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STEINS;GATE Cp.1~2

私の記念すべき初ギャルゲー作品であり、ギャルゲー史の原点かつ頂点が、これだ。
毎年夏休みになると、きちんともう一周して記事を書かなくちゃと思っていた。思っているうちに、夏が終わっていた。
しかし、16年8月に「STEINS;GATE 0」のPC版が発売されるという話を聞き、ようやく真面目に記事を書くことにしたのでした。

ということで、空想科学ADVの金字塔、「STEINS;GATE」です。
全編通してのプレイは2周目。



Cp.1 時間跳躍のパラノイア

オカリンとまゆしぃは、ドクター中鉢の記者会見に行き、「ラジ館屋上のタイムマシン」と「血塗れの牧瀬紅莉栖」を発見する。
それをダルにメールした瞬間、秋葉原から人が消え――「ラジ館にめり込んでいるタイムマシン」と「何事も無く生きている牧瀬紅莉栖」のいる世界へと変わっていた。
その世界では、「メールは過去へと送信され」「ジョン・タイターも来ていない」ことになっていた。

オカリンら、未来ガジェット研究所では、電話レンジ(仮)に起こる不可思議な出来事を究明しようとしていた。
ケータイで遠隔操作したレンジが誤作動したとき、なぜか「自然解凍中の冷凍からあげは、カチンコチンに」、「ちぎられたバナナは、ゲル状になって房へと戻る」という現象が発生していたのだ。
そして、作動中のレンジに接続されたケータイへとメールを送ったとき、激しい放電現象が起こり――「メールは過去へと送信され」「レンジは床へとめり込んでいた」。

「メールは"過去"へと送られた。
 溶けかけたからあげは冷凍状態に"戻った"。
 房から千切られたバナナは房へと"戻った"」
「……まさか」
「その、まさかだ……!」
これが、運命石の扉シュタインズゲートの選択なのだ。
「この電話レンジ(仮)は――
 タイムマシンだ……!」


Cp.2 空理彷徨のランデヴー

10年遅れのジョン・タイターと、オカリンの記憶にあるジョン・タイターには、差異がある。
しかし、共通しているキーワードは「SERN」と「IBN5100」だった。
まさか、SERNは本当に秘密裏にタイムマシンを開発している……?
疑惑を抱いたオカリンは、軽い気持ちでダルにハッキングを命じる。
が、そこで彼らが目にしたものは、覚悟なしには見ることができないものだった。

「とくと見ておくがいい。そしてその目に焼き付けろ。SERNがしている、世界への欺瞞という現実をな」




最序盤、オカリンの「鳳凰院凶真」キャラと、まゆしぃのおっとり天然キャラの絡みだけ、ややテンポ悪い。
もうどうしようもないんだけどね、これも必要な伏線なワケだし。

しかし、すぐに「秋葉原からの人間消失」が起こり、そこから電話レンジ(仮)の不思議が明らかになり、さらに10年前のジョン・タイターの軌跡の消失が浮き彫りになる。
この辺りから、物語の疾走感にトルクが出始める。

紅莉栖が絡んでくる様子は、ギャルゲーとしても一線級。
「助手」と「岡部」の掛け合いだけでも勝負できるくらい。
なのに、紅莉栖にとってのトラウマであり、決して存在してはいけないはずの「タイムマシン」を、いま目にしているのかもしれない――
認めたくない感情と、認めなければいけない現実と、真実を暴きたい好奇心と。
その狭間で揺れながら、4人目のラボメンになっていく構図は、秀逸という他ない。

やたらハッキングがすんなりいっちゃうのは、ちょっとご都合主義っぽい?
いや、それはスーパーハカーなダルの実力だよね! まちがいない
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ゲーム [★★★★★]
STEINS;GATE

STEINS;GATE Cp.3~4

Cp.3 蝶翼のダイバージェンス

Zプログラム、ゼリーマンズ・レポート、300人委員会……。
SERNのデータベースにあったのは、にわかには信じがたい「タイムマシン開発の軌跡」だった。
しかし、新聞記事という客観的なソースと、ゲル化しながら"戻った"バナナとからあげ、そして過去へと送られるメール。
それらを統合すると、電話レンジ(仮)で起こる現象は、SERNがLHCを用いて行っている実験と同じ可能性が高いように思われた。

