうが染みる話だった。
私は滅多に泣いたりしない人だったんだけれど、ニャンメルが死んだところと、みちるの葬式の由美子の慟哭から掘り起こされて雄二に告白するところまで、涙が止まらなかった。
なんだこれ、こんなに良い話だったっけ。
過去最高のギャルゲーシナリオかもしれない。
みちるの世界の構成も素晴らしいし、その表現の仕方も素晴らしい。
明るく元気いっぱいに見える外面と、実は儚い内面の対比は、間違いなくギャップ萌えだよ。

みちるの世界は、「永遠に失われないものなんかない」「自分が消えても代わりはいる」という、生きていると誰もが一度は抱える原則的な悩みを突き詰めた話。
私たちはその現実に直面したとき、適当に自分を誤魔化すことができたから、今まで生き延びることができた。
けれど、みちるにはそれができない。
それが彼女の持つ少女性であり、眩しい純粋さ。
私たちがただ持っているのが辛いからという理由だけで捨ててしまったものを、彼女は大切に持ち続けていたんだね。
本当は、捨ててはいけないはずのものだったのに。

---

エッチシーンもなかなか良かったね!みちるかわいい
共通ルートの海へ行ったときの幸に埋められたところも、めっちゃエロかったと思うのですよ。
むしろあれが一番エロかったような…。

バッドエンドについては、ちょっと難しいな。
病院に行く前にキスがみちるの中の少女に何か影響を及ぼした、ということなんだろうか。
あんまりそういうフラグは立ってなかったような気がするんだけど。
あるいは、雄二が引き留めたみちるは、みちるじゃなかったのかもしれない。
そっちのほうが納得がいくかも。

あと、みちるの中の少女についてもちゃんと回収してきたあたり、完成度抜群。
エンディング曲が神曲なのは置いておいて、間奏で切ってエピローグを入れてくる演出はヤバかった。
シュタゲのエンディング逆再生に次ぐ神演出だと思う。

忘れてはいけないのは、雄二のスタンスが素晴らしかったという点。
馴れあいになりがちなこういう悩みを、助力だけで解決は本人に丸投げする。
この「出来る系」具合がとてもニクいね。
2周目になると「埋めちゃうのかよ!」みたいな新鮮な驚きはないものの、そういった味わいはさらに増してきているように思う。
これは化物語の忍野メメのスタンスと一緒なのかな?
「俺は君を助けたりなんかしない。君が勝手に助かるだけさ」ってやつ。

ということで、最後は全てのギャルゲーのエピローグの中で一番好きなこのセリフで。

---

俺は一方的に誰かを助けて、そいつの人生を救ってやった気になるやつが嫌いだ。
「誰かを救うことができる」なんてクソみたいな思い込みだ。
誰かを救うということは、自分の命を差し出したとして、それでも足りないほど大変なことなんだ。
心の傷など、他人が簡単に癒せるものじゃない。
心の傷の深さは、そいつにしかわからない。他の誰にも理解できない。
自分でその傷と向き合い、癒すしかない。
例え一生癒えなかったとしても、それを抱えて生きていくしかない。
人間にはそれぞれの孤独があり、癒されない悲しみがある。
いくら他人が優しい言葉で慰めたとしても、それでは何も解決しない。
本人が悲しみを乗り越えて、成長してこそ意味がある。

こうして俺と奇妙な少女二人の物語は幕を閉じる。
やり残したことや解決されていない問題は山ほどあるが、それは仕方ない。
全てが丸く収まっておしまい、じゃ逆につまらないだろ?
これから俺は、みちると一緒に様々な問題に立ち向かっていくだろう。
この世界は、前を向けば「未来」、振り向けば「思い出」、どこか一部を切り取れば「物語」となる。
これはそんな物語のごく一部分に過ぎない。
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実

グリザイアの果実 蒔菜ルート

グリカジ、2ルート目は入巣蒔菜ちゃん。
このゲームの公式HPでのキャラ紹介での扱いは、どのヒロインもみんなひどい。
マキナに至っては完全にアホの子扱いされている。

マキナの魅力は、愛らしいロリっ娘な見た目に反した毒舌さにあるね。
特に幸との絡みが秀逸。
それでは、園芸の授業で木酢液のついてしまった手を洗っている幸を見たマキナのセリフ。
「なんかスッゲー必死に手ぇ洗ってんだけど、奴はあぁいう病気なの?」
「私にもなんだか、レイプされた女が公園の水飲み場で泣きながらマンコ洗ってるみたいに聞こえるのよさ!」


蒔菜ルートは、彼女が求める父親と、それに応えようとする雄二の話。
マキナの心の闇というよりも、雄二の過去についてかなり深く語られているシナリオになっている。

---

マキナの闇は、いつでも自分の味方でいてくれた父親を、目の前で殺されたこと。
それ以来、彼女は家族のように、無条件で自分を愛して守ってくれる、父親が欲しがっていた。
彼女はそんな人間をずっと探し続け、雄二に出会い、彼女が持っている物を全て差し出すことで、父親を手に入れようとした。

そして、そんなマキナの期待に、雄二は応えようとする。
彼女の袋小路のような自由のない人生に、父親として可能性を与えようとした。
それが雄二の望む父親像であり、彼が師匠の麻子にしてもらったこと。
雄二は麻子を失ったことで一度は生きる理由を見失っていたけれど、マキナに自分が与えてもらったものを分け与えることで、自分の存在理由にしようとした。
こう書くととても打算的な関係に聞こえるけれど、それを温かさで包み込むのがマキナの愛。

