眠れぬ羊と孤独な狼 -A Tale of Love, and Cutthroat- 「眠れぬ羊」ルート

それは、この世の誰にも殺されないという確たる自信を掴むため、誰より臆病な羊としてこの世界を生きていくため、俺が選んだたった一つの手段だった。


CLOCKUPから、またダークなヤツがきたよ!
「euphoria」「フラテルニテ」「Maggot baits」に続く、バイオレンスでスプラッターなシリーズ第4弾!

舞台は新宿・歌舞伎町。
理不尽な死に怯えるあまり殺し屋になるしかなかった「眠れぬ羊」の主人公と、本能のおもむくままに獲物を狩る「孤独な狼」であるヒロイン。
二人は災厄のような出会いを経て、ヤクザやマフィアたちの突きつけてくる圧倒的な現実に巻き込まれていく。

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ヒロイン・あざみとの「遭遇」は、この作品の最高なシーンのひとつ。
あざみちゃんのシンプルでわかりやすい行動原理が、彼女のヤバさをまざまざと浮き彫りにしてくる。

だいたい、レイプって女の子を痛めつけたいとか、征服欲を満たしたいとか、そういう動機でするものでしょう?
なのに、主人公がしたのはただ自分が生き残るためのレイプだからね、この必死さにあざみちゃんが惚れちゃうのもわかるような気がする!

誰よりも危険で制御不能な殺人者おおかみを、エクスタシーという擬似的な死へと叩きこみ"殺す"。そうすることで、俺は俺自身が最も恐れるものを征服するのだ。


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今回クリアしたのは、「眠れぬ羊」ルート。
東儀衛に突きつけられた運命の分かれ道で、運命という名の呪いを受け入れた場合のお話。

自分のためにあざみを「利用」することを決めた主人公は、東儀の犬として働きながらあざみを幾度となく「殺し」、安眠を貪っていく。
そんな日々を過ごすうちに、最も恐ろしい狼が東儀だったことに気づき、主人公は自らのために彼を殺そうとする。

主人公の過去にスポットを当てた、いわば「"俺"ノーマルエンド」なお話がコレ。
ストーリー自体はわかりやすいし燃えるシーンもあったけど、美玲ちゃんが……。
いや、さすがにちょっとかわいそうすぎたでしょう!?
黒髪ロングな正統派美少女がレイプされたり腹パンされたりするのは、確かにドキドキするよ?
でもさぁ、物事には加減ってものがあってね?
殺さなくてもよかったじゃない……。

それは、驚くほど突然に誰の身をも襲うのだと俺は知っている。
だから俺は、いつでもそれを恐れながら生きている。

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ゲーム [★★★☆☆]
眠れぬ羊と孤独な狼

眠れぬ羊と孤独な狼 -A Tale of Love, and Cutthroat- 「孤独な狼」ルート

2ルート目にクリアしたのは、「孤独な狼」ルート。
東儀衛に突きつけられた運命の分かれ道で、運命という名の呪いを否定しようとした場合のお話。

自分のためにあざみを「手に入れる」ことを決めた主人公は、東儀とは決別し、あざみと共に生きていく道を探ろうとする。
しかしそこに現れたのは、あざみの血の匂いを辿ってきた過去の亡霊だった。

今回はあざみの過去にスポットを当てた、いわば「あざみノーマルエンド」なお話。
やっぱりストーリー自体はわかりやすいし、要所要所はとっても燃える。

特に、神社での「あざみに拒絶された仁礼春彦」のシーンはお気に入り。
パターンとしては、絶望のあまり衝動的に自殺することだって考えられた。
けれど、ヤツはその衝動を内ではなく外へと向けた。
それこそが、仁礼春彦が殺人者おおかみであることの証明に他ならないのだ。

しかし、終わり方がちょっと尻切れトンボ気味。
というか、みんな自分にかけられた呪いをどうにかしようという気がないんだよなぁ。
孤独を知ってしまった狼には、その呪いこそが絆なのかもしれない。
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ゲーム [★★★☆☆]
眠れぬ羊と孤独な狼

眠れぬ羊と孤独な狼 -A Tale of Love, and Cutthroat- 「眠れぬ羊と孤独な狼」ルート

2つのルートをクリアすると開放されるのが、グランドシナリオに当たるこのルート。
運命の分かれ道で、運命は受け入れなかったもののブルーフィルムを見せられた場合のお話の模様。