それを実証するため、オカリンらは、過去へと送られるメール――Dメールを用い、過去を変えることを試みる。
すなわち、ロト6の当選番号を過去へと送り、電話レンジ(仮)のタイムマシンとしての実用性を証明しようとしたのだ。
そのDメールを送った瞬間、過去が改変され――現在も変わった。
宝くじは(ルカ子によって)購入され、紅莉栖ら4人のラボメンは「実験をしていない」ことになっていたのだ。

その現象について、ジョン・タイターはDメールによって世界線が変動したせいだと言う。
そして、過去改変前の記憶を保持しているオカリンを、「能力」の持ち主かもしれないとも。

あなたならば世界を導くことが出来るかも知れません。世界線変動率1%の向こう側へ。アトラクタフィールドと呼ばれる壁の向こう側へ。

キョーマ、あなたに、
救世主になって欲しい。


世界線変動率:0.571024→(ロト6)→0.571015

Cp.4 夢幻のホメオスタシス

実験レポート:『過去を司る女神』作戦オペレーション・ウルド・第3段階

[目的]
1. タイムマシンの実用性の証明。
2. オカリンだけが過去改変前後の記憶を持ち続けている事実の確認。
3. 32バイト以上のデータを過去へと送るためのデータの収拾。

[方法]
過去を改変できる可能性のあるDメールを繰り返し送信する。

[結果]
1. 桐生萌郁
  4日前の自分に、「ケータイの機種変をやめるように」。
  結果、ラボメンになった経緯が消失した。
2. 漆原るか
  16年前の母親に、女に生まれるよう、「野菜を多く食べるように」。
  結果、るかは女性になった。
  また、この時点でIBN5100の消失と、萌郁がラボに現れた痕跡が確認された。
3. フェイリス・ニャンニャン
  10年前の父親に、内容は不明。
  結果、フェイリスが雷ネットの大会に出場するようになり、同時に秋葉原から萌え文化が消失した。
4. 阿万音鈴羽
  1日前のオカリンに、「鈴羽を尾行するように」。
  結果、父親と再会できないまま秋葉原を去ろうとする鈴羽を引き止めることに成功した。

[考察]
世界線を移動する際、オカリンのみ毎回改変前の記憶を保持していたことから、「リーディング・シュタイナー」は存在していると思われる。
しかし、過去を改変するという目的は達成したものの、因果関係が明らかにならない現象も起こっていた。
このバタフライ効果が制御できない限り、電話レンジ(仮)をタイムマシンとして実用することは難しいと思われる。
また、人間をタイムトラベルさせることができるような、32バイト以上のデータを送るために有用だと思われるデータは収拾できなかった。

[備考]
サブタイトルの「ホメオスタシス」は、外部環境の変化に対し、内部環境の変化を一定範囲に収束させようとする、生体の「恒常性」を意味する。

世界線変動率:0.571015→(萌郁)→0.523299→(るか)→0.456903→(フェイリス)→0.409420→(鈴羽)→0.337187



この辺りで、男の子的な空想科学へのワクワクはトップギア。
「SERN」や「300人委員会」のような世界の深淵に触れてしまった興奮と、彼らですら未だ到達していない世界の真理を自分が解き明かせそうな興奮と、それを自分たちだけでこっそり使ってしまう興奮と。
このセカイ系っぽさは、ラボの秘密基地じみた親密感がもたらしているよね。
ただ、地平線からゆっくりと暗雲が広がってきているのも見えている。

しかし、やっぱり何度見てもルカ子はかわいいよね……。
そうだよ、こんなにかわいい子が女の子なはずがない!
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ゲーム [★★★★★]
STEINS;GATE

STEINS;GATE Cp.5

Cp.5 時空境界のドグマ

『現在を司る女神』作戦オペレーション・ベルダンディ

「メールによる指示」という過去への干渉に、タイムマシンとしての限界を感じたオカリンは、次なる段階――すなわち、人間のタイムトラベルを模索する。
しかし、Dメールの要領で人間をデータ化して過去へと送信するとしても、それは途方も無く大きな容量になることが予想された。
電話レンジ(仮)の「安全に送れるのは32バイトまで。それ以上はゼリーマン化する」という性能の前に行き詰まってしまう。

しかし、オカリンはここで発想を転換する。
32バイトまでしか送れないのなら、人間を32バイトまで圧縮してしまえばいいじゃない――と。
そして、それは決して非現実的な発想ではなかった。
「紅莉栖が脳科学専攻であり、記憶をデータ化する研究を実用化していたこと」、「SERNのLHCで発生させたミニブラックホールを用いれば、どれだけ膨大なデータでも超圧縮が可能であること」、「(なぜか)SERNからラボまで直通の光回線が敷かれていること」。
これらの条件が揃っている現状、理論上では、記憶のみの時間跳躍――すなわちタイムリープが可能だったのだ。
これは偶然か、あるいは"運命石の扉"の選択なのか。

「これは人類の歴史を塗り替え、新たなる段階へ足を踏み入れたことを意味する。すなわち時間の壁の征服。かくして人は未来へ流されるのではなく、未来を選んでいくことができるようになるだろう」
「その人類史上初の偉業を、今、我ら未来ガジェット研究所が成し遂げようとしているのだ……!」


目標を見つけたラボメンたちは、科学者らしく盲目的に邁進し、勢いのままにタイムリープマシンを作り上げる。
しかし、一つの目標を達成し、いざ冷静になったとき、オカリンたちは呆然とする。
実験をしなければ、本当に完成したのか確かめられない。
だが、誰が被験者になるのか? 実験が失敗したらどうなるのか? 成功したとして、改変される可能性を孕んだ世界はどうなるのか?
様々な疑問とそれに対する意見が交わされたが、結論は「やってみなくちゃわからない」であり、彼らの好奇心ですら未知に対する恐怖に勝てるものではなかった。

「私たち、ひょっとすると、とんでもないものを作っちゃったかもしれない……」


完成したタイムリープマシンを然るべき機関に譲渡することを決めた夜、ラボメンたちは祝賀会を開いていた。
そこに一つの悪いニュースが入ってくる。
その瞬間、オカリンの脳裏には、今までの不安が次々と押し寄せる。
意味深な脅迫メール、SERNへのハッキングと、なぜか敷設されていたホットライン……。
それらの点を線で繋ぐように、桐生萌郁が現れるのだった。



空想科学のワクワクが最高潮に達したとき、特異点のような空白が生まれ、その一瞬のち、ブラックホールに飲み込まれるかのような勢いで物語は転げ落ちていく。
初めてプレイしたのはもう6年近く前になると思うけど、傭兵たちがラボに押し入ってきたあの瞬間の、全身の毛穴が開くような感覚は今でも覚えてるよ。

冷静に考えれば未知のリスクが大きすぎて使えないタイムリープマシンを、とても冷静になんかなれない状況を作り出し、使わざるを得なくさせる。
物語の構成としても最高だし、このオカリンの咆哮は、ギャルゲー史に間違いなく残る名台詞だ。

まゆり……!
お前を助けるために、俺は、時間を跳び越えてやる……!
だから……!
跳べ――
俺の記憶よ――
過去へ、跳べ――
「跳べよぉぉぉぉっ!」

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ゲーム [★★★★★]
STEINS;GATE

STEINS;GATE Cp.6(鈴羽エンド)

Cp.6 形而上のネクローシス

また殺された――
なんでだ。
なんでだよ!
なんで助けることを否定するんだよ!
なんで助けちゃダメなんだよ!
まゆりを殺そうとしているのは、誰なんだ?
萌郁? SERN?
それとも――
もしかして、世界が、まゆりの死を、望んでいるのか?
俺は、そんなの認めない……!


何度タイムリープしようとも、まゆりの死が回避できない――
一人で試行を繰り返し、そのたびに命を落とすまゆりを目の当たりにして心が折れかけていたオカリン。
そこに差し伸べられるのは、紅莉栖と、鈴羽の手だった。

2036年からのタイムトラベラー、ジョン・タイターこと阿万音鈴羽は、「世界線と世界線収束範囲から成る世界の構造」について解説し、今いるアトラクタフィールドの範囲外に出ない限り、結果は収束する――そう述べる。
まるで運命のように避けられないまゆりの死は、ある意味で、本当に世界の意思だったのだ。
別のアトラクタフィールドにさえ跳べたなら、まゆりの死は回避できる。
そしてこの2010年は、普段は干渉できないはずのアトラクタフィールドの大分岐が起こるタイミングだった。
「タイムリープマシンの発明」という人類初の偉業の達成と、SERNにその知識が接収されたことによって。

「原因は、君たちが一番最初にタイムマシンを使ったときの、メールデータだと思う。父さんはそう予測してた」
「だから、捉えられた"最初のメールデータ"を、SERNのコンピュータから消去しなきゃ」
「そうすれば、SERNは君たちには気付かない。タイムマシンが2034年に完成することもなくなる。それどころか、タイムマシンの研究そのものが頓挫するかも」


IBN5100によって構築されているサーバー内にある最初のDメールさえ消去すれば、まゆりは助かるのだ。
鈴羽はIBN5100を入手して2010年のオカリンたちに託すため、1975年へと飛ぶ。
しかし、結果は失敗に終わる。

鈴羽は、手紙で「父親に会えないまま1975年に去ろうとする自分を引き止めなければ、タイムマシンは故障せず、IBN5100を手に入れられるかもしれない」と言う。
しかし、オカリンにその選択肢は選ぶことができなかった。
まゆりの死は受け入れられない。けれど、鈴羽と絆を結んだ事実も消したくない。
そうして48時間のループに逃げ込んだオカリンは、形而上的(*1)にネクローシス(*2)していくのだった。

(*1) 形而上:形のないもの。精神。魂。
(*2) ネクローシス:壊死。



鈴羽エンドは、終わらない二日間に閉じ込められたオカリンを、鈴羽が救い出すようにして締められる。
サイクリングの一枚絵が出てからは、ニトロプラスらしい狂気が滲み出ているよね。
手段と目的が入れ替わってしまった感じ。鈴羽じゃなくても、もう見てられない。

だから鈴羽は助けてくれるわけだけれど、この構図は紅莉栖とほぼ同じなのだ。
数えたくもないほどまゆりの死を見て、「世界の意思」の前に膝をつきかけていたオカリンの前に、紅莉栖は現れ――そして、言うのだ。

「話して」
「あんたがタイムリープしたのは分かってる」


私にとっては、このセリフが、牧瀬紅莉栖がメインヒロインであることの証明だ。
どうしようもなく行き詰まってしまったとき、そっと手を差し伸べてくれる。
あの時の紅莉栖は、本当に天使か、あるいは神様みたいだった。

「気をつけて」
「わたしはいつだってあんたの味方よ」


---

今までは、自分でギアを入れて物語を駆け抜けるような、疾走感にあふれていた。
しかし、この章からは、まるで物語に引きずり込まれていくよう。
「転」としての構成は、これ以上なんてない。

ただ、欲を言えば、鈴羽が1975年に跳んでから、その結果がわかるまでが短いかも。
いや、主観では本当に数時間しか経っていないのだからしょうがないのかもしれないけど。
でも、いなくなった鈴羽に思いを馳せる余韻みたいのがあれば、もっと手紙に重みが出たかもって。
それでも、鈴羽とダルの「再会」は、一枚絵がほしいくらいしんみりしてしまいました。

ところで、なんでタイムリープマシンは48時間が限界なの?
紅莉栖の言い方だと、なんかよくわかんないけど48時間しか無理です! にしか聞こえなかったんだけど……?

---

世界の構造についての備忘録。

世界は無限に近い「可能性世界線」によって、結末が枝分かれしていく。
しかし、その結末は、因果律により、根本的な原因を変えない限り変化しない。

紅莉栖は、タイムリープしようとするオカリンを前に、「自分の認知する世界はどうなるのだろうか」と疑問を抱いていた。
タイムリープのみでは世界線は変動しない。すなわち、オカリンが時間を戻したとき、紅莉栖の時間も戻るということ。
重ね合わせ状態で存在しているのは「世界線」であって、「世界」ではない。
それを逆に言ったのが、世界線は無限に存在しようとも、世界は一つしかない――ということだ。
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ゲーム [★★★★★]
STEINS;GATE

STEINS;GATE Cp.7(フェイリスエンド)

Cp.7 虚像歪曲のコンプレックス

まゆりの命と、鈴羽との想い出とを天秤にかけ、オカリンはまゆりを選ぶ。
鈴羽の尾行を中止するDメールを送った瞬間、世界線は変動し――しかし、IBN5100は行方知れずのままだった。
ダイバージェンスは未だに1%を越えておらず、まゆりの死が24時間後ろにずれ込んだのみ。

オペレーション・ウルドの実行前は、たしかにIBN5100を手に入れられる世界線だった。
ならば、そのDメールをすべて打ち消していけばいいのでは?
紅莉栖のアドバイス通り、オカリンはまずフェイリスの元へと向かうのだった。

フェイリスの送ったDメールは不明のまま。
しかし、4℃に追われ、逃げ込んだ元メイクイーン・ニャンニャンで、フェイリスはその内容を思い出す。

「フェイリスがDメールで叶えた願いは――」
「フェイリスが叶えたのは――」
「……10年前に死んだパパを、生き返らせることニャ」


---

フェイリスエンドは、まゆりの命と、フェイリスパパの命を天秤にかけ――選ぶことができなかった世界線。
フェイリスの8歳の誕生日、フェイリスパパは飛行機事故で亡くなっているはずだった。
それをフェイリスはDメールで狂言誘拐を送り、飛行機に乗らせないようにして、世界線を動かしていたのだった。
娘の誘拐を聞いたフェイリスパパは、IBN5100を売却し、身代金を作る。だからそれを阻止するような、二通目の脅迫メールを送るのだった。

移った世界線は、まゆりも、フェイリスパパも死なず、誰もが傷つかない世界。
しかし、それは想い出のすべてを犠牲にした結果だった。
まゆりは幼馴染ではなく、ラボは作られず、ダルとも友達になっておらず、紅莉栖はすでにアメリカに帰ってしまっている。
そして、たった一人残っていたフェイリスとも、互いに持っている想い出が異なってしまっていた。

「想い出が消えるのって、とっても、切ないのニャ……」
「自分の知ってる人が、知ってる人じゃなくなっちゃって……」
「自分だけが、想い出が消える前のことを引きずってて……」
「その想い出を、押し付けることもできなくて……」
「こんな中途半端に覚えてるなら、いっそ、きれいさっぱりフェイリスの想い出も消してもらいたいぐらいニャ……」


それでも、想いはここにあって、自分と彼女もここにいる。
想い出がなくなってしまったなら、これからまた一緒に作っていこう――



フェイリスエンドでは、プロローグから私たちのなかにあった疎外感を突き詰めたもの。
リーディングシュタイナーは、たしかに世界線間を移動した観測ができる。
しかし、移行した世界での出来事を経験していないせいで、「ズレ」が生じる。
知っているようで、まるで別物の世界に生きている孤独。
それは、あるいは1975年に跳んでいく鈴羽が感じていたものと同じものなのかもしれない。

「あなたはね、私の王子様なんだよ?」


けれど、この少女だけは、因果律を越えたその向こうでも隣にいて、孤独を埋めてくれた。
オカリンが王子様なら、フェイリスは天使。まちがいない!
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ゲーム [★★★★★]
STEINS;GATE

STEINS;GATE Cp.8(るかエンド)

Cp.8 自己相似のアンドロギュノス

フェイリスの願い――人の命を天秤に乗せ、まゆりを選んだ先の世界線にもIBN5100は存在しなかった。
次に打ち消すべきDメールは、ルカ子が母親に送った「女に生まれる」ように誘導するもの。
悩んだ末、すべてをルカ子に打ち明けたオカリンは、ルカ子の恋心を知るのだった。

「恋愛となると厄介よ。アレには方程式が存在しない。人の感情は計算できない。あまりに未知数だわ」


ルカ子はすべてを知った上で、「仮初の恋人になりたい」と想いを告げる。
まるで女の子みたいで、今は本当に女の子だけれど、数日後には男に戻るはずの女の子。
そんな恋人関係に、初めはギクシャクするものの、最後には普段通りの――いや、今までに見たこともないほどすてきな笑顔が浮かぶ。
だからこそ、オカリンには疑問が尽きなかった。
これ以上、本当に他人の想いを踏みにじっていいのだろうか? 自分に、その資格はあるのだろうか?

---

るかエンドは、Dメールを送らないことを選択する。
世界線さえ変えれば、タイムリープさえすれば、なにもかも「なかったこと」になる。オカリンのみを除いて。
オカリンには、その重さに耐え切れなかった。

結果的に、まゆりは死んだ。
そして、誰もオカリンの努力も、苦悩も、知ることはない。
責められることすら許されない、孤独な罪。

「ボク……ボクは、それなら岡部さんと一緒に、背負いたいです……」
「ボクたち、共犯者、なんですよ……」
「この悲しみも。この負い目も」
「2人で、忘れずに、抱いていきたいです……」


しかし、すべてを教えられ、男だった頃の記憶も取り戻したルカ子だけは、その辛さを理解できた。
彼女の存在こそが、まゆりの死の上にあったのだから。

「ずっと、そばにいてもいいですか?」




るかエンドは、一番ギャルゲーっぽいのに、一番救いが感じられないエンディングな気がする。
まゆりを殺そうとする世界の意思を受け入れるケースとしての、この終わり方なんだろうけど。
妖刀五月雨での修行でデートを終わらせる辺りまで、ほんとギャルゲーなのに、その後の虚無感がすごい。
だからこそるかの覚悟が染みるわけで、エンディング後の一枚絵でのエピローグだけが救いなのだ。

ルカ子は、声優だけがちょっと残念。
一文読むのにすごく時間がかかるから、イライラします。
性格は好きだよ? ルックスだってかわいいと思います! 五月雨装備な巫女装束とか最高なんです!

とは言え、いくらかわいくても、男のおちんちんはぺろぺろしたくない……。
でもかわいい女の子のおちんちんならぺろぺろしたい! ふしぎ!!
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ゲーム [★★★★★]
STEINS;GATE

STEINS;GATE Cp.9

Cp.9 無限連鎖のアポトーシス

ルカ子が男だった世界線。IBN5100は、そこでもオカリンの手をすり抜けていく。
ならば――と、まゆりを殺した「敵」、桐生萌郁を訪ねる。
萌郁が送ったDメールは、萌郁自身のケータイから送られていたからだ。
しかし、萌郁のアパートでは、萌郁が自殺していた。彼女の死は「世界から承認」されていたのだ。

タイムリープした先にいた萌郁は、ラウンダーの上司――FBから見捨てられ、廃人のようだった。
オカリンは、萌郁の送ったDメールが「ケータイの機種変更について」ではなく「IBN5100の在り処について」であることに気づく。
そして、そのDメールを打ち消すには、FBからの指示でないと難しいと思われた。
オカリンは、敵ではありながらも「FBと直接会う」という共通の目的の前に、萌郁と協力することにする。

IBN5100の受け渡しの足取りを追った結果、FBの正体がミスターブラウンであることを突き止める。
ブラウンは「役目を終えたラウンダーは始末される」と言いながらも萌郁を殺さず、自殺する。
しかし、世界から承認された萌郁の死は、ブラウンの娘・綯によって遂行される。

この世界線において、成長した天王寺綯はラウンダーに入り、15年後、オカリンを殺す。
それは鈴羽が言っていた通りの、世界に承認されたオカリンの死でもある。
そして、5000回以上のタイムリープを経て2010年に戻り、萌郁を殺すのだ。

このアトラクタフィールドにいる限り、結末は収束する。
一度歪めた因果のせいで、様々な人間の人生が狂い、悲しみは連鎖していく。
オカリンは、自分が変えた過去をすべて元に戻すことを誓い、萌郁のDメールを打ち消すのだった。

「メーターの数値が1%を超えたとき、君はβ世界線にたどり着いたことになる」
「1%を突破さえできたら……椎名まゆりは、助けられるっていうこと」


しかし、その先に待っているのは――



勘のいい(あるいはマメな)諸氏なら、3章(あるいは6章)で気づくことができる「結末」が、ここで明らかになる。
ジョン・タイターは、メールで「ダイバージェンスが1を超えると、ディストピアの誕生を防ぐことが出来、世界は救われる」と言っていた。
プロローグの「ラジ館で牧瀬紅莉栖が殺された」世界線は、ダイバージェンス1.130426%の、β世界線だった。
オカリンは、そこを目指していたのだ。

今まで「まゆりの命」と天秤にかけたのは、「鈴羽との想い出」「フェイリスパパの命」「ルカ子の性別」だった。
そして、これから「まゆりの命」と「紅莉栖の命」を天秤にかけなければいけなくなる。
まゆりの死という状況が物語の「転」に当たるかと思いきや、その先にもう一つ転落が待っているのだ。
このすばらしい構成が、この作品が神ゲーな所以の半分くらいを占めている。

そして、この推理可能なギミックは、萌郁のDメールにも言えること。
たしかに、そのDメールを送って以降、萌郁が登場する機会は数えるほどしかない。
が、そのシーンのすべてにおいて、萌郁はあの紫色のケータイを持っているのだ。

---

この章のサスペンス具合は、まゆりの死を回避しようとする6章と並ぶほど。
そしてこのお話は、綯ルートと言っていいほど、彼女の存在感が大きい。
バタフライ効果のすさまじさと、軽い気持ちで行った過去改変の重さを再び見せつけられるのだから。
天真爛漫なロリっ娘だったはずの綯ちゃんの豹変っぷりったら、もう……。
ただ、欲を言うなら、一枚絵はオカリンに切りかかるシーンじゃなくて、萌郁を刺すシーンに欲しかったかなーって。

あとは、IBN5100が回収されるタイミングが都合よすぎるかなーと思わないでもない。
だって、8月1日くらいに手に入れたのに、2週間近くコインロッカーに置きっぱだったんでしょう?
普通ならそんな危ないことしないよね。管理会社に回収されちゃうかもだし。
それとも、これもシュタインズゲートの選択なのか。
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STEINS;GATE Cp.10(まゆりエンド)

Cp.10 透明のスターダスト

「これから話すのは、相談じゃない。事実だ」
「お前にとっては……死亡宣告になる」
「俺は説明したよな。SERNにクラッキングをすることで、まゆりが死ぬことのない、β世界線にたどり着けると」
「元凶となった最初のDメール。その内容はお前にも見せたはずだ」
「β世界線では、そのメールの内容が"実際に起きた"」
「β世界線では、お前は――」
「7月28日に、死んでいるんだ、紅莉栖」


まゆりと紅莉栖の命を天秤に乗せるのが、この10章。
もはや尋常な精神では選ぶことのできない選択肢。
しかし、今までに犠牲にしてきたものを思えば、逃げることすら許されない。

まゆりエンドでは、今までの目標を完遂する形でエンディングを迎えることになる。
しかし、それはオカリンだけの意思ではない。
紅莉栖の優しさが、まゆりの強さが、オカリンの背中を押したのだ。

本当なら、なにをせずとも迎えていたはずの日常。
狂おしいほどに求めていた未来は、こうして手に入る。
犠牲にしたものは大きかった。だからこそ、今ここにある日々が大切に思えるのだ。



このエピソードは、アニメ版の出来がよかったような記憶がある。
ゲームだと、ほわっと天然癒し系キャラなイメージの強かったまゆりの強さが、特に光っている。

好きな人の力になりたい――
それは言わば、人間誰しもが持つ、根源的な愛の力だ。
逆に、だからこそ人は、自分が傷つくよりも自分の大切な人が傷つくほうが痛いのだ。
けれど、まゆりの強さは、好きな人を傷くことになっても、自分の信じたものを信じ続けることができるところにある。

紅莉栖が死に、自分が生きる――
まゆりにとっても、そんな選択肢は選べるはずがない。
けれど、オカリンも、紅莉栖も、自分をどこまでも愛してくれている――
それを信じられたからこそ、まゆりは「紅莉栖を見殺しにする」選択肢を選び、自分が幸せになることを誓ったのだ。
並大抵の強さじゃない。

---

最後に。
紅莉栖は、β世界線では許されていない自分の存在について、こう考察している。

「仮に岡部の主観が"私が死ぬ世界線"を選んだとして、私の主観も同じように"私が死ぬ世界線"を選ぶとは限らない」
「それは、私の主観がここに存在していることからも分かる」
「すでにこの世界線は"私が死なない世界線"なわけだから」
「あんたの主観がβ世界線に行ってしまっても、私の主観はここにとどまることだってできるのかもしれない」


紅莉栖は、オカリンの「リーディング・シュタイナー」と、鈴羽の言う「アトラクタフィールド理論」について、証明されていない仮説でしかないと言う。
並行世界で自分が生き続ける可能性だってある、だからオカリンは悩む必要なんてない――と。

「まだ誰にも、なにも、証明されてないから。2036年時点では証明されていたとしても、その証明を今の私たちは確認できないから」
「そう考えれば――」
「未来の可能性は無限よ」


たしかにそう考えれば、並行世界で紅莉栖が生き続けている可能性もあるようにも思える。
しかし、フェイリスも、ルカ子も、まゆりも、そして紅莉栖本人も、他の世界線での記憶をおぼろげながらに持っていたのだ。
それはつまり、オカリンの主観していた世界を、他の人間も共有していた証。
2010年8月18日は、まゆりが生きていて、紅莉栖が死んだ、ダイバージェンス1.130238%の世界たった一つしかないのだ。

未来の可能性は無限かもしれない。
しかし、死んでしまった彼女には、もはや過去しかない。
このエピローグは、まゆりとオカリンの強さを祝福するものであると同時に、紅莉栖にとってはひたすらに残酷なものなのかもしれない。
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STEINS;GATE

STEINS;GATE Cp.10(紅莉栖エンド)

Cp.10 因果律のメルト

「これだけははっきりしてる」
「あんたは、まゆりを助けるべきなのよ」
「できるかできないかじゃない。あんたはやらなくちゃいけない。それしか道はない」
「他に解決策があるの? ないんでしょ?」
「私は、まゆりを犠牲にしてまで生きていたくない!」
「もしまゆりを助けなかったら、あんたを一生恨むから!」


紅莉栖エンドでも、10章ではまゆりと紅莉栖を天秤に乗せる。
そして(意外なことに)まゆりエンドと同じく、β世界線へ移行することを決断するのだ。

けれど、それはまゆりエンドのような、前向きな決断ではない。
紅莉栖を助けたくて、けれどどうやっても助けられない現実にぶつかり、諦めた上での後ろ向きの決断なのだ。

そのもがいている最中、オカリンは自分の中に生まれていた想いに気がつく。
それは紅莉栖に受け入れられたものの――返ってくることはなかった。

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ラストシーン、泣きそうな声で鬨の声を上げるオカリンの元に、紅莉栖は現れる。
まるで見計らっていたかのような――いや、見計らっていたのだろう。
もし自分がオカリンの気持ちに応えてしまったなら、オカリンは自分のためにまゆりを見殺しにするかもしれない――そう考えてしまったら、自分の想いすら伝えられなかったのだ。
だからこそ、すべてが取り返しの付かない、あのタイミングなのだ。

彼女はいつでもクールで論理的な少女だった。
私たちはいつも彼女の理性的な強さに助けられてきた。
そして、彼女はその強さで、自分自身を殺したのだ。

過去を改変し、世界線を移動する――
その罪を贖うべく、二人はここまで歩んできた。
だが、二人の気持ちが生まれたのは、その罪があったせい。
ならば、それすら罪だというのだろうか?
彼女はそんな因果の向こうに溶けていく。

「さよなら」
「私も、岡部のことが――」

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ゲーム [★★★★★]
STEINS;GATE

STEINS;GATE Cp.11(トゥルーエンド)

Cp.11 境界面上のシュタインズゲート

紅莉栖エンドにおいて、オカリンはβ世界線へと移行する。
そこは、紅莉栖が死に、まゆりが生き、SERNによるディストピアが生まれない世界線。
これで物語は終わるはずだった。

しかし、2036年からのタイムトラベラー・阿万音鈴羽が、この世界線でも現れる。
彼女は言う、この世界線では、タイムマシンを巡る第三次世界大戦が起こり、50億人が死ぬことになると。
けれどオカリンにとって、過去を変えることは、もはや認められなかった。
紅莉栖をはじめ、仲間の想いと、自らの身と心も削り、ようやく贖った罪だったのだから。

「もしも。もしもだよ? この世界線の未来を変えるために必要なのが、2010年7月28日に亡くなった牧瀬紅莉栖を――」
「助けること……って言ったら?」


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『未来を司る女神』作戦オペレーション・スクルド

1つ、牧瀬紅莉栖の命を救うこと
1つ、ドクター中鉢がロシアに持ち込んだ『中鉢論文』をこの世から葬り去ること


15年後のオカリンは、今までのすべてに意味があったと言う。
仲間の願いを、想いを、そして命を犠牲にしてきた過去があったからこそ、2025年の自分がいて、そして2010年の自分がいるのだと。
だからこそ、今こそ「シュタインズゲート」に到達し、紅莉栖を救うことができるのだと。

「"確定した過去を変えずに、結果を変えろ"」
「"血まみれで倒れている牧瀬紅莉栖と、それを目撃した岡部倫太郎"。その過去は確定している」
「だが、逆に言えば、確定しているのは"それだけ"だ」
「"最初のお前"を騙せ」
「世界を、騙せ」
「それが、『シュタインズゲート』に到達するための選択だ」
「健闘を祈るぞ、狂気のマッドサイエンティストよ」
「エル――」
「プサイ――」
「コングルゥ」




すべての出来事に意味があった。
プロローグからのすべてが、このエンディングのためにあったのだ。

とは言え、タイムマシンであっさりと解決できるかと思いきや、2周しなきゃいけなくて、しかも2周目でも「血糊が使えない」というアクシデントつき。
そして、中鉢に対して「世界に承認されていない死」を盾に戦うオカリンがカッコよすぎる。

こうして5章から続いてきた息の詰まりそうなサスペンス展開は、オーラスの紅莉栖との再会で、すべてが昇華される。
今となっては、まぁ王道だよね。なエピローグだけれど、かつて初心者だった私には、まるで心が洗われるようだった。
このカタルシスこそが、この作品の魅力の半分くらいを占めているよね。

これはアニメでは味わえない、ゲームならではのものだと思う。
自分で選択肢を選び、まゆりと紅莉栖が助かることを祈り続けた20時間以上が、ようやく報われたのだから。

次回、総評。
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STEINS;GATE
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