自分の業に悩む雄二に、マキナは言う。
「パパの過去に…何があったのかは知らないのよ?でも、きっとそれは、誰も赦してくれないほどの罪なのよね?」
「だったら、私が赦す!例え他の誰もが赦さなくても、私が赦す!」
「誰も赦せない罪で悩んでる方が無茶苦茶だよ…目の前で股開いてる女が赦すっつってんだから、赦されときゃいいのよさ!」
「パパはもう、私のパパなんだから…死ぬために生きるなんて、私が赦さないのよ?」
「お願いだから…しっかり生きてね…?大丈夫、私がずっとそばに居るから…ね?」


マキナは決して強い女の子ではない。
誰かに守ってもらわないと生きていけない。
物理的な障害を排除する方法は、雄二が教えてくれた。
けれど、彼女の心はひとりでは立ちゆかない。
それは、バッドエンドにも良く表れている。

---

蒔菜ルートのチャプターは、一貫して「セカイ樹の種」というタイトルがつけられている。
これは、マキナが園芸の授業でもらったリンゴの苗であり、雄二とマキナが現実から逃げた先にあると信じた希望の象徴でもある。

雄二は、結局はマキナを取り巻く現実と、彼自身が持つ心の傷から逃げた。
マキナに実家に帰っても自己を保てるほどの強さは与えられなかったし、マキナを殺すこともできず、マキナの望む平和を手に入れるために友人を巻き込む度胸もなかった。
どれも雄二の責任ではないし、そんなことは夢物語だというのもわかる。
彼ら自身にもそのことはわかっていた。
けれど、逃げ続けることが正しいことではないこともまた、わかっていた。

しかし、幸が言っていた通り、自分たちのことを信じてくれるひとがいるという事実は、強さになる。
だからこそ、それを失うわけにはいかなかった。
希望を失うことは、命を失うことよりも辛い。
「…命よりも大切な鉢植えなの?子供ね…」
「アンタは…命より大切な物って…ないのか?JB…」


---

蒔菜ルートは救いのないエンディングだと言われている。
確かに、マキナが学園の友人たちが再会することも、母親と解り合うこともなく、雄二も右腕を失う。
結局はマキナも9029号として、雄二のように心を病んでいくのかもしれない。

けれど、大事なのは、セカイ樹の種は芽を出したということ。
親とは、子にその進むことのできる道の可能性を指し示す存在。
麻子が雄二に与えたものは、雄二からマキナへと受け継がれていく。
そして、マキナは自分の力で未来を選ぶことができた。
マキナにとっては、自分の肩書きだけを必要として、何者にもなれなかった入巣の家にいるよりも幸せなことに違いない。
私は、そう思いたい。
マキナの父親がその身を捧げてでも娘に見せたくなかった社会の闇に、マキナが自ら身を投じる結果になってしまったのは皮肉ではあるけれどもね。
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実

グリザイアの果実 由美子ルート

グリカジ、3ルート目は純正クーデレの榊由美子ちゃん。
由美子の原画師が化物語のキャラデザ担当の渡辺明夫なせいか、戦場ヶ原ひたぎによく似ているともっぱら評判の女の子。
このゲームにはわかりやすいメインヒロインがいないけれど、由美子がそれに相当するのかもしれない。
誰のルートにも入らないと由美子ルートになるしね。

由美子の第一印象はまぁ酷いものだけれど、デレると可愛い。
私は2周目になってようやく由美子の可愛さに気付きました。
蒔菜ルートでの由美子もなかなか良いキャラしてたしね!
どうでもいいけど、榊由美子って、二次元ヒロインにしてはかなり平凡な名前だよね。

由美子ルートは、彼女の孤独と家族、いわば「自分探し」の話。
設定は蒔菜とやや似ているけれど、雄二の過去があまり絡んでこない分、少し違った方向性を持つシナリオになっている。

---

由美子の父親は大手私鉄の社長であり、美浜学園の創立者でもある。
この学園は、彼女のために作られた牢獄であり、彼女の世界の終わり。
共通ルート「授業参観」で、そんな触っただけで壊れてしまいそうな由美子の世界が垣間見れる。
屋上に立つ由美子のCGは、世界の果てを見下ろしているようで、とても儚く綺麗だね。

由美子の孤独は、祖父母に邪険にされ、母を失い、父に裏切られ、家族からの断絶によってもたらされていた。
家族に恵まれなかった子供は少なくないし、由美子が特別に悲惨な人生を送ってきたわけではない。
けれど、幼い由美子には家族こそが彼女の世界の全てだった。
期待しては裏切られ、逃げることもできず、彼女は自分自身を見失い、迷子になっていた。
「わたしは生まれてきてはいけなかったんだって…いてはいけない子だったんだって…」
「誰とも…一緒に、いちゃ、いけないんだって…っ」


雄二は、自分だけを犠牲にして、謝罪の言葉を残して去ろうとする由美子に、手を差し伸べた。
榊家の令嬢としての由美子にではなく、ひとりの少女としての由美子に。
決して恋愛感情でそうしたわけではなく、雄二の責任感と過去のナニカが、彼にそうさせた。
――ちゃんとその連中に向かって、報いられるように生きろ。謝罪ではなく、感謝で示せ…
――お前はここにいる。俺が認める。だから俺と一緒に来い
――ここから連れ出してやる。動くための足もやる。喋るための口もやる。操られるな。何かに引っ張られるな。お前が、お前のやりたいようにすればいい
――俺は、そうする為の方法を、お前に示しに来たんだ
――行こう、由美子


そうして、雄二と由美子の逃避行が始まる。
父親の道具にならないために、そして自分自身を見付けるために。

一緒に暮らすうちに、雄二は由美子を通して、由美子は雄二を通して、世界に居場所を見付けていく。
それは自分の存在意義を見付けることであり、お互いを心から必要とすることでもある。
そしてそれは同時に、相手を守るためなら世界と戦うことができるだけの強さを手に入れることでもあった。

逃避行の果てに、由美子は父親と対峙することを決意する。
これからも自分が自分であるために。
自分がかけた迷惑を、謝罪ではなく感謝で返すために。

---

由美子ルートは、ややテーマが曖昧な気がする。
由美子の過去語り「失われた日々」はとても良かったのだけれどね。

ハッピーエンドの父親との決戦は、ややご都合主義な気がしなくもない。
そんなことを言い出したら全部そうなってしまってキリがないから言わないけど。
けれど、そう感じてしまうのは、そのあたりの説明がおざなりなせいかもしれない。
由美子が父親との和解の糸口を掴む終わり方は良かった。

バッドエンドもそこまで暗くない。
バッドというよりノーマルという感じ。

デレてくる由美子はとても可愛い。
そして彼女を口説く雄二はカッコいい。
迷宮のアフターで、コメディ的な意味でみちるに次いで楽しみなのは由美子かもしれないね。
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実

グリザイアの果実 幸ルート

グリカジ、大詰めの4ルート目は、真面目でドジっ子な淫乱メイド、小嶺幸ちゃんを攻略。
第一印象ナンバーワンの、正統派萌えキャラです。

余談だけれど、幸を見て二次元キャラの髪色について真面目に考察したことがある。
例えば、蒔菜はみちるに「この小汚いパツキンめ!」とは言っていたけれど、幸に「ピンクはやっぱり淫乱なのよさ!」とか言っているところは見たことがない。
ということは、みんなにはみちるやJBは金髪に見えているけれど、天音や幸が赤やピンク髪に見えてはいないようだ。
つまり、幸の髪がピンクに見えるのは私たちの目の錯覚であり、奇抜な髪色は、実は同系統の大人しい色の強調表現だとしか考えられない。
ただそうすると、天音の髪色は赤系の茶色を表わしているとして、ピンク髪は何色を表現しているのか、という新しい問題に行き当たる。
困った私は、青やピンクなんかのあり得ない髪色は実は「黒」という結論に落ち着いたのでした。

閑話休題。
幸ルートは、彼女の罪と罰がテーマ。

---

彼女は、幼少期に両親を交通事故によって失っていた。
そのことを、彼女は「ワガママを言う悪い子」だった自分のせいだと責め続け、「人の言うことを聞く良い子」になることで、自らを保とうとしていた。
その結果が、忠実なロボットのように黙々と指示をこなし、そこに疑問を持つことも、意見を挟むこともない従順なメイドであり続ける、今の幸。

その危うさに雄二が気付くのは、チャプター「約束」で、雄二と「いつもの場所」で待ち合わせした幸がそのまま行方不明になったことから。
「いつもの場所」は雄二が幼少期に知り合った少女サッちゃんといつも遊んでいた公園であり、その幼馴染みのサッちゃんこそ、小嶺幸だった。

振り返れば、その伏線は「オープニング」で自己紹介した雄二に「ユウくんとお呼びしてもよろしいでしょうか?」と聞いたところから始まっていた。
「断らない女」で湯あたりした幸が「わたし…また、風見さんの前で気を失ってしまったんですね…」と呟いたこともそう。
「密着メイド24時」でカレーを振る舞う幸が「風見さんはカレーがお好きでしたよね」と言うこともそう。
「小嶺幸能力調査」初日に「今日はちゃんと来てくれたんですね」と呟くのもそう。

雄二は、そんな幸に積極的に関わり、彼女の闇を照らそうとする。

---

良い子でさえいれば、お前はお前でいることができるのか?
良い子で居続ければ、お前は自分の大切なものを守れるのか?
こう尋ねる雄二に、幸は答える。
「何かを失いたくなければ…良い子でいないといけない…」
「そうじゃないと…みんな無くなってしまう…」
「大切なものを失うのは、自分が死ぬことよりも怖い…」


そんな幸の世界が崩れるのは、みちるのお願いを聞いて学校を無くした、その本当の意味に彼女が気付いたところから。
「良い子で居続けることで大切なものを失うなら…わたしは今まで、何のために…っ!」
「こんなの違う…絶対に違う…」
「わたしが望んでいたのはこんなんじゃない…こんなんじゃないのに…」


良い子になる、という生き方が間違っているわけじゃない。
その信念を貫き、それを理解してくれる友達がいれば、一つの立派な生き方。
けれど、重要なのは、そこまでして守ろうと思ったものを見失わないこと。
目的と手段を取り違えないこと。

――今まで、独りでよく頑張ったな。幸

---

そうして幸は自らに課した枷を外し、自由になったかのように見えた。
けれど、幸せになるのと比例し、悪夢にうなされるようになっていく。
自分が両親を殺した、その罪は消えない。
逆に、贖罪であった「良い子になる」という呪縛が外れたことで、彼女の罪は顕在化していく。
「幸…どうして…」

PTSDに苦しみ、過去に囚われ続ける幸。
雄二は、そんな幸を植物状態の母親に会わせ、フラッシュバックという罰に向き合わせ、受け入れさせる。
そして、悪夢に出てくる彼女を憎み苦しみ続ける両親の幻想を、彼女に殺させた。

失ったものを取り返すことはできない。
けれど想いは取り返すことができる。
そんな、優しすぎた女の子の、幻の罪のお話。

---

幸ルートは、幼馴染みとしての伏線の張り方はともかく、彼女のキャラクター自体が伏線になっているという意味で、構成としての完成度はかなり高い。
他のシナリオに比べたら比較的明るめなお話なのも特徴かも。
「家族」がテーマになっているということで、割と共感できる人も多かったんじゃないのかな。
私も両親からの手紙のあたりは少しうるうるしてしまった。

バッドエンドについては、雄二の過去についてまだわからないので、コメントしづらいな。
無理矢理バッドエンドを用意したと言われることもあるようだけど、きっと迷宮の過去編をプレイすれば、何かしらの答えが見つけられるに違いないよ。

展開としては、現実的にそれアリ?みたいに思う点もないでもないけど(学校を爆破しちゃうとことか、5年以上放置していた実家が当時とそっくりそのまま残っているとことか)、一応ちゃんと説明されていたから及第点としよう。
そして、幸はやっぱり萌えキャラだね。
海での「まだ帰りたくありません…」の破壊力は大層なものだった。

他ルートでも、ボケにツッコミに下ネタに、なんでもできる幸のスペックには目を見張るものがある。
特に蒔菜が絡んでくる下ネタはスゴイよね。
アフターではこのあたりも見所だと思っています!
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実

グリザイアの果実 天音ルート

グリカジ、ラストはタダでエッチさせてくれる近所のエロいお姉さんこと、周防天音ちゃん。
私が考えた悪口じゃないよ?公式HPにそう書いてあるんだよ!

しかし何とかグリマヨ発売日に間に合って良かったよ。
三日半でなんとか終わらせました。
プレイ時間は、個別6h、共通平均6h*5、計40時間弱か。
こう書くと、80時間中40時間しかプレイしていない現実に、やや愕然とする。
寝食を惜しんでPCに向かっていたような気分だったんだけどな。
記事を書くのに各1時間以上かかっているのにも原因がありそうな気はしている。

天音ルートは、天音の罪と罰のお話。
ではあるのだけれど、メインは天音と一姫が巻き込まれた事故について。

---

「大丈夫…今度は私…ちゃんと強くなるから…」

転落事故の唯一の生存者である周防天音にとって、生きていること自体が罪だった。
一姫の犠牲で生かされた命を捨てることはできず、生きている限り赦されることのない罪。
自分を責めても罪は許されないけれど、それ以外に自分を罰することができない。
彼女は、生きることを罰してくれる存在を求めて生きていた。

天音は、雄二が美浜学園に転校してきた当初から、彼が一姫の弟であることに気付いていた。
雄二に出会うまでは、自分を責め、他人に貶められることが罰だった。
けれど、そんな罰では到底自分の罪は贖えない。
そして、彼女は自分を罰してくれる存在として、雄二に近づいた。

雄二にとって都合の良い存在であり続けること。
自分の全てを捧げ、何も与えられないこと。
それこそが彼女の罰と成り得た。
しかし、天音はいつしか捧げることで幸福を与えられるようになっていた。
罰を受けることで、さらなる罪を重ねてしまっていた。

そんな天音に、雄二は「自分のために一生を捧げる」罰を与える。
生き残った罪は、彼女にとっていわば原罪のようなものであり、生きている限り贖いようがない。
しかし、幸せになる罪は赦すことができる。
それは、自分に罰を与えてくれる雄二の希望でもあるのだから。

ハッピーエンドは、天音が天寿を全うするところまで描くのはやや蛇足ではないかと思わないでもないけれど、彼女の罪が赦される時を描くためにはしょうがなかったのかと思う。
バッドエンドも、幸ルートほど救いのない話ではなかった。
雄二のために生を遣うことこそが彼女の希望だったのだから、彼女にとっては贖罪に値する終末だった。
誰が彼女を赦すのかという点でやや天音の自己満足気味であるのと、雄二にとっては愛した女を失うという意味で確実にバッドエンドではあったけれども。

---

シリアスさにおいては、転落事故「エンジェリック・ハウル」がある限り天音ルートが一番だろうね。
天音しか生き残らないというオチを知っていても引き込まれるだけの、疾走感のある話になっている。
面白いというよりも、楽しいシナリオだった。

一姫が何を考えていたのかは気になるところではあるけれども、この結末は彼女が予想した通りだったのだろう。
それは、彼女の遺書とも言える手紙と、そこに入っていた包丁からも推察できる。
雄二は一姫生存説を唱えていたけれど、私も生きているんじゃないかと思いたい。

一姫については、雄二の口からその端々が語られるだけで、全体像はまだ見えてこない。
このあたりは迷宮で…わかるのかなぁ。
楽園まで引っ張りそうな気がしてしまうね。
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実

グリザイアの果実 まとめ

--- シナリオ ---

  砕け散る この世界から 今救い出す

OPテーマ「終末のフラクタル」でも歌われている通り、少年少女の世界の崩壊と再生というテーマがシナリオの根本にある。
暗い過去を持つ少年少女をキャラクターにしてはいるけれども、これは彼らに限った問題ではない。
誰もが抱くような身近な悩みを、彼らにとってはそれが世界の全てになるほど純粋なものへと昇華させ、それを各キャラクターに付与している。
例えば、由美子なら「家族」「孤独」、みちるなら「存在意義」「友情」、幸なら「家族」「愛憎」など。
こうしたテーマを明確にし、きちんと起承転結を組み立てたシナリオは、概して完成度は高い。

特筆すべきなのは、主人公にも「生きる意味」というテーマを付与し、キャラクターを確立している点。
主人公にきちんとしたテーマを持たせるという姿勢は、珍しいものだと思う。
更に、そのテーマが普遍的に人間の根幹にあるものであり、全てのヒロインの世界の再生への足がかりとなっていることが、シナリオの完成度を一層高めている。

非常に語弊がありそうなのだけれど、「CLANNADは人生」というセリフが理解できる人にはこう言おう、「グリザイアは人生である」。
登場人物の世界を描くということは、その人生を描くということでもある。
個性というのは、歩んできた人生のなかで形作られていくもの。
登場人物の個性にはちゃんとそうなるだけの理由があり、決して逆ではない。
そして、その理由はきちんとシナリオに組み込まれている。
言い換えれば、キャラクターを使い切っている、ということでもある。

どのシナリオでもハッピーエンドとバッドエンドがあるのも良い。
人生は上手くいくことばかりじゃないもんね。

というようなシリアスな面とは一変し、ギャグのクオリティが素晴らしいのも特徴。
共通ルートの記事にも書いたけれど、私は「面白い話」を書ける人は多くても「印象に残る文章」「笑える文章」を書ける人は少ない、と考えている。
そういう意味では、この数多のコメディシーンを書いたライターは、間違いなく何かを持っている。
これはライターが複数いることもこのクオリティを発揮する要因になっているのかもしれないね。

個別ルート評価
みちる > 天音 ≧ 幸 > 蒔菜 ≧ 由美子

みちるルートは、過去最高のギャルゲーシナリオだと言って良いレベルだと思う。
個人的に好みなテーマだったせいかもしれないけれど、私にはツボだった。
シナリオライターの文体も私好みだったね。

天音ルートは、「エンジェリック・ハゥル」の完成度がポイント。
雄二の人間性に大きな影響を及ぼした、姉の一姫について良く描かれていたと思う。
細かなリアリティを追求したのが、この結果を生み出している。

幸ルートは、幸のキャラクター設定を完全に使い切っていた点がポイント。
ラストの落とし方も高評価。

蒔菜ルートは、雄二に関するイベントが多かったのがポイント。
燃え展開多めで楽しかったのと、雄二の過去が推察できたのが良かったね。

オススメ攻略順
みちる → 由美子 → 蒔菜 → 幸 → 天音

これが雄二の過去的な意味で、一番ネタバレが少ない順だと思う。
天音を最後に持って来さえすれば、あまり気にしなくていい気もするけど。
全てバッド→ハッピーの順で回収することをオススメ。

--- キャラクター・絵 ---

とにかくみんな可愛いね!
私のお気に入り順は、みちる > 雄二 > 由美子 > 幸 > 天音 > 蒔菜 かな。
主人公がここまでお気に入りになるギャルゲーも珍しいね。
蒔菜は下ネタ要員としては必須だね!

CGはどれも素晴らしいクオリティ。
キレイだしエロいし、言うことなし。

立ち絵はちょっと変わったポーズのものが多いような気がする。
最初は違和感あったけど、ずっと見ていると「これじゃなきゃ!」となるから不思議。

SDキャラがあったのも嬉しい。
立ち絵とセリフだけじゃ伝わらないものってあるもんね。
こういう楽しさって重要だと思うよ!

--- Hシーン ---

各キャラ2~3回ずつ。
絵が上手いとエッチシーンも萌えるよね!

天音ルートだけやたら多いと言われているけれど、細切れに入れてきているだけで、CGの枚数は大差ない。
ただしやたら笑えてやたらエロい。

幸の従順さを利用した鬼畜なシーンがあったりしないかなーとか期待していたけど、さすがになかった。
そういうのを求めるなら違うゲームで、ということか。

--- 声優 ---

ヒロインに関しては文句無く素晴らしい。
私の一押しは、みちる様の声を当てている水橋かおりかな!
蒔菜役、民安ともえのあの独特な声も好き。
由美子役、一色ヒカルも味があって良いよね。
天音役、田口宏子はやっぱり安定。
幸役、清水愛も好みとは違うけどハマり役だと思う。
千鶴役、まきいずみボイスが聞けたのも満足。

残念なのは、一姫の声を当てている青山ゆかり。
演技の幅が足りないせいか、どうしてもまじこいのワン子に聞こえてしまう…。
あと、男キャラの声優がもっと上手な人を使ってくれてもよかったかなーと思わないでもない。

--- 音楽 ---

何はともあれ、オープニングを評価せずには始まらない。
曲も良いし、アニメーションも良い。
とても完成度の高いオープニングになっている。

BGMも素晴らしい。
キラ☆キラ、スマガと同列の名曲揃いだと思う。
私のお気に入りは「TOY BOX」と「瓶詰めの空」。

ボーカル曲もなかなか。
「SKIP」はヘビーローテーションです!
みちるエンドはエンディングアニメーションも好き。

--- システム ---

一通り揃っている、という感じ。
おまけでチャプターごとに鑑賞できるのは素敵。
ちゃんとサブタイトルと一言コメントが付いているあたり、作品に対する愛を感じるよね!

--- 評価 ---

フロントウィング10周年記念作品として、全三部作として制作されたグリザイアシリーズ第一作目。
記念作品の名に相応しい、力作に仕上がっている。
シナリオライターが複数いるせいか、チャプターごとにしっかり区切られているのも、共通ルートなんかではメリハリがあって良かったと思う。

最初から三部作にするつもりで、伏線を全部回収してこないことが批判されていることもあるようだけれど、私としては別に気にならないかな。
むしろいっぱい楽しめていいじゃない!くらいの勢い。

私は好みだったからよかったけど、この主人公が苦手な人は辛い作品になっているかも。
良くも悪くも、主人公の存在感がとても大きいので。

とにかく、よく練り込まれた世界観が堪能できる。
笑いも燃えも萌えも泣きも、全てが入っている。
面白くて楽しくて笑えるなんて、とても贅沢なゲームに仕上がっています。
2011年度萌えゲーアワード大賞金賞も納得の、神作★5評価。
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実

グリザイアの迷宮 みちるアフター

2012年2月は、「ハツユキサクラ」「死神のテスタメント」「猫撫ディストーションEX」「かみのゆ」など、有力なタイトルが数多く発売されたようだ。
その中でも、「グリザイアの果実」待望の続編「グリザイアの迷宮」を開始。
まずはUT――嘘ツンデレ改めウザいツンデレ――こと、松嶋みちるちゃんのアフターから。

みちるの声を担当する声優は、水橋かおり。
有名な声優なだけあって、演技の幅は広いようだ。
そもそも、みちるとみちるの中の少女の声ですらかなり違うからね。
私がお世話になったところで言うと、まじこいの不死川心とか、まどか☆マギカのマミさんとか、ゼルダの伝説のナビィとか。恋チョコの木場美冬もそうか。
不死川心はすぐわかるけれど、マミさんとかあんまりピンと来ないねー。

みちるアフターは、失うことを恐れるより失わないための努力をする強さを手に入れたみちるが、幸せな時間を永遠にするために努力するお話。
と言えば聞こえは良いけれど、実際はただただ雄二とイチャイチャする、脳みそが蕩けて耳から流れ出しているような甘いシナリオ。

---

「どうやらわたしも、この暑さに少しまいってしまっているようです。だってずっとエロい、頭が」
幸がそう音を上げるほどの残暑の厳しい日、みちるはただ「このコート可愛い!雄二に見せたい!」という理由だけで、真夏日にコートを着込んで冬っぽいデートをしようとする。

みちるはどうやら幸せすぎて頭がヤラれてしまったようだ。
グリカジのときはここまでアホの子でもなかっ…あったかも…。
その裏表のないアホさがみちるの魅力ではあるのだけれどね。
女の子はちょっと頭が悪いほうがモテるっていうし。

アフターでは、みちるの中の少女とのシーンもあったりする。
少し期待していただけに嬉しかった。
なんか良くわかんないけど、多重人格での3P?みたいな?そんな展開もあったり。
結局みちるの中の少女の名前はわからずじまい。

---

プレイ時間は、のんびりやって3時間強。
エッチシーンは2回。
エッチそのものの濃さは、グリカジとあまり変わっていない。

日常シーンのCGも数枚。
みちる可愛い。特にファミレスのところ。
プリクラにはちょっとわろてしまった。
黒髪のみちる様も悪くないけれど、私は金髪のほうが好みかもしれない。
らしいっていうかね。

SDキャラを多めに使ってきていたかな。
何故かギャグ要員として由美子が登場。
この笑いの取り方はまじこいみたいだね。
しかし由美子はグリカジ当初の孤高の気高さみたいなオーラが、まるで勘違いであったかのように消え去っているよね…。

---

「あたし、こんなこと考えるの。あたしの元から消えてしまったもの、去って行った人。たくさんのものを失い続けてきた」
「きっと、これからもそうやって生きていくんだと思う。雄二だけはずっと、永遠に一緒にいて欲しいけど、そんなの無理だよね」
――永遠は無理だが、努力して、その永遠に一秒でも近づけることはできるだろう。永遠のすぐそばまで俺たちは近づけるはずだ。努力さえ惜しまなければな

「あたしを救い出してくれてありがとう。あのままだと、おかしくなっちゃうところだった」
「雄二、あたし幸せ。本当にありがとう」

そう言って、みちるは笑った。
大切なのは、本当に永遠が続くかではなく、永遠にしようとする気持ちそのものだから。

---

もし雄二がみちるに手を差し伸べなかったら。
そんなみちるルート以外でのみちるの未来について、少し考えてみた。

「雄二は…どうして自殺しなかったの…?」
「死ねば全部終わるんだよ!?なにもかも全部終わり!それが一番楽じゃない!」
「死にたい死にたいって言ってるだけの弱い人間と違って!強く生きることが出来る人間なら、強く死ぬことも出来るでしょう!?」


カプリスの繭で、雄二の過去を知ったみちるは、こう激昂する。
雄二のことを責めているような口ぶりだけれど、これは全部彼女が自分自身を責めるもの。
生きる意味を見失い、生き延びる辛さを味わっていた彼女は、けれども死ぬ勇気すら持てずに、嫌なことから目を瞑って日々をただ漫然と過ごしていた。
自分よりよっぽど死にたいと思うような経験をしてきたはずの雄二が、なぜ今まで強く生きて来られているのか。
自分は雄二ほど不幸ではなかったはずなのに、なぜ今まだ強く生きられないのか。
「ダラダラと生きているぐらいなら、死ねばいいのよ!」

結論から言って、ヒロイン5人のなかで、みちるが一番悲惨な運命を辿ることになると思われる。
そもそも、みちるルート以外でみちるのその後が語られたのは、由美子ルートでのみ。
しかもその触れ方も、美浜学園がなくなり幸と一緒に他の学校に転校していった、程度のあっさりさ。

美浜学園に来た時点で、みちるの世界はもうほとんど壊れていた。
潜在的に自殺願望があり、しかも実際に命を絶たずにも「眠る」だけで済む手軽さ、そしてバッドエンドでもあったように実際に自殺しようとする強さをも秘めている。
ニャンメルの死は彼女の世界の崩壊にトドメを刺したにすぎず、それが無くともこの先同じようなことはいくらでも起こり得る。
なぜなら「生きることは失い続けること」という言葉自体に間違いはないから。
自殺するか身体を自分の中の少女に譲るかの違いはあっても、みちるが自分であることを辞める日はそう遠くないだろうね。

確かに彼女はとても臆病で人の顔色ばかりうかがう、弱い人間かもしれない。
しかし、彼女の持つ優しさや人を気遣う心配りの細やかさは、彼女自身がその価値を見出していないだけで、誰かを幸せにして、そして自分も幸せになるのに十分値する素質だと思うのだ。
私は、人間は誰しもが強く生きなければならないとは思わないし、生きていればきっと良いことがあるなんて無責任なことも言わない。
だけれど、みちるアフターでの彼女の笑顔を見て、いち松嶋みちるファンとして、心の底から私は思うのだ。
彼女には幸せになってほしい、と。

――今こうしてオマエと、平穏な河川敷で二人座り、ただ過ごしている
――今が夢のようだ。それ以外の夢について考えるのは贅沢すぎる。だから、今の、この瞬間が全てで、それでいい。これ以上は望まない
「あたしも、雄二が全て。そうだね、今が夢みたいだもん。これ以上望むなんて贅沢だね」
「ありがとう、大好き」
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実

グリザイアの迷宮 カプリスの繭(雄二過去編)

グリマヨ、メインとも言える雄二過去編「カプリスの繭」クリア。
このゲームはネーミングセンスがなかなか秀逸だよね。
みちるは酷い言われようだったけど、私は猫ニャーも可愛くていいと思うんだよ?
ちなみにカプリスとは「急変」「気まぐれ」というような意味で、「グリザイアの楽園」に繋がるような展開への予兆って感じかな。
今更急変とか言われても、今までの雄二の人生もかなり急転直下な展開の連続だったと思うんだけどさ。

雄二の過去は、大きく分けると「姉の死」「両親の死」「ヒース・オスロとの生活」「麻子との生活」「軍学校」「麻子の死」「美浜学園」という要素に分けられる。
中でも雄二にとって重要なのは、「ヒース・オスロ」と「日下部麻子」だろう。
風見雄二というキャラクターのテーマが「生きている意味」であることは、グリカジのまとめ記事にも書いた。
彼はなぜそれを探し求めるのか、今まではどう意味づけてきたのか、そしてこれからどう意味づけていこうとしているのか。

ちなみにカプリスの繭の舞台は、グリカジから1年後の次の夏、雄二が誰とも恋仲にならなかった世界のようだ。
天音は自分の過去を雄二に告白する機会があり、他の4人は特に変化なし、という感じ。

---

幼少期の雄二にとって、姉の一姫は神にも等しい存在だった。
いつでも彼女は雄二を導いてくれたし、彼女に逆らっては生きていけなかった。
だから、雄二は彼女の言うことさえ聞いてさえいれば、生きる意味を考える必要などなかった。
平和で平穏で、とまでは言わないけれど、それなりに落ち着いた穏やかな生活。
一姫は雄二を愛していたし、彼らの世界ではそれはいつでも正しいことだった。

全体のボリュームから考えれば仕方のないことなのかもしれないけれど、一姫のくだりはやや物足りなかった。
もっとドSなお姉ちゃんといちゃいちゃしたかったのに。
エッチシーンも少しあったから、文句を言うほどではないけれど。
クローゼットに閉じこもった雄二を説得しようとした一姫を、心にもないことを言って傷つけてしまった、というようなエピソードがグリカジではあったような気がするけれど、それが語られなかったのは残念だった。

しかし、神は死に、彼の世界は壊れる。
雄二は、姉の代わりに彼を守ってくれた母親に暴行を働いた父親を殴り殺し、彼が守ろうとした母親は自殺する。
結局何も守れなかった、自分が両親を殺したんだ、そう自分を責めて心を壊していく。

――文字を書いたり箸を持つのは右、ボールを投げたりバッターボックスに立つ時は左
――じゃあ、人を殺す時は、どっちの手…?


元々左利きだった雄二が右手で父親を殺したのは、「文字を書く」「箸を持つ」などという生活の根本に根差す行為と同じように必要な行為だと認識していたからかな。
あるいは、無理矢理右利きに矯正した父親の前で左手を使うと怒られるという、殺そうとしている時ですら臆病な彼の弱さを表わしているのかも。
もしくは、姉が赦してくれた利き手としての左手を汚したくなかったという、姉の存在感の表現…なんてパターンもあるか。

---

雄二は、父親と付き合いがあったテロリスト、ヒース・オスロに拾われる。
雄二はオスロに最初は愛玩物として、再び人を殺した後はテロリストとして訓練された。

――殺さなければ殺される。だから殺される前に殺す。それが唯一のルールだ
――生き残ったものが正義だ。生きることに意味なんてない。殺すことにこそ意味がある

――キミは人生という木から落ちた、まだ青過ぎる果実だ。誰もキミに見向きもしない。そう、キミは嫌われているんだ
――だけど何も悲しむことはない。私がキミを拾って、種を取り出し、新たな大地に植えて育ててあげよう
――そしてその地を手に入れるのは、キミ自身の手で成しとけなければならない仕事だ
――約束の大地…キミの行きつく場所は、そこにしかない


オスロは、雄二に生きる意味を与えた。
彼の言葉は詭弁でしかなかったけれど、雄二にとってはそれが真実であり、呪いでもあった。
そうして、雄二は心だけではなく身体も壊していく。

---

後に師匠と仰ぐ日下部麻子と出会い、雄二は再び穏やかな生活を送り始める。
麻子の過去に何があったかはわからないが、雄二と同じような陰惨な人生だったようだ。
だからこそ、麻子は雄二を導くことができた。
麻子はオスロの呪いに自分の存在を上書きし、雄二の心を修復してゆく。
生きる意味を与えるのではなく、生き抜く力を与えるという方法で。

麻子のエッチシーンは、まぁこんなもんかっていう感じ。
予想以上に良かったのは、モッサリ金髪JBとのエッチシーン。
もっと見たいくらいのレベルだった。そして笑えた。
果実でも思ったけど、エッチシーンで笑いを取ってこようとするのとか、かなり斬新な試みだよね。

そうして、彼は麻子の後ろ姿を目標として、麻子の力になれるように海兵練校へ行く。
そして留学から帰ってきた彼が麻子と再会したとき。

――俺みたいな人間は、もうどうしたって、普通には生きられないと思っていた
――でも、こうして麻子が居てくれて、「おかえり」って、俺の帰りを待っていてくれて
――麻子は相変わらず、ビックリするほど料理が下手で、それでも、そのクソ不味いメシが、なぜかスゲー美味いって感じて
――きっと、こういう何でもないことが普通っていうことで
――俺はやっと、そういうことなんだなって、気が付いて
――俺が生きてることは、きっと無駄じゃなかったんだって、そう思うことが、やっと出来るようになったんだと、その時、初めて気が付いたんだ

「麻子…俺…"生きてて良かった"って…いま初めて…思った…」


---

雄二は実戦を経て自分に価値を見出し、世界に居場所を見付けてゆく。
人間は弱いものだけれど、雄二は人一倍臆病で弱かった。
幼い頃から自分に価値がないと思っていたから、誰かに認められないと生きていけなかった。
それは一姫であり、オスロであり、麻子だった。

そして、麻子の死。
彼女は今際の時に雄二に言う、自分のするべきことをして、更に自分の生きた証を残せたから満足だと。
生きてきて得た物を、後進に伝える。
それは親から子に成すこと。
麻子にとっても、雄二は生きる意味になっていた。
この生き方は、蒔菜ルートでの雄二のスタンスと全く同じだね。

しかし、雄二は再び生きる意味を見失うことになる。
自分に優しくする女は皆死ぬ、その呪いを解くことができずに。

――俺にはまだ、麻子の残した言葉がある。
――俺は5人の人間を救うまで、死ぬことは許されない。
――それが俺に唯一残された、生き残った意味なのだから。


そして、物語はグリザイアの果実へと繋がってゆく。

---

ギャグは少なめなものの、細かいエピソードが充実しているのは良かった。
ヤブイヌ小隊のあたりは疾走感があって楽しかったね!
お気に入りは、果実で蒔菜に話していた、ミリーとの射撃勝負の話。
こういう細かいところで果実とリンクさせてくると、キチンと作り込まれている気がして好印象だね。ダイマカロフ先輩とかさ

ボーイ・ミーツ・ガールな物語ではないせいか、果実と違ってサスペンス要素が濃い目になっている。
ラストの引きで、雄二が何らかの事件に巻き込まれていたけれど、これが楽園のトゥルーエンドに繋がることを想定すると、かなり雰囲気の違った作品になりそうだ。

都市伝説にもなっている市ヶ谷の地下にいる天才って、どうやら一姫だったみたいだね。
うーむ、その発想は全くなかったよ。
蒔菜ルートで「リンゴの苗を戻しに行け」ってアドバイスした「彼女」だよね。
だとすれば、「彼女」が雄二の詳細を知りたがっていた理由も納得できる。

しかし、一姫はどうやってその地位を獲得したのだろうね。
「エンジェリック・ハゥル」でそんな伏線はなかったよね。
一度自衛隊っぽいヘリが飛んできたことはあったけど…関係ないか。

そして、ラストでどうして雄二をハメたのだろうか。
まさか一姫が雄二を見捨てるわけないし、そうすることが雄二に必要だと思ったからなんだろうけれど。
も、もしかして雄二が美浜学園でハーレム生活を送っていることに嫉妬して…とか…さすがに無いよね…。

とにかく、グリザイアシリーズのトゥルーエンドが一姫ルートになりそうなのは嬉しい。
むしろそうなれ、そうであってくれ。
category
ゲーム [★★★★★]
グリザイアの果実