プロローグからなかなかゾクゾクさせてくる立ち上がりを見せる、アクション色の強いストーリー。
オーラスは「まぁこうなるな」状態ではあるけれど、そこに至るまでのプロセスがちょっと予想外。
っていうか、みんな無駄にあっさり死にすぎなんだよなぁ……。
しかも、ストーリーを動かすだとか誰かを守るためだとかではない、ただ単純に死ぬだけっていう。
このドライさこそがリアルなのかもしれないけど。

普通の物語の場合、主要人物が死ぬときはなんらかの役目やドラマを持ってシーンを演出する。
けれど、現実ではなんの意味もない無駄な死だって存在するし、少なくとも主人公やあざみにとっての死とはそういうものだった。
だからこそ主人公は極端に死を恐れていたわけで、あざみは躊躇なく殺すことができたのだ。

そのオーラス、エンディングは私たちが選ぶことができるのだけれど、あなたはどれが好みだったでしょうか。
私のお気に入りは、相打ちエンドかなぁ。
二人とも互いに互いが唯一の理解者だったのだから、そのどちらが欠けてもいけないような気がしてしまう。
ならばいっそ――と思ってしまうのは、私がネガティブすぎでしょうか……。
主人公が身を挺して救おうとしたあざみのエピローグがほしかったような気は、ちょっとします!

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さて、このシナリオで私の一番のお気に入りは、ファザコン美玲ちゃんのエピソード。

幼い頃から母によって父から遠ざけられていた彼女は、父親の愛情に飢えていた。
だからこそ、彼女は父をかつてのような男稼業の舞台に立たせたいと願っていた。
それが成功したなら、彼女は父を見捨てた母を超え、父からの愛情を思うがままに受けられるはずだったのだ。
それが、大人びた彼女の、子供みたいな夢物語。

しかし、夢は夢のように、歌舞伎町の最後の物語と共にあっけなく消えて終わる。
彼女が知る初めての「圧倒的な現実」のもたらす痛みに、幼い心は耐えきれず――だから、代わりの傷を要求するのだ。

「この街にもおまえにも、夢見ていたようなことは何も起こらない。もうそのことはわかったのか?」
 美玲は少し考えるようにして、やがて苦笑しつつうなずいた。
「まだ引きずってるし、正直何日かは落ち込むんじゃないかな。でも、そのうち忘れると思うわ」


彼女の人生には「いつか」は訪れないし、願った夢も叶わない。
けれど、現実を知り、挫折を知ったからこそ、彼女は新しい一歩を踏み出そうとする。
(そして、挫折しなければ彼女が破滅することを、私たちは知っている)
こうして絶望と仲良くなり、少女は大人になっていくのだ。

「さよなら――歌舞伎町」

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ゲーム [★★★☆☆]
眠れぬ羊と孤独な狼

眠れぬ羊と孤独な狼 -A Tale of Love, and Cutthroat- まとめ

シナリオ

あるいは、愛と殺人の物語。


他人からは決して理解されない運命で結び付けられた二人の、愛の物語。
前作「Maggot baits」はクルーエルノワールADVだったけれど、今回のジャンルはロマンノワールADV。
前回よりエグみは減った分、ダークなラブラブ度はアップしました!
ジャンル「ノワール」について興味がある方は、こちらを参照ください。

1ルート4~5時間×3ルートと、シナリオ自体はかなり短め。
けれど、サスペンスアクション物としての読み応えは十分。

人を殺さないと生きていけない呪いそのものをどうにかしなきゃという視点で物語を見ると、どのルートでも中途半端に終わってしまうようにも思える。
が、主人公とヒロインの壮大なラブストーリーという視点で見れば、これで十分かな。

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さて、「フラテルニテ」において答えの見つけられなかった問いに、このゲームは一つの回答を示してくれた。
あのゲームで提示された問いの一つは、これだ。

問:レイプされた心の傷から目を背け、現実逃避を続ける少女を救う方法とは

回答例:

「あたしね……おじさんに無理矢理やられちゃったとき、このまま死んじゃいたいって思ってたんだ」
「もうこの先、誰かから大切にしてもらう値打ちなんか何もなくなっちゃったなって……何よりあたし自身も、そんなあたしでいることがもう嫌だって」
「でも……そのおじさんを逆に殺した瞬間、あたしは自分が今までより強くて素晴らしいものになった感じがしたんだ」
「誰でも殺せる力を持ってる、強い生き物に生まれ変わったの……それで、もう一度自分を愛せるようになったんだ」


あざみは、自分が受けた傷よりさらに大きく傷をつける力があることを自覚することで、自分で自分を救っていた。
これは「力を自覚する」という点が重要であり、たとえレイプ犯が司法に裁かれたところで意味がない。
なにがなんでも自分自身の力で私刑にかける必要がある。
そうして自らの手で復讐を成し遂げることで初めて、少女の破壊された自尊心は修復されるのだ。

この回答は、これらのゲームをプレイしていない人たちには、とても非現実的で非常識な話に聞こえるかもしれない。
けれど、プレイした諸兄姉なら納得してくれるはず。
人の命は地球より重い――などと言ったりもするが、誰かを救うには人間一人の命では足りないことだってあるのだ。

テキスト

比較的シンプルで読みやすい。
同じ内容を表現を変えて繰り返すクセがあるのは、ややシツコい気がしなくもない。
けれど、プレイの間隔が空いてしまったときには親切かも。

ライターさんはlightの「シルヴァリオ・ヴァンデッタ」を書いた人らしい。
なるほど、機会があったらやってみようかなぁと思いました!

グラフィック・キャラクター

クオリティはいつもどおりのCLOCKUPです(褒め言葉)
新宿・歌舞伎町が舞台ということで、背景は実写をイラスト調にデフォルメしたもの。
少し新宿で遊んだことがある人なら、どこがどこだかすぐわかる。

そしてヒロイン・あざみは、本当に「普通」なデザインをされている。
奇抜な髪色もしてないし、髪型も普通、おっぱいも並だし、属性らしい属性がついていない。

「普通に生きるってどういうことなの? あたし、自分で全然普通に生きてると思うんだけど……」
「仲良しの女の子と遊んで、好きな男の人とエッチして、新発売のお菓子食べたり……凄く普通じゃない?」


彼女は私たちの周りにどこにでもいる、普通の女の子なのだ。
たった一つ、「狼」であることを除いて。
これがロマンノワールの魅力なのですねえ!

ちなみに、娘属性に惹かれる私のお気に入りは美玲ちゃんです。
もっと仲良くしたかったなー!

Hシーン

全29シーン。
半分以上は和姦。今回はアヘ顔とスカトロも(基本)ない。
ムリヤリとかニガテな人もあんしん!

そして、半分はあざみちゃんとのシーン。
あざみちゃんファン歓喜!
美玲ちゃんファン轟沈!!

……まぁ死姦のシーンを見たのはこのゲームが初めてなんですけどもね?
あれは誰得だったんだろうなぁ……。
まぁ女の子も最初はまだ死体ではなかったので、厳密には死姦じゃないのかもしれないけど、もはやそういう話ではない。

BGM・ムービー

最近のCLOCKUPはOPがカッコよすぎるんだよなぁ!?
Maggot baitsもすごかったけど、こっちもすばらしい。
世界観をあますことなく伝えてくれます!
パケ写にもなってる二人のキメ顔が最高ですねえ!

BGMはふつうでした。

システム

いつもどおりのCLOCKUP。
タイトル画面での一言はやっぱりカッコいい。
お気に入りはババアかな、「部屋の掃除が溜まってるよ、さっさとやっとくれ」。

総評

CLOCKUPのダークなやつ。
この会社、同じブランド名でアホな抜きゲーとハードなエロゲーを交互に出してくるあたりが謎。
たぶん阿久津亮っていう人が監督をするとガチなヤツになっちゃうっぽい?

とは言え「殺人」がテーマになっているせいでしょうがなくバイオレンスでスプラッターな展開になってしまっているだけであって、別に主人公や主要人物にそういう性癖があるからエログロシーンが出てくるわけではない。
そのあたりが、今までのゲームと少し違うところ。
これはかなり一般向けになったのではないでしょうか?

私の評価は、★3・良作です。
批評空間ベースでは、78点をつけます。
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ゲーム [★★★☆☆]
眠れぬ羊と孤独な狼