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響け!ユーフォニアム 1~3話

流し見したけどもう一周したくなったアニメシリーズ



第1回 ようこそハイスクール

高校1年、春。
主人公・黄前久美子が、北宇治高校・吹奏楽部に入部することを決意するまで。

わざわざ同じ中学の子が少ないこの学校を選んだのは、憧れのセーラー服の高校がここだけだったのと、いろんなことを一度リセットしたかったから。


久美子の脳裏には、中学最後のコンクールのことがこびりついていた。
練習して、努力して、本番では思ったような演奏ができて、その結果に満足もしていた。
けれど、高坂麗奈だけは、その上を目指していた。
それを知ってしまった瞬間、今までの自分の努力も、演奏も、吹奏楽部の仲間たちでさえ、色褪せて見えてしまったのだ。

後ろめたく感じるのは、麗奈に余計な一言を漏らしてしまったからではない。
音楽を、吹奏楽を、そしてなにより自分自身を裏切っていたように思えてしまったから。
だから彼女は、いろんなことを一度リセットして、それから新しい一歩を踏み出したいと思ったのだ。

結局、彼女は吹奏楽部に入ることを決める。
けれど、それは吹奏楽に前向きになったからではない。
もちろん、葉月と緑に、いつか音楽そのものを楽しんでいた自分を見たせいもあるかもしれない。
しかし、一番大きかったのは、自分に期待している友達までをも裏切りたくないと思ったからだろう。

久美子はどこか冷めていて打算で動くような、クールなリアリストに見える。
それは家での(まるで不機嫌にすら見える)ローテンションな素の表情からもわかる。
そんな久美子を、どうしてだろうか、私はとても気に入っている。

第2回 よろしくユーフォニアム

楽器分けで、再び「ユーフォによろしく」してしまった久美子。
緑はコンバスを、そして葉月はチューバと運命の出会いを果たす。
今年度の目標「全国大会出場」を多数決で決めた結果、幼馴染の先輩・斎藤葵のフラグが立つ回でもある。

「でも、今日みたいに聞かれたら、全国大会目指すっていう方に手を挙げるでしょ?」
「そりゃあ……ねえ」
「だからややこしくなるんだよ。大人はズルいよ」


2期まで観ればわかることなのだが、たしかに大人はズルいのである。
滝先生は「全国大会出場という目標を生徒が自主的に決断するように誘導した」のだ。

「それ言ったら、どっちにも手を挙げなかった誰かさんが一番ずるいんじゃない?」


本当はもっと上を目指したいけど、それを麗奈に知られたらどう思われるかわからない……。
そんな久美子の葛藤がとても身近なものに感じられる私も、小心者な日和見主義者なのでした!

第3回 はじめてアンサンブル

滝先生の真意の見えない指導と、それに不満を持つ上級生たち。
60人以上が所属する集団をまとめなければいけない部長の苦悩、生徒間の温度差による政治模様などと同時に、去年起こったらしい2年生が多く辞めた事件も輪郭を表してくる。
初めての合奏は、私の素人耳に聞いても、なかなか先行き怪しいカンジでした……。

「私はやるなら一生懸命やりたい。せっかく放課後遊ばないで頑張るんだもん」
「それは緑も同じです! ですけど、それぞれの心の持ち方じゃないでしょうか……」
「でも吹奏楽って個人競技じゃないよね。みんなが同じ方向向いて、みんなで頑張らなきゃ意味がなくて……。今みたいに、やる気のない人たちにイライラしながら頑張るのって、私は……なんか……」


やる気のないユーフォの2年生・中川夏紀や、練習をサボって遊んでいたホルン隊の描写も入り、葉月の想いにはとても共感できる。
しかし、ふと振り返ってみれば、今の葉月が去年の麗奈であり、今の「やる気のない部員」が去年の久美子なのだ。
(去年の久美子も決してやる気がなかったわけではないが、麗奈と向いている方向が違ったという点では同じことだ)
麗奈の悔しさの一片を知ってしまった久美子には、なにも言うことができなかった。

そこに響いてくる麗奈のトランペット。
麗奈は変わらず麗奈だった。
だから久美子は今度こそ彼女を、そして自分を裏切らないことを決意するのだった。

「これ……?」
「『新世界より』。ドヴォルザークがアメリカにいるときに、故郷のボヘミアを想って作った曲なんだって。まだなにもない新しい世界で」

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アニメ [★★★★☆]
響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム 4~6話

第4回 うたうよソルフェージュ

パートリーダー会議の結果、一週間後の合奏までは先生の指導に従うことを決めた吹奏楽部。
滝先生も、現状の「生徒の自主性」に任せていては一向に上達しないことを理解し、精力的に指導に取り組むようになる。
しかしその内情は「体育会系よりも厳しい」ものだった。
そうして皆は知ることになるのだ、「この顧問、マジで全国目指してるんだ……」と。

吹奏楽のことを全然知らない私のような視聴者にも、それぞれの楽器がどんな練習をしているのかを教えてくれる回。
麗奈の滝先生への感情の一片が見える回でもあり、久美子から麗奈へと一歩近づく回でもある。

「言わずにはいられなかった」麗奈と、「言わないと後悔すると思った」久美子という対比には、それぞれの人間性の違いがよく出ている。
久美子みたいな打算的でリアリストな女の子が主人公って、ちょっと珍しい気がする。
(ギャルゲーの男主人公になら多そうなんだけれど!)

第5回 ただいまフェスティバル

高校生になったら胸が大きくなると信じていたのに、去年と胸囲が変わっていなかったことに愕然とする久美子の回。かわいい
サンライズフェスティバルに向け、マーチングの練習をする回でもある。

あの海兵隊の合奏以来、この部の空気は明らかに変わった。
「やってもどうせ同じだ」から、「頑張れば良くなる」に変化したのだ。
人は単純だ。見返りがあるとわかれば頑張るようになり、頑張って良くなれば更に頑張ろうとする。


そんなふうに分析しちゃう久美子は、やっぱりちょっとニヒルなリアリスト。
だから去年も、そして今だって、少し頑張ったからっていきなり全国に行けるようになるだなんてこれっぽっちも思っていないのだ。
そんな久美子を、麗奈も、そして私も、とても気に入っている。

「黄前さんらしいね」


サンフェスで北宇治高校が吹いたのは、YMOのライディーン。
もともとカッコいい曲なのに、それをブラスバンドにアレンジしちゃうとか、相当にアツいセンス。
ちなみに、映画版の総集編ではパーカスソロを含むフルバージョンを見ることができます!
こんなノリノリの曲を必死な顔で吹いているみんな、本当に頑張って練習したんですね。お疲れ様でした!

第6回 きらきらチューバ

その曲は、たしかにダイナミックで、でも失敗したら目も当てられなくなりそうで……。
私は思った。やっぱり滝先生は本気で全国を狙っていると。


サンフェスが終わり、夏の府大会の曲も決まる。
レギュラーメンバーは、慣例では上級生から順に決まっていくのだが、滝先生はオーディションによる選考を決定する。

ほんの少し漂いはじめた緊張感のなか、皆は練習に励む。
そんな中、葉月は初めての壁にぶつかっていた。

「なんか、思い出しちゃって……。うまく吹けないのって、周りが思ってるよりずっと辛いと思うんです。なにかきっかけがつかめないと、嫌になっちゃうんじゃないかなって……」


ピアノを除いたほとんどの楽器、特に低音のものは合奏を前提に演奏される。
けれど、葉月はまだその合奏を経験しておらず、音楽の楽しさを知らないままだった。
それに気がついた久美子と緑は、葉月と3人で合奏をするのだった。

「……どうだった?」
「なんだろ……すごく――音楽だった!」


情熱的で天真爛漫な葉月回。
個人的にはもう少し髪が長いほうが好みなのですが、それでも葉月ファンってかなり多そうです!
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アニメ [★★★★☆]
響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム 7~9話

第7回 なきむしサクソフォン

部活を辞める斎藤葵と、それを引き止められなかったことを思い悩む部長・小笠原晴香の回。
葵が辞めた表向きの理由は、受験勉強に専念するため。
もちろんそれも真実なのだが、彼女たちの心の中には、去年の事件がしこりのように残っていた。

「今の部は、去年までとは違うでしょ? サンフェスのときに思った。滝先生だけじゃなく、みんな本気だって。コンクール金賞獲るつもりで頑張ってるって。
 私、そこまでできない。私、のうのうと全国目指すなんてできない。去年あの子たち辞めるの止められなかったのに、そんなことできない!」


その後ろめたさは、(明日香を除いて)上級生全員が持っているもの。
豆腐メンタルと評される晴香も、当然そのことを気にしていて、その上で、部をまとめられない自分の不甲斐なさを責めてしまうのだった。

「やっぱり、私が部長なんて無理だったんだ……。明日香が部長だったら……そしたらこんなことにはならなかったのに……」


久美子への八つ当たりはどうかなーと思わないではないけれど、でも、私は晴香みたいな女の子って全然嫌いじゃない。
少なくとも、自分の弱さをひた隠しにする明日香より、自分の弱さを理解して、それでも他人に真摯であろうとする晴香を信頼したい。
その点では、私は秀一と同じく晴香派ということですね。

単に断れなかっただけなのかもしれない。
それでも、「あんな状態」の部を引き受けようと決意したのは、たしかに晴香の強さに違いない。
香織の励ましはとっても的確で、優子が慕うのもわかろうというものです!

第8回 おまつりトライアングル

神回への布石。葉月ファンにとっては神回。
久美子が気になる秀一と、秀一が好きな葉月と、言われて秀一を意識しはじめた久美子。
その三角関係に気がついて愕然とする久美子。かわいい

葉月の告白はさすがにいきなりすぎて、私も面食らってしまった。
変化球の投げ方すら覚えようとしない、直球勝負一球入魂な葉月の恋愛スタイルは、とても瑞々しくてまぶしいくらい。
もっとやりようがあっただろ……とか思ってしまう私たちには、もう青春は戻ってこないのです!
だからこそ、エンディングでの葉月の号泣に、こんなにも心動かされてしまうのですねぇ。

「ねぇ葉月ちゃん。今日、めちゃくちゃ可愛いですよ!」


そして、青春全開なのは麗奈も同じ。

「私、興味ない人とは無理に仲良くなろうとは思わない。誰かと同じで安心するなんて馬鹿げてる。
 当たり前に出来上がってる人の流れに抵抗したいの。全部は難しいけど――でも、わかるでしょ? そういう意味不明な気持ち」


麗奈は久美子の中に、他の奴らとは違う、なにか「普通じゃないモノ」を嗅ぎ取っていた。

「私、久美子のそういうところ気になってたの。前から。
 好き――っていうか、親切ないい子の顔して、でも本当はどこか冷めてて――だから、いい子ちゃんの皮、ペリペリってめくりたいなって」
「それは、どういう……」
「わかんないかなぁ、私の愛が」
「高坂さん、ねじれてるよ」


だから、麗奈は久美子にだけ告白するのだ。

「私、特別になりたいの。他の奴らと同じになりたくない。
 だから私はトランペットをやってる。特別になるために」
「……トランペットやったら、特別になれるの?」
「なれる。もっと練習してもっと上手くなれば、もっと特別になれる。
 自分が特別だと思ってるだけの奴じゃない、本物の特別になる」


自分は特別な存在に違いない――幼いころには珍しくない、根拠のない思い込みだ。
しかし、その幻想を現実にするために、麗奈は地道な努力を積み重ねていた。
それは他人には価値のない、けれど自分を自分たらしめているもっとも重要なもの。
そんなブレない信念を持った彼女だから、私も久美子も見とれてしまうのだ。

第9回 おねがいオーディション

葉月の失恋のその後と、コンクールにむけてのオーディション回。

自分が無責任に背中を押したから――と自分を責める緑を、なぜか振られた葉月が慰めるという。
当事者の一端である久美子は、傍観者に徹していた。
それでは、私たちの気持ちを代弁してくれた頼もしい明日香先輩のお言葉をどうぞ。

「――どうでもいい。正直、超どうでもいい。超超超超どうでもいい」
「正直すぎますよ」


そして、やってくるオーディションの日。
それぞれの想いを胸に、その音色を審査される。

その結果、ユーフォは明日香と久美子が受かり、夏紀は落ちる。
そしてトランペットのソロは、香織ではなく麗奈が指名されるのだった。

みんな吹きたいんだ――
コンクールに出たいんだ――
そんな当たり前なことを、私はやっと理解した。

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アニメ [★★★★☆]
響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム 10、11話

第10回 まっすぐトランペット

受かった黄前久美子と落ちた中川夏紀、ソロに指名された高坂麗奈と今年も吹けなかった中世古香織。

『アンタがいなければ、コンクールで吹けたのに!』


久美子は、中学のときも先輩が落ちたオーディションに受かっていた。
その時、人間の醜くもストレートな感情をぶつけられてしまった。
リアリストな久美子だから、先輩の気持ちも理解できて、けれどオーディションは「上手い人間が選ばれる」ものだということも正しく理解していた。
わからなかったのは、その先輩との関係の繋げかた。

今回の夏紀との顛末は、もう120%で夏紀がステキな女の子すぎました。
自分の実力も、相手の実力も理解していて、その結果に納得もしている。
そして、戸惑っている後輩の気持ちも汲んで、自分から歩み寄ることができる。
たしかに、演奏の技量は久美子より劣っているかもしれない。
けれど、確かに間違いなく彼女は先輩なのでした!

結果に納得できなかったのは、香織のほう。
自分の実力も、麗奈の実力も理解していて、それでも納得できないほど強い想いを秘めている彼女。
優子はそれを知っているからこそ、香織の表に立ち、滝先生へと噛み付くのだ。

「香織先輩、諦めないでください! 最後のコンクールなんですよ!? 諦めないで……!
 香織先輩の――香織先輩の夢は、絶対に叶うべきなんです!!」


---

「久美子……。私、間違ってると思う?」
「……ううん、思わない」
「ほんとに?」
「うん」


「ソロを譲る気は?」
「――ない。ねじ伏せる。そのくらいできなきゃ、特別にはなれない」
「……麗奈だね」



第11回 おかえりオーディション

トランペットソロ、再オーディション。神回。
前回はオーディションに落ちた夏紀がステキな女の子だった話をしたけれど、今回は優子が150%でステキな女の子だった話をします!

「私、どうしても――どうしても香織先輩にソロを吹いてほしいの。だから――お願い!」
「っ……わざと負けろって言うんですか……?」
「あなたには来年もある、再来年もある! 滝先生だったらもっと部はよくなる。
 香織先輩は最後なの。今年が最後なの! だから――」


プライドを捨てた優子のまさかの懇願に、さすがの麗奈も動揺せざるを得なかった。
上から脅されたのなら、はねのけてねじ伏せる覚悟も強さも持っていた。
けれど、情に訴えかけられ、頭を下げられるとは思いもしていなかったからだ。

「久美子は、もし私が負けたら……嫌?」


自分の歩もうとしている道は本当に正しいのか。
ふと不安が口をついてしまった麗奈に、しかし久美子は言うのだ。

「……嫌だ。嫌だ!」
「どうして?」
「麗奈は特別になるんでしょ!?」
「……そうね」
「麗奈は他の人とは違う。麗奈は誰とも違う! 他人に流されちゃだめだよ、そんなの馬鹿げてるでしょ!?」


これは8話での麗奈の告白に対する久美子の返事であり、このアニメで最もきれいなシーン。
二人が友達以上の存在となり、傍観者に徹していた久美子が初めて舞台に上がることを決意するシーンでもある。

「……そばにいてくれる?」
「うん」
「裏切らない?」
「もしも裏切ったら殺していい」
「本気で殺すよ」
「麗奈ならしかねないもん。それがわかった上で言ってる。だってこれは――愛の告白だから」


---

さて、麗奈を目の敵にしていた優子だけれど、彼女はただ上手な下級生を妬んでいたわけではない。
香織が自分を犠牲にしてまで部のために尽くしてきたのを見てきたから、その努力が実を結ぶことを願っていたのだ。

久美子が信じたように、能力がある人間が選ばれるのが正しい世界なのかもしれない。
しかしそれを言うなら、重ねた努力が報われる世界だって正しいに違いない。
麗奈が自分の正義を貫いたように、優子も自分の正義を貫こうとしていたのだ。

私たちが優子の涙に心を揺さぶられるのは、それが他人のために流されたものだから。
たとえ成し得なかったとしても、好きな人のためになにかができる彼女は、とってもステキな女の子なのです!
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アニメ [★★★★☆]
響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム 12、13話

第12回 わたしのユーフォニアム

ユーフォニアムと真摯に向き合う久美子の回。
はじめての挫折と、それをバネに前を向こうとする心。
このアニメで一番スポコンらしい回。

「久美子、最近アツいよね」
「え?」
「前はどっちかって言うと、クールっていうか、冷めてるところあったのに」
「そうかな?」


全国に行く合奏のために指示された課題をクリアするために、熱中症になるほど練習に集中していた久美子。
そこまで情熱を注ぐのは「特別な女の子」の演奏を聞いてしまったせい。

「ねぇ、麗奈……」
「ん?」
「私、上手くなりたい。麗奈みたいに。私、麗奈みたいに特別になりたい」


特別な女の子の演奏を聞き、そんな彼女に憧れてしまった久美子。
地道に努力を積み重ね、少しずつ上達して、これなら発表会までにはモノにできるかもしれない――そう思っていた。
しかし滝先生は、ある日ばっさりと久美子を切り捨てるのだ。
久美子の努力では及ばないと思ったのか、コンクール直前の今は、その努力を全体的なレベルの向上に充ててほしいと思ったからか。
とにかく、それは惰性で吹いてきた過去7年間には経験したことのない、はっきりとした挫折だった。

上手くなりたい……上手くなりたい、上手くなりたい上手くなりたい上手くなりたい!
誰にも負けたくない! 誰にも、誰にも……!!
「悔しい……! 悔しくて、死にそう……」
――そのとき、私は知った。その辛さを。あのとき、麗奈がどんな思いでいたかを、私は知ったのだ。


私はだいたい、挫折するとすぐ嫌になって投げ出してしまう性質の人間だ。
けれど、久美子はその挫折をバネに、さらに闘志を燃やしている。
その情熱はいったいどこからくるのだろう――そんな私の疑問に、彼女は端的に答えてくれた。
結局、人間の器とはこういうことなんだろうなぁと私は思うのだ。

「音大行くつもりないのに吹部続けて、なにか意味あるの?」
「ある! 意味あるよ! だって、私ユーフォ好きだもん!」


第13回 さよならコンクール

1期最終話。府大会本番。

もはや語るべきことは多くはない。
ひりつくような緊張感と、大舞台を前にした高揚感。
ステージに上がる55人も、そうでない10人も、みんな心は一つだ。
楽譜にまであふれた思いは、まるで青春そのものでした!

全国に行けたらいいな――
中学生の頃からそう思ってた。だけどそれは口先だけの約束みたいなもので、本当に実現させようなんて一度も思ったことなかった。
だって、期待すれば恥をかく、叶いもしない夢を見るのは馬鹿げたことだって思ってたから。
だけど、願いは口にしないと叶わない。
――絶対、全国に行く。

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アニメ [★★★★☆]
響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム OVA+まとめ

番外編(OVA) かけだすモナカ

オーディションに落ちた10人の、主に葉月視点のエピソード。
塚本にフラれたその後と、コンクール出場メンバーじゃないからこそできること。
葉月ファンにはたまらない25分。
そして、夏紀ファンにもたまらない5分間です。

勢いでコクって後悔しかけてたけど、きちんと立ち直って前を向く葉月ちゃんはとっても強い女の子。
好きな人の幸せを、本当の意味で願うことって、実はとても難しいと思うのです。
夏紀センパイが葉月ちゃんをどうしようもなく愛おしく感じてしまうのも無理からぬこと。
だから、タクシー呼べば……とか思ってしまう私みたいな人間には、もう青春は戻ってこないのです!

とりあえず、コンクール当日「今日頑張ってよ! ねっ☆」でピースから指十字を作ってくれる葉月ちゃんは最強にカワイイ!

まとめ

京アニが送る、吹奏楽部系・正統派スポコンアニメ。
1期では府大会までの様子。

この作品の魅力は、大所帯の部活での王道ストーリーを余すことなく描ききっている点。
バラバラだった部がひとつにまとまる様子。
「スローガン」だった全国大会出場が、「目標」に変わる様子。
オーディションという人間関係をかき乱すイベント。
そして、主人公たちが楽器を手にするその理由。

私のお気に入りは、麗奈と久美子の「愛の告白」。
麗奈のそれは、きれいな風景をバックにした「ちょっといいシーン」くらいのものだった。
けれど、応える久美子のそれは、ちょっと他所では見られない情感あふれるシーンだった。

それと同じ理由で、オーディションに落ちた香織先輩絡みの優子のシーンもとても好き。
麗奈をイジメたそーにもしてたけど、根っからの善人なのか、結局最後までフェアに立ち回る。
そのせいで、優子ちゃんがこのアニメ1、2を争うお気に入りキャラになってしまいました!
なんてったってツンデレだしね!?

ちなみに、枠を争っているもう一人は、主人公・黄前久美子。
主人公がお気に入りってなかなかない気がするけれど、久美子ちゃんの「性格悪い」とこが、私もとても好きなのです。

評価は、★4・傑作評価。
情熱とか信念とか、そういう強い意志を持っているキャラクターが好きな私に、このアニメのスポコンっぷりが高評価。
ちなみに、ユーフォニアムという楽器の存在自体を知らなかった私でも十二分に楽しめたので、音楽のことをなにも知らなくてもまったく問題ありません!
逆に、吹奏楽経験者の感想も聞いてみたいところです。
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アニメ [★★★★☆]
響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム2 1~3話

第1回 まなつのファンファーレ

1話のみ、1時間枠の特別編成。

府大会で金賞を取り、代表として関西大会に臨む決意を高める北宇治高校吹奏楽部。
練習に励む久美子たちの前に、一人の少女――傘木希美が現れる。
コンクールでの演奏を聴き、部活に復帰したい、もう一度吹奏楽をやりたい、どうか明日香先輩に許可がもらいたい、そう言う。
彼女は去年大量に退部した2年生のうちの一人だったのだ。

まるでお百度を踏むかのように明日香の元へ毎日頭を下げに来る彼女を、明日香ははっきりと拒絶する。
今このタイミングで復帰を認めても、部にとってプラスになるとは思えないから――と。

「そうやって出ていった人が戻って来たいって言ったら、やっぱり嫌なものなんでしょうか?」
「どうだろう……」
「でも、明日香センパイはそう思ってるってコトでしょ?」
「なんかそれだけじゃない気もするけどね……」


全国に向けて練習あるのみ――かと思いきや、また怪しげな雰囲気が立ち込める吹奏楽部。
そして、傍観者でいることに慣れている久美子の勘が鋭すぎる。

それでは、すっかり久美子とは友達以上になってしまった麗奈の、麗奈すぎるコメントをどうぞ。
みんながみんな麗奈の言うように、思うように生きられたらいいのだけれどね!

「辞めるってことは、逃げることだと思う。それが嫌な先輩からか、同級生からか、それとも自分からかはわからないけれど――とにかく逃げたの。
 私だったら絶対逃げない。嫌ならねじ伏せればいい。それができないのに辞めたってことは、逃げたってことでしょ」


第2回 とまどいフルート

まさかの水着回。
合宿前のお盆休みにみんなでプールに行く久美子と、合宿初日。
メインは希美が復帰したい理由、そして明日香にこだわる理由。
新しいコーチとして新山聡美が登場した結果、麗奈が死んだ魚の眼になる回でもある。かわいい

希美が明日香にこだわるのは、辞めるときに明日香が引き止めようとしてくれていたからだと言う。
部活に戻りたいのは、その罪滅ぼしとして、力になりたいのだと。

そんなマジメな話をしてくれているところ大変申し訳ないのだけれど、みんなの水着姿がだいぶエッチなせいで、全然内容が頭に入ってこない。
麗奈もヤバかったけど、香織センパイがマジヤバい! まさに地上に舞い降りたエンジェル!
……っていうか、優子と夏紀は一緒に来たんでしょうか? この二人、私たちが想像している以上に仲良し!?

さて、萌えキャラとして突如浮上した鎧塚みぞれだけれど、無口キャラな彼女の内面描写がとても印象的な回でもある。

「私は苦しい。コンクールなんてなければいいのに……」
「じゃあ、その……鎧塚先輩はどうして続けてるんですか?」
「……わからない。もうなにも……わからない……」


そう言うみぞれが見つめるのは、ゲームのポーズ画面。表示されているのは「続ける」と「やめる」。
絶対金取ろうね――そう言った希美は、もういないのだ。

第3回 なやめるノクターン

合宿二日目。
明日香が希美の復帰を認めない本当の理由。
素な優子センパイがすっごくセンパイな回でもある。

みぞれには、希美の顔を見ただけで気分を悪くするほどのトラウマを持っていた。
オーボエが一人しかいない北宇治吹部としては、絶対にみぞれを手放すわけにはいかない。
コンクールのために希美よりみぞれを優先した結果、希美の復帰は認められなかったのだ。

明日香からその話を聞き出してしまった久美子は、「真相を聞いてくる」と希美に約束したことを後悔していた。
さらに、滝先生と新山先生は付き合ってはいなかったものの、滝先生は奥さんを亡くしていたことも明らかになる。
久美子はどんどん人に言えない真実を抱えていく。

逆に、優子ちゃんはこっそりと内緒話をしてくれる。
……というのも、優子と夏紀の話を盗み聞きしてるのがバレたからなんだけども。
隠れてるつもりで壁に張り付いてる久美子と、それを顎でうながす優子のくだりがマジで好き。

「アンタさ、私のこと嫌い?」
「あ、嫌いというかニガテと言う――ぁ……」
「もしかして、府大会のこと引きずってる? 言っとくけど、アレに関しては私、絶対に間違ってないから。今でもソロは香織先輩が吹くべきだと思ってるから」


優子が夏紀に希美とみぞれの真相を伝えようとしないのは、それを聞いた夏紀が混乱することがわかっていたから。
優子はみぞれのことだけでなく、夏紀のこともきちんと考えていたのだ。
ケンカするほど仲がいい――を地で行っているような二人の姿はとっても微笑ましい。

「先輩はコンクール、嫌いですか?」、そう尋ねられた優子。
音楽に点数をつける理不尽さに釈然としないものを感じてはいたものの、モチベーションを保つための目標としてのコンクールは認めていた。
そして、負けた時の悔しさを、彼女は知っていた。

「本気で全国行こうと思うんだったら、上手い人が吹くべきだと思う。結局、好き嫌いじゃなく、コンクールに出る以上は金がいい――ってことなんじゃない?」

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響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム2 4~6話

第4回 めざめるオーボエ

みぞれと希美の問題、解決編。

みぞれが希美をトラウマに思っていたのは、希美に固執していたから。
大好きな友達だったから、希美にとって自分が「なんでもない存在」である現実を知るのが怖かったのだ。
希美を避けて現実を見ないようにしながら、しかし希美を諦める勇気も、楽器をやめる勇気もなかったのだ。

言葉が出てこなかった。
こんな理由で楽器をやっている人がいるなんて、思いもしなかった……。


当然だけれど、これはみぞれの勘違いであり、被害妄想のようなもの。
希美には退部を知らせなかった理由があり、二人はきちんと和解する。
そして、みぞれは「どうして続けているのかわからない」ままに続けていた吹奏楽部にも、きちんと積み重ねてきたものが形になっていることを理解するのだ。

優子の情熱的な説得にちょっと感動してしまいそうな回だけれど、明日香の身も蓋もない考察がすべてをぶち壊していく。
しかし、こんなことを口にする明日香の向こうに、なにかが透けて見えた気がする久美子。
この子は、だから主人公をやっているのだ。

「でも、ズルい性格してるよねぇ、みぞれちゃんも。
 思わない? みぞれちゃんが希美ちゃんに固執してるのって、結局一人が怖いからでしょ? 優子ちゃんは保険だね。
 案外人って打算的に動くものだと思うなぁ」


第5回 きせきのハーモニー

希美が復帰した北宇治高校吹奏楽部の関西大会、本番。
「三日月の舞」のフルバージョンが聴ける回。
みぞれが希美のために吹くソロも、麗奈が久美子のために吹くソロも、夏のはじめとは見違えるほど上手になった久美子のメロディも、すべてが聴ける。

感情を込めて――そう言われ、振り返った自分自身のことがわからなくなってしまっていたみぞれ。
けれど、(それがどんな理由であれ)自分がここにいる理由をたしかめた彼女の演奏は、たしかに感情たっぷり魅力たっぷりでした!

「先輩、コンクールはまだ嫌いですか?」
「……たった今好きになった」


みんなの楽譜が更にカラフルになっているのも印象的。
合宿の楽しそうな写真がいっぱい増えました!
うーん、これこそ青春ですねえ!

第6回 あめふりコンダクター

関西大会が終わって後半に入った今話から、今までモノクロだったOPがカラーになる。

文化祭と、翌日の台風。
久美子・葉月・緑のアリス風メイド服、夏紀・みぞれ・希美のゴスロリ風ミニメイド服が見られる回。
まったく久美子のキャラじゃない甘ロリメイドさんに、逆にときめきを感じちゃいます!

っていうか、みぞれと希美が同じ衣装って、二人は同じクラスだったんですね!?
なのに顔見るだけで吐き気がするって、なんというか……みぞれちゃん的には今まですごく辛い学校生活だったのでは……?

さて、なんだかいつもツンツンしているお姉ちゃん、そして滝先生の秘めているものが垣間見える回でもある。
これが私が1期2話で書いた、滝先生の意志なのだ。

「イタリアンホワイトの花言葉は、『あなたを思い続けます』」

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響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム2 7~9話

第7回 えきびるコンサート

明日香の抱えている問題が浮かび上がってくる回。
部長・小笠原晴香の晴れ舞台でもある。

母子家庭に育っていた明日香だけれど(おそらくはそれすらみんな初耳だった)、やや情緒不安定気味な母親から、部活を続けることを強く反対されていたらしい。
そして、業を煮やした母親は、強制的に退部させようと学校側に迫るのだ。
明日香は部活での精神的支柱だった。
だから、明日香が退部してしまうかもしれない――その事件に、皆はひどく動揺する。

そのせいで精彩を欠いた合奏を、滝先生は中止にする。
そうして先生がいなくなったあとの気まずい沈黙が、明日香がいない吹部を象徴していた。
明日香がいれば、ここでみんなの気持ちを切り替えるようなことを言って、それを晴香がまとめてくれただろう。
明日香さえいれば……。

「明日香がいなくてみんな不安になるのは当然だと思う。でも、このまま明日香に頼ってたらダメだと思うの。私だけじゃない、みんなも、明日香がなんでもできるから頼ってた。明日香は特別だから、それでいいんだ――って。
 でも明日香は……特別なんかじゃなかった。私たちが勝手にあの子を特別にしていた。副部長にパートリーダーにドラムメジャーとか、仕事を完璧にこなすのが当たり前で、あの子が弱みを見せないから平気なんだろうって思ってた。
 今度は私たちが明日香を支える番だと思う。あの子がいつ戻ってきてもいいように」


そう言ってみんなを率いる晴香は、特別なんかじゃない普通の女の子だった。
そして、そんな自分を認めたからこそ、彼女は駅ビルコンサートでのソロを受けるのだ。
(当然、自分に自信を持てるように――という滝先生の采配ではあるのだろうが)

自己主張なんてしない彼女の吹くバリトンサックスの音色はやっぱり少し地味だったけれど、彼女の吹く情感たっぷりなソロはバンドリーダーにふさわしいカッコイイ演奏でした!

第8回 かぜひきラプソディー

風邪をひいて学校を休む久美子と、ほとんど練習に来なくなってしまった明日香。
姉・麻美子の抱える問題と、姉妹の微妙な関係。

1期から思っていたのだけれど、黄前家の姉妹関係って絶妙にリアルすぎる。
別に仲が悪いわけではないのだけれど、互いに含むものがあるせいか付き合い方に戸惑っているうちに、気づいたらトゲトゲしてしまう感じ。

さて、その麻美子は昔から美容師に憧れていたらしい。
しかし、両親に進学するように言われ、自分を騙しながら大学に通っていたようだ。
姉・父親・久美子、三者の言い分は、どれもそこまで間違っているようには思えない。

「今まで私はお母さんの言う通りにしてきた。全部我慢して、お姉ちゃんだからってずっと! 転校だって、受験だって、ほんとは全部嫌だった! 私だって久美子みたいに部活を続けたかった! トロンボーンだって辞めたくなかった! 言えない空気作ったのは誰よ?」

「たしかに父さんも母さんもお前に負担を強いてきたかもしれない。だが、それでも大学に行くと決めて受験したのはお前自身だ。違うか? もし本当に大学を辞めるなら、この家から出ていきなさい。リスクを背負わずにやりたいことができると思うな。お前の言っていることはあまりにも自分に都合が良すぎる!」

「吹奏楽、嫌いなんでしょ!? だったらあんなこと言わないでよ! 今になって続けたかったなんて言うのずるいよ! お父さんとお母さんに学費もアパートの家賃も出してもらって大学行ってるんだよ? なのに、我慢してたなんて」


麻美子の焦る気持ちはわかるような気がする。
5つも年下の妹は、いつも自分の後を追ってくる、ちょっとウザいながらもカワイイだけの存在だった。
けれど、そんな妹は、いつの間にか好きなことに全身全霊で取り組み、結果さえ出すようになっていた。
それを見た麻美子は、自分だって好きなものを好きだと言い張って生きることだってできたじゃないか……そう思ってしまったのだ。
そんな彼女の後悔は、この短いセリフに凝縮されている。

「それじゃ遅いの! 今じゃないと」


そして、そんな姉を持つ妹も、平常心ではいられなかった。
お姉ちゃんと一緒に吹きたい――そんな想いで始めた吹奏楽だったけれど、それは所詮叶うことなんてないはずの夢だったし、とっくに諦めていたはずの夢だった。
けれど、選択肢が一つ違えば、その夢が叶う未来だってあったかもしれなかったのだ。

トロンボーンを続けたかった――その一言が、頭から離れなかった。
姉がそんなことを思っていたなんて、考えたこともなかった。


第9回 ひびけ!ユーフォニアム

久美子が明日香の家にお呼ばれする回。
明日香がユーフォニアムにかける想いが明らかになる。

「久美子……どうして久美子がそんな顔してるの?」
「……悔しくて」
「なにが……?」
「わからない……」


久美子が明日香の件で動揺してしまったのは、明日香と姉・麻美子を重ねてしまったから。
姉は好きなものを好きだと言い続けることができなかった。
明日香も、今まさにそうなろうとしているのかもしれない。
姉のときだって、もしかしたら自分になにかできることがあったのかもしれなかった。
そして、今だって、自分になにかできることがあるのかもしれない……。

明日香の家で、久美子は彼女の事情を聞かせてもらう。
ユーフォニアムが生き別れの父親との絆であること。
そして、コンクールの審査員に父親がいるのを知ってしまったこと。
自分の演奏を聞いてもらいたいという個人的な事情で、副部長という肩書をフルに利用していたこと。

そう懺悔して、ユーフォを諦めようとする明日香。
そんな彼女に、久美子は自分の持つ原初的な想いを素直にぶつけるのだ。

「私、明日香先輩のユーフォが好きです!」

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アニメ [★★★★☆]
響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム2 10、11話

第10回 ほうかごオブリガート

「私ね、ずっと自分で決めることを避けてきたの。文句言いながら、ずっとお母さんたちの言う通りにしてきた。それが頑張ることだって勘違いしていた。我慢して、親の言う事聞いて耐える――それが大人だって。
 でも、演じるのはもう辞めることにしたの。高校生なのにわかったフリして、大人のフリして、世の中なんてこんなもんだって全部飲みこんで我慢して――でも、そんなのなんの意味もない。後悔も、失敗も、全部自分で受け止めるから、自分の道を行きたい――そう素直に言えばよかった」


麻美子の決意と、明日香の決断。
久美子が「久美子らしい」ことをやめる回。

明日香がコンクールに出ないと決めたことを知り、久美子は直談判に行く。
みんな先輩を待ってる、だからコンクールに出てください、と。

けれど、そんな当たり障りのない一般論な説得は、あっさり論破されてしまう。
「みんな」って誰? その「みんな」の言葉は本心なのか? どうやってそれを証明するのか?
夏紀がコンクールメンバーに内定している今、希美の復帰に反対してしまった手前、自分だけ復帰を願うのは筋が通らない。
練習も、本番さえも出られるかわからないような人間は、いないほうが部活のためだ――と。
明日香のセリフはいちいち正論で、久美子には一つも言い返すことができなかった。

「――だったらなんだって言うんですか!! 先輩は正しいです! 部のこともコンクールのことも全部正しい! でもそんなのはどうでもいいんです! 明日香先輩と本番に出たい……私が出たいんです!」
「そんな子供みたいなこと言って――」
「子供でなにが悪いんです! 先輩こそなんで大人ぶるんですか!? 全部わかってるみたいに振る舞って、自分だけが特別だと思いこんで――先輩だってただの高校生なのに! 我慢して諦めれば丸く収まるなんてそんなのただの自己満足です、おかしいです……!
 私は明日香先輩に本番に立ってほしい! あのホールで先輩と一緒に吹きたい、先輩のユーフォが聞きたいんです!」


久美子が泣きながらぶつけた想いは、あの日――トロンボーンの蓋を閉じてしまった中学3年生の麻美子に伝えなければいけないものだった。
6年前の自分にはできなかったことを、今するのだ。
あのとき姉が誤ってしまった選択肢を、明日香にも選ばせるわけにはいかなかったから。

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これは、2つ目の久美子のターニングポイント。
1つ目は、1期12話・滝先生に「ここは田中さんだけで吹いてください」と言われるシーン。
「死ぬほど悔しい」思いをしたことで、久美子は自分がどれだけユーフォが好きだったのかを知る。
(1期2話でトロンボーンに転向しようとしていた彼女を思えば、この温度差はえらいことである)
これは、いわば久美子が自分自身に素直に向き合うことを決意したイベントだった。

そして、今回の明日香とのシーンは、久美子が他人と素直に向き合うことを決意するイベントだった。
これまで久美子は絶対に自分の心の柔らかい部分を見せようとはしなかった。
両親や姉、あるいは塚本秀一に見せていた(不機嫌そうにすら見える)クールさは、彼女の素ではない。あれは自分を守る仮面なのだ。
(彼女自身、仮面を被っている自覚はないだろう。それは物心つく頃から、姉より劣った妹としての自分を自覚した頃からのものだろうから)
一番身近な人間だからこそ、絶対に心の内を見せたくない。好きなこと、嫌いなこと、感じていること、考えていること、なに一つとして知られたくない――それが、あの仏頂面のローテンションなのだ。

そんな久美子が、ボロ泣きしながら心の内をさらけ出す。
彼女はクールなリアリストだから、自分の説得で明日香が翻意すると信じていたわけではない。
ただ、できることがあるのに、なにもしないで後悔するのが嫌だったのだ。

「だから今度は間違えない。
 まぁあんたもさ、後悔のないようにしなさいよ」


第11回 はつこいトランペット

滝先生が結婚していたことを知った麗奈の恋模様。
久美子が麗奈に避けられていたのは、奥さんがいたことを知っていたのに話してくれなかったことを怒っていたから。

「どうして隠してたの?」
「……傷つけたくなかったから」
「知ってる。それでも私は――教えてほしかった」


これも、10話での「久美子の心の防壁」のお話の続き。
人を傷つけることを恐れる久美子の弱さが、麗奈を傷つけていたのだ。

しかし、麗奈は傷つくことをわかっていながらも前に進んでいく。
滝先生が奥さんのために全国大会を目指していることを知ってなお、彼女はトランペットを吹き続けるのだ。
好きな人の夢を叶えるために、自分のできることを全力で。
それこそが、彼女の強さそのものなのだ。

今までの麗奈は、自分のためにトランペットを吹いていた。
けれど、今は好きな人と、その奥さんのために吹いている。
小さなことかもしれないけれど、彼女にとっては大きなターニングポイントなのかもしれない。
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アニメ [★★★★☆]
響け!ユーフォニアム