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手垢塗れの天使 まとめ

「私の……何がいけないんですか?」
「ビジュアルは十分にアイドルとして通用するし、頭もいいし、手先だって器用だし、トークだってちゃんとできるしっ……」
「これで売れないなんておかしいじゃないですかっ!」

「……アイドルとして華々しく活躍するためにここにいるんです。それができなかったら意味がない」


シナリオ

ということで、2016年6月発売枠は、あかべぇそふとすりぃより「手垢塗れの天使」。
アイドルの卵な女の子が、枕営業で芸能界をのし上がろうとするプレ・シンデレラストーリーを描く、抜きゲーです。

「枕営業」が題材の作品そのものは、そんなに珍しくない。
けれど、過去に私が触れたことのある枕営業な作品は、「華々しく活躍しているアイドルが、実は裏でこんなエッチなことしてたんです!」というものが多かった。
この作品のサブヒロイン・アンリちゃんみたいな、「セックスをすることが目的」なコンセプトかな。

けれど、メインヒロイン・嶺衣奈ちゃんは、芸能界で成功することだけが目的であり、その手段を問わなかっただけ。
「強くしぶといアイドルの裏の顔を知るADV」なだけあって、すべては自分の判断であり、意志なのだ。

ここが、嶺衣奈の覚悟の見せ所なのは間違いない。
騙されたわけでなく、今、まさに試されている最中なのだと理解することができた。


なので、強くしぶといヒロインは、最後まで目的と手段をはき違えたりしない。
すなわち、「快楽堕ち」したりしないのだ。

そのおかげで最後のHシーンがヤバかった。
「アイドルとして成功する」はずだった目的が、いつの間にか「アイドルでいること」にすり替わっていたからね。
あの倒錯感は、快楽堕ちなんかよりよっぽど強烈な転落っぷりだった。

ちなみに、エンディングは一つのみ。

望まない妊娠をしてしまった結果、芸能界を引退し、アイドルとしての幸福は諦めざるを得なかった。
けれど、妊娠していることを隠して結婚することで、女性としての幸福を掴もうとした。
が、元プロデューサーからアイドルたちの枕営業が暴露されたことで、その幸福すら掴むことはできなかった。
自分がもうなにも手に入れられないことを悟ったヒロインは、そのやり場のない感情を、元プロデューサーへの復讐へと向けるしかなかった――

と、こういう結末を迎える。完全にバッドエンドですね。
誤った手段は、誤った結果しか生まない――という教訓みたいなものなんでしょうか。

テキスト・Hシーン

シナリオライターは、和泉万夜。
BlackCYCの黄金期を支えた一人だけあって、さすがと言うしかない。
ちなみに、私が一番お世話になっているライターさんでもあるようです。

視点は三人称から。
この内容なら、ヒロインの一人称テキストでもよかったかなーと思わないでもないけれど、まぁこれはこれでよいのでしょう!

Hシーンになるとヒロインの「裏の声」が聴けるのだけれど、それが男の一言一言に全レスでツッコミを入れていくのが、ちょっと面白かった。
枕営業されるのに慣れてるハズのオヤジに「こいつガッつきすぎ! 童貞なんじゃないの!?」とかね、もう草生える。

「奉仕しなきゃいけない立場の女の子」の本音を聞きながら、男に気に入られるような演技をする――というHシーンのスタンスも、倒錯感あって興奮度高め。
そういうお店に行ったときとかね、嶺衣奈ちゃんのことを思い出すと、テンション上がるんじゃないでしょーか!(あれ、下がっちゃう?)

しかし、エロゲーの世界にはゴムとかピルとか存在しないんですかね?
このエンディングを迎えるなら、ヒロインにもうちょっと「中出し」に対する危機感とか持ってほしかったかなーって。
ほら、そういうのってテンション上がるじゃないですか!

キャラクター・グラフィック

さすが有名ブランドだけあって、クオリティは上々。

ヒロインのルックスは、嶺衣奈よりアンリのほうがぜんぜん好みだったけど、嶺衣奈ちゃんはその性格によく似合ったキャラデザだった。
なんだろうね、如月繋がりで千早でも意識してたんでしょーかね?
でも、もうちょっと立ち絵がかわいくてもよかったよーな……。

音楽

BGMはふつう。
OPはないけれど、EDのボーカル曲は、あのエンディングと相まって、ちょっとボーゼンとしちゃいました。

システム

過不足なし。

総評

「枕営業」モノの、異色の抜きゲー。
いろんな趣味趣向の人に楽しめる、不思議な作品に仕上がっていた気がする。
私はアイドルにはまったく興味なかったけど、「内心嫌々な女の子に、笑顔で奉仕されちゃう」ところがハマってたみたいですね!

ただ、個人的にはハッピーエンドも見たかった。
この作品を「華々しく成功しているアイドルの、陰の努力譚」的な位置づけにしてほしかったかな、みたいなね?
ロープライスじゃ、ボリューム的にキビシかったのかな。

私の評価は★3つ、良作としておきます。
久々に批評空間で「かなり使えた」おかず得点をつけちゃいますよ!
category
ゲーム [★★★☆☆]
手垢塗れの天使