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ちはやふる 1~3話

名作アニメ枠で紹介されていた「ちはやふる」を、とうとう観ることに。
来期に二期がやるという噂だね。
教養がなく、百人一首を一つとてマトモに覚えていない私は、「全釈 小倉百人一首」(福音館書店、1958年)を引っ張り出してきてみたので、そのあたりも少し気にしながら観てみようと思います。

まずはこのタイトルでもあり、主人公の名前でもあるコレから。

ちはやぶる神代もきかずたつ田川  からくれなゐに水くくるとは
  一七 在原業平朝臣

いろいろ不思議なことが起こったという神話の時代ですら聞いたことがない。
龍田川の水がこんなにも真っ赤に染まっているなんて。

紅葉の名所である龍田川に、もみじがたくさん散り流れている様子を詠んだ歌のようです。
「ちはやぶる」は「神」の枕詞で、神様の勢い、すなわち神威をあらわすようです。



第一首 さくやこのはな

主人公の綾瀬千早の小学校時代。
福井からの転校生の綿谷新の、かるたへの情熱に当てられ、日本一を目指すお姉ちゃんよりもスゴい、世界一を目指す夢を見つける話。

新の情熱はたしかにスゴかった。だってふすまに刺さってたもん。なにあれこわい
しかしあれを見て引かない千早もスゴい。私なら戦意喪失してしまいそうだ。

あんなに札をまき散らしていいのかと思って調べてみたのだけれど、競技かるたには「札押し」というルールがあるらしい。
すなわち、他の札を使って目当ての札をエリア外に出すことが認められているそうな。
平たく言って、付近の札を勢いで全部出しちゃってもOK!みたいなことのようだ。粗暴だ

千早が必死に取ろうとしていたのは、これ。

瀬をはやみ岩にせかるる滝川の  われても末にあはむとぞ思ふ
  七七 崇徳院

瀬が早い滝川の水は、岩にせきとめられて二つに割れてしまうけれど、また一つになるものだ。
それと同じく、今は離ればなれになっている恋人にも、いつかは会おうと思う。
こんな、熱い恋の歌らしいね。ふぅむ。なにかの伏線だろうか?

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千早が京王高尾線で、かるたへの情熱を失っている太一の話を聞いて思い出したのは、これ。

たれをかも知るひとにせむ高砂の  松もむかしの友ならなくに
  三四 藤原興風

だれを友達にしようか。
あの高砂の松もずいぶんと年老いているけれど、あれは人間じゃないし、昔馴染みでもないのだ。

この歌は、友をなくした老人の寂しさを歌ったものの様子。
きっと千早と新と太一は、一緒にかるたに情熱を燃やしていたのだろう。
そんな仲間だったはずの太一も、そして新も、もういなくなってしまっていた。
千早の喪失感は、この老人のそれと似ているのかもしれないよね。

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サブタイトルにもなっていて、アバンでも詠んでくれるのは、これ。

難波津に咲くやこの花冬籠り  今を春辺と咲くやこの花
  王仁

冬には籠もっていたけれど、春になったからこの花咲いたよ!っていう歌。
作者と献上した相手にいろいろ確執はあったようだけれど、それは割愛。

これは競技かるたを始める前に、儀礼的に詠む序歌というものらしい。
べつにこの歌でなくてもいいけど、これを使うのが定番なのだとか。



第二首 からくれなゐに

イジメられていた綿谷新が、いじめっ子の真島太一とかるた大会で勝負する話。
サブタイトルは、「ちはやぶる~」の下の句だね。
「からくれない」は「韓紅」で、大陸から輸入された鮮やかな真紅の着物のような色のことを指す模様。

太一が新をイジメるのは千早のことを好きだからで、つまりヤキモチを妬いているんだね。
好きな子もイジメてしまう、小学生らしさが遺憾なく発揮されていた。

太一にメガネを盗られて、取り札が見えない新に代わって、千早が太一と勝負する。
ほら、私が1話で言ったとおりの展開になった!
よくわかんないからその辺の札を全部ぶちまけて、取ったことにするっていう。
マジでその戦法を使ってきたときには吹いてしまったよ!

純真な千早を裏切る罪悪感に耐え切れなくなった太一は、新にメガネを返す。

「これ、廊下でひろって……いや、盗ったんだ、俺が……」
「千早には言わないで……千早には、嫌われたくない……」
「真島、おめぇ……」「ひきょうなやつやの」
「でも、ちょっとわかるわ」

こうして、三人はきちんと仲間になったのだった。

しかし、千早のお姉ちゃんじゃないけど、かるたってやっぱりちょっと地味でダサいイメージがあるよね。
囲碁将棋のほうがまだスマートな感じが……。
千早はそのあたり、どう考えているんだろう?
家族には誰も大会で優勝したのを取り合ってもらえなかったようだし。かなしい



第三首 ふれるしらゆき

かるた仲間になった三人が地元のかるた会に入り、大会を目指す話。
三人は特訓を重ねて、心は一つになったかのようだった。

ちはやの才能は、耳がいいことなんだろうな、きっと。
最初の一字を聞いて動く瞬発力は、全国優勝をした新にも勝るもの。

そんな千早がたった一枚取れたのは、これ。

吹くからに秋の草木のしをるれば  むべ山風をあらしといふらむ
  二二 文室康秀

吹くと秋の草木がしおれる、すなわち「荒らす」から、山風を「あらし」と言うんだなぁ。という、言葉遊びな歌。

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けれど、太一は遠い私立の中学に通うことになり、新は祖父が倒れたから福井に帰らなくちゃならなくなり。

「ひとりになるなら、かるたなんか楽しくない!」


千早は、自分だけが取り残されたまま、二人がどこかに行ってしまうように感じたのだろう。
それは卒業したら一緒にかるたができなくなる、ということだけじゃない。
三人でするかるたが楽しかったのは自分だけなのだろうか? そんなに簡単に捨ててしまえるものなのだろうか?
千早にとってはある種裏切られたようなもので、この楽しかった冬さえも否定されたように感じたからだろう。

「あたしだって怒ってんだからね!? 二人してあたしのこと置いてけぼりにして!」
「でも、こんなにさびしいのは、あたしだけじゃないよね!?」


三人の思いはやっぱりひとつだった。
大会で優勝はできなかったけれど、それでもたしかに何かを掴めたのだった。

この回は内容がぎゅっと詰まった、かなりの感動回だったよ!
ちょっとうるうるきてしまったもん。すばらしかった。

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今回のサブタイトルに使われた歌は、これ。

あさぼらけ有明の月と見るまでに  よし野の里に降れるしらゆき
  三一 坂上是則

夜明けに有明の月が出ているのかと思ったほどに、吉野の里に降った雪は本当に真っ白だった。という歌。
有明月というのは、月齢25日ごろのそれを言うらしい。
夜明け頃に登ってくる、三日月とは逆の形をした細い月のこと。

このサブタイトルで使われている「降れるしらゆき」は、三人で雪合戦をするシーン、「ずっと一緒にかるたしようね!」の台詞のことかな。
そして、雪のように、その約束は春には溶けて消えてしまうものでもあったのだった。
落ちてくる桜の花びらは、まるで雪のようだったけれど、それはやっぱり違うもので。

「かるたを……かるたを一緒にしてくれて、ありがとな。千早も、太一も……。でも、たぶんもう会えん……」
「なんで……? あたしたちにはかるたがあるから、また会えるんじゃないの?」
「続けてたらまた会える! ぜったい会えるよ!」

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ちはやふる

ちはやふる 4~6話

第四首 しつこころなくはなのちるらむ

彼女ができて色気づいた真島太一に、綾瀬千早が大会で優勝することを条件にかるた部を作ろうと言い、大会を戦う話。
A級とかB級とかいうのは、全日本かるた協会とやらが主催する公式戦で好成績を収めると得られる級位で、B級は二段三段、A級は四段以上に相当するらしい。

太一は中学でも同好会でかるたをやっていた。
けれど、自分の才能にも気付いていた。太一は秀才だからね。

「俺は、青春全部かけたって、新より強くはなれない……」


そういう太一の目の前で、千早は戦い抜く。
彼女にとっては陸上ですら、かるたのトレーニングでしかなかった。

「青春全部かけたって強くなれない? まつげ君、かけてから言いなさい」


千早の決勝戦は、マジで燃えてしまったよ。
「ちはや」は絶対に取ってくれるものだと信じてはいたけれど、あの応酬の展開はウケたね!
彼女はたしかに青春を全部かけていたよ。太一にもわかったし、私にもわかった。
私にもそんなに熱くなれるものがあればよかったんだけどね。うらやましいよ

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「やろう! かるたやろう、太一! 一緒に強くなろう、太一!」
「仲間がいたらきっと、強くなれるから!」


今回のサブタイトルの歌は、これ。

ひさかたの光のどけきはるの日に  しづこころなく花の散るらむ
  三三 紀友則

のどかな春の日だというのに、どうしてあわただしく桜は散ってしまうのだろう。
ようやくA級になって、太一とかるた部を作ろうと思ったのに、目標で、仲間だったはずの新は、どうしてかるたを辞めてしまっていたのだろうか。



第五首 よはのつきかな

新に袖にされた千早が、太一と一緒に福井まで会いに行く話。

新がかるたを辞めたのは、かるたのせいで祖父を殺してしまったと思ったからだろう。
このエピソードは、正直いまいちピンとこない。
そして、ラストの自転車で特急を追いかける新も、やっぱりピンとこない。
普通、あんなにちょうどