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ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない Vol.1

やたらとオススメされた、一昔前に流行ったラノベタイトルみたいなゲームをプレイ。
タイトルのイメージから、ナンパでゆるい雰囲気を想像していたけれど、実際は真逆。
状況描写も心理描写もしっかりした、本格パニック映画風シナリオだった。

たしかにタイトル通り、無条件に人を襲うゾンビがあふれた世界で、主人公だけが襲われない。
しかし当の主人公はちょいクズ入っていて、無敵だからっていって困っている人を見返りなしに助けたりはしない。
それどころか、ゾンビに認識されないのをいいことに女の子ゾンビをオナホ代わりにしたり、他の人には入手困難となってしまった食料品をダシに、他の生存者から圧倒的に有利な条件での取引をしようとしたりする。
このクズっぷりに逆にリアルを感じてしまうって、私にもクズ入ってるってことなんですかね?

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このレビューでスポットを当てるのは、ヒロイン・深月の心の動きについて。

彼女は美少女であり、その容姿をもってして「与えられる」ことが当然の人生を歩んできた少女だった。
餓死寸前のところを主人公に助けられたことについて、もちろん彼女は感謝をしていた。
けれどその感謝は、彼女の人生において幾度となく繰り返されてきた「他者からの貢献」と同じ次元のものだった。
(得意教科でいい成績を取って褒められたとき、ありがとうとは言うけれど、内心ではこんなの当たり前って思ってたりするよね?)

けれど、厭世的で人間嫌いな主人公は、その深月の奥底から透けて見える傲慢さがどうしても許せなかった。
食料が惜しいわけでもなく、深月の体が欲しいわけでもない。
ただ、彼女の思い上がった自尊心を傷つけたいがためだけに、食料と引き換えにした体での奉仕を要求するのだ。

主人公の思惑通り、深月のプライドはズタズタになる。
数日ごとに食料を与えられ、代わりに手での処理を要求される日々。
拒否すれば、あっさり見捨てられ、二人の弟と共に餓死することは理解していた。
けれど、こんなに惨めな思いをしてまで生きていくことを、深月のプライドは許さなかった。

彼女が自分の心を守るには、逃げるしかなかった。
弟と、そして自分を騙し、「もう外は安全になった」「家に帰れば両親がいて、今までみたいな暮らしができる」そう思い込むことで、現実から逃げることしかできなかったのだ。
けれど、外には当然のようにゾンビがいて、彼女たちは当然のように襲われる。
死ぬ寸前のところで主人公に救われた彼女は、そうして気がつくのだ。
本当に自分が自分でいられる、その方法に。

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このシナリオは、もちろん主人公の軽快で痛快なサバイバル生活を描いたものである。
が、一方、世間知らずの箱入り娘だった深月ちゃんの成長譚でもある。

他人から好意に甘えて生きてきた少女が、一方的に奪われるだけの存在に堕ちる。
しかし彼女は、自分の身体を与えることで、心を守る術を身につける。
そうして身体を重ねていくうちに、二人の間にほのかな温かさがあることを見つけるのだ。

大切な人を奪われ、自分には討てなかった仇を主人公に取ってもらったとき、深月ちゃんの心には強く刻まれたはずだ。
二人の間に、たしかな絆があることを。

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ちなみに、私が一番テンションあがったのは、時子ちゃんで遊ぶことを思いついたときです!

ところで、血肉で取り戻せるものがあるなら、それって精液でもいけるんじゃないですかね!?
ほら、吸血鬼のばあい、食事は血じゃなくて精液で満足してくれることあるし!
よーし、いっぱい中出しエッチして、時子ちゃんメイドさん化計画!!

あ、1作目の評価は、★4・佳作入選です。
批評空間ベースでは、83点。
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ゲーム [★★★★☆]
ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない

ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない Vol.2

「市役所編」と銘打たれて始まるシリーズ2作目。
主人公と深月は、重症の弟を医者に見せるため、無線の呼びかけに従って市役所へと向かう。

今回は、ある程度統制の取れた集団に属したとき、それをどう統制して維持していくか――というお話。
終末世界のパニックモノとしては、スタンダードな流れ。
(そして大抵は、集団の中で対立が起こって自壊していく)

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避難所には深月の幼馴染のあっくん(本名失念)がいて、主人公に大層不信感を抱いたため、余計な争いを避けた主人公は、深月をあっくんに任せることとする。
主人公は、身体で払ってもらった義理はもう果たしただろう――と、それだけの思いだった。
けれど深月は、主人公に捨てられた――と、そう思ってしまうのだった。

大切なものは、いつも失くしてから気づく――
深月・覚醒verと言ってもいいくらい、深月ちゃんはいい女になりました!
私もこのくらい等身大の自分でありたいと、いつもそう思っています。
けれど人間は往々にして油断し、調子に乗ってしまうわけで。
私も、深月ちゃんも、いつもそのことを後悔するばかりなのでした。

 世界が崩壊する前は、自分の居場所はどこにでもあった。
 今はそうではない。
 自分の居場所は自分で作らなければいけない。
 そして、雄介との生活の中で、誰かの役に立つことで自分の居場所が、ここに居てもいいのだという自負が得られることを、深月は知ったのだ。
 それに比べてば、得体の知れない好意で得られる居場所など、ふわふわした頼りのないものでしかない。


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ということで、深月ちゃんがフェードアウトしてしまった今作のヒロインは、美人女医・牧浦さやか。
たぶん30歳にはまだなっていないのかな?くらいの、ほんわか癒し系な年上のお姉さん。
こちらの牧浦女史とのお話も、また一つ筋の通った物語になっている。

美人で穏やかで、頼りがいのある女性。
彼女は医師であることのみならず、集団のNo.2にまで祭り上げられていた。
責務に忙殺される日々ではあったが、彼女は皆の精神的リーダーとしてふるまっていた。
しかし、深月の弟・隆史が重篤となってから、彼女の精神バランスは一気に崩壊していく。

「……私が普段、どんな気持ちであの椅子に座っているか、わかりますか……? お願いだから怪我人も病人も来ないでと、それだけを祈ってるんです。今の私には、手に余ることの方が多いから。でも、そんなこと言えません。笑顔で周りを安心させるのが、私の務めで、まわりに期待されていることだから。……手さぐりで、ずっとやってきました。せめて救助が来るまでは、みなさんの支えになろうと思って。でも、それも、もう……」

「ごめんなさい……。失望させて、すみません……。でも、恐いんです。殺してしまうのが……。藤野さんの前で、あの子の埋葬をするのが」


世界の破壊と再生。
行き場のない世界の殻を壊し、新しい自分へと生まれ変わる。
その手助けをする主人公が、今回はちょっとイケメンすぎましたね!?
そりゃあ牧浦さんだって惚れちゃいますって!
しかも、主人公の行動原理がやっぱり利己的なあたり、ニクいですねー!

その牧浦さんとのシーン、なかなかにバブみが深くて、これまたたまらない。
見た目は女子大生くらいにも見えますが、やっぱり彼女はお姉さんなんですね!
アプローチのしかたが色気たっぷりで、なんですかカウンセリングエッチって!?

問題が解決してからの健康的でオトナな余裕を見せる牧浦さんは、もちろん好きです。
でも、一人でいろいろと抱え込み、絶望から必死に目を背けようとしている退廃的な牧浦さんも好きなんです!

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市役所編に入らない、時子ちゃんルートも実装済。
知性とは呼べないものの、確実に主人公を意識している時子ちゃん。
こういう女の子をもっとベタベタにシツケちゃいたいって思うのは、やっぱり病気?
もしかしてカウンセリングが必要ですか!?

もう時子ちゃんとは会えないんでしょうか。
Vol.2の評価は、引き続き★4つ。
批評空間ベースでも、83点を維持します。
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ゲーム [★★★★☆]
ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない

ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない Vol.3

シリーズ完結編にあたる3作目は、ゾンビだらけの市街中心地にある市役所から山の野外活動センターへと拠点を移そうとするお話。
なにごともなければ無事に移転できそうな雰囲気はあったけれど、案の定なにごとかが起こって、そううまくはいかない。

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今作でスポットを当てざるを得ないのは、やっぱり深月ちゃん覚醒ver。
主人公と牧浦先生がキスしてるところを見てしまい、身を引くことを決める深月。
避難所に着いてから、彼女は自分の居場所を作るため、そして主人公に認めてもらえる自分になるため、努力しつづけてきた。
けれど、たった一人の医者であり、集団の精神的支柱でもある牧浦先生に比べたら、自分の存在なんて取るに足らないものでしかない――
深月はそう思ってしまったのだ。

けれど、彼女には機会が訪れる。
自分にしか解決できない問題があり、その手段も持っている。必要なのは、一歩を踏み出すその勇気。

 おそらく雄介は、自分に期待などしていない。
 自分でも、何かができるとは思えない。
 もし武器を取り上げられていれば、深月もこんな葛藤に苦しむことはなかった。
 無力に怯える人質のままでいられたのに。
 しかし、これからもし機会を得たとして、本当に勇気を出して行動できるのか。

 自分の正体を突きつけられる、その瞬間が恐ろしかった。


そうして訪れた瞬間を逃さず、突きつけられた問いに、深月はきちんと回答する。
与えられたナイフと銃を使い、クーデターを鎮圧する大きなきっかけを作り出したこと。
ゾンビに噛まれ、医者である牧浦先生さえ見捨てた主人公を、集団と完全に対立するのも構わずに、決して諦めようとしなかったこと。
なぜをそれができたのか。自分はどこから来て、どこへ行こうとしているのか。

「私がやるしかなかった、あの時はそうするしかなかったんです!」
「利用されてるなんて最初からわかってたっ! で、でも、あのとき一緒にいてくれたのは誰? 優が、あの子があんなことになって、それでもとなりにいてくれたのは誰……誰ですか……。あのときの気持ち……他に誰がわかるの……」

「好き、好き、好きなのっ! どうしようもないのっ!」


こんなに情感あふれる告白シーン、ちょっと見られない。
そして、その後のHシーンの深月ちゃんったら、もうね!?
うーん、覚醒深月ちゃんはやっぱり最高にいい女なのでした!

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ちなみに、牧浦先生は完全にドロップアウトした模様。
ショックで虚脱状態――という描写が一度あったきり、それ以降姿を見せない。
元気だといいんですけども。

あと、あっくんは大丈夫かな?
完全にNTRキメられてる形になってしまったけど……。

ところで、知性体との決着は結局つけずに終わるんですね?
まぁ主人公のスタンスからして、もう戦う理由がないから戦わないと言われればそれまでなんですが。
私は別に気にしないけど、この点に不完全燃焼感を覚えた人もいそう。

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EDは二つ。一つは深月ちゃんラブラブエンド。
そしてもう一つは、待望の時子ちゃんラブラブエンド!
また会えましたね、時子ちゃん!
(ちなみに私が主人公だったら、時子ちゃん開放するのがもったいないなーとか思ってマンションに置いておくだろうから、完全にデッドエンドでした)

時子ちゃんは、ダッチワイフからペットへと昇格していた模様。
やっぱりゾンビをメイドさんに育てるのは難しかったのでしょうか……。

3作目の評価は、★4つを継続。
批評空間ベースでも、83点で確定です!
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ゲーム [★★★★☆]
ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない

ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない Vol.0

ナンバリングでゼロがつけられている今作は、ファンディスクに当たる4作目。
本編には入らなかった日常シーンの詰め合わせ、ショートショート集。
あと、本編の世界観ではありえない、ヒロインたちのHシーン集、各1回ずつ。
(深月と牧浦先生は1H3CGだったのに、時子ちゃんだけは1H2CG。なにこれ、許せないんですけど??)

生前(ゾンビ化前)の時子ちゃんエピソードは、時子ちゃんファン得。
本編では「ゾンビに体液を与えたら無条件で懐かれる」という解釈が自然だった。
けれど、このファンディスクをプレイすると、ゾンビ化した時子ちゃんが懐いてくれたのは生前の素質もあったのでは? という解釈も可能になるのだ! すばらしい

他所のレビューを少し拝見させてもらったけど、それにしても時子ちゃんについて触れている人、少なすぎない?
時子ちゃんかわいいのに……。やっぱりゾンビなのがかわいくないって思われちゃうのかなぁ?
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ゲーム [★★★★☆]
ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない

ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない まとめ

シナリオ

なろう小説とは言え、シナリオもテキストも、下手なギャルゲーシナリオよりよほどしっかりしている。
そして、ラノベ風なナンパなタイトルとは裏腹な、本格的なゾンビ・アポカリプスなシナリオ。
(だからこそ逆に、タイトル詐欺じゃんとか言われていたりするらしいが)

ストーリーそのものは、他のポスト・アポカリプスな小説などと比べて、特段真新しさがあるわけではない。
(まずは終末世界でサバイバルして、それから他の集団と接触して、人が多くなったからこそのトラブルが起こって――という)
けれど、その王道をきちんとまとめているのはポイント高し。
設定上のご都合主義はあるが、展開上のご都合主義はほとんど見られないのも、シナリオライターの努力の成果か。

3人のヒロインの心理描写が緻密なのは、特に高評価。
「好きになった理由」に説得力があって、好きになったからこその悩みがあって、葛藤がある。
特に、様々な経験を経た深月ちゃんの成長っぷりはすばらしい。

主人公が明らかな強キャラなのも、安心感と爽快感をもたらす大きな要因。
俺TUEEEな主人公が好きな人はドハマリしそう。

減点ポイントを強いて挙げるなら、知性体との顛末、あっくんのその後など、細かいエピソードのアフターフォロー不足な点か。
特に牧浦先生については、言って2章のヒロインだったのだから、もう少し気にかけてあげてほしかった。

テキスト

文章そのものは、クセがないとは言わないものの、堅実で読みやすいもの。

私が評価したいのは、細かな部分の描写がしっかりしている点。
牧浦先生の手術シーンに、特に顕著にあらわれている。
薬や合併症のことをはじめ、手術前の段取り、手袋の付け方など、その世界の人間しか知らないことがきちんと描かれているのは、世界観にリアリティをもたらす大きな要因。
面白い文章を書くのは才能かもしれないけど、いい小説を書くのは努力なんですねぇ。

グラフィック

同人ゲーとは思えないクオリティ。
ヒロインもかわいいし、背景も豊富。
ヒロインたちに感情移入できるのは、やっぱりこういう下地がしっかりしているからですね!
欲を言うなら、この価格なら立ち絵が2種類ほしかった気がします。

Hシーン

3作合計で、1ヒロインにつき5H10CGくらいだったかな? 深月ちゃんはもっと多いか。
結構贅沢な使い方をしているシーンもあって、豊かな気持ちになれます。
この主人公、パンツを脱がさずにエッチするのが好きなようです!

実用度もそこそこあるので、プレイは計画的に。

声優

女性のみフルボイス。
深月ちゃんも牧浦先生も、ハマり役だった。
これはキャスティング担当がいい仕事をしましたね!

システム

ここだけが同人ゲームクオリティ。
バックログでボイス再生できないのがつらい。

それ以外の必要最低限は備えているので、プレイに支障はない。

総評

18禁版なろう、年間ランキング1位小説のノベライズゲーム版。
(いつランキングTOPになったのかはわからなかった)

主人公最強系・痛快ゾンビアクションADVと、ヒロイン深月ちゃんの成長譚の二本立て。
のめり込むように、一息でプレイしてしまった。
ここまで先が気になる作品って、ひぐらし以来だったかもしれない。

続編を希望する声もあるようだけれど、これ以上は蛇足にしかならないような気がします。
私の評価は、★4・佳作入選。
批評空間ベースでは、83点となります!
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ゲーム [★★★★☆]
ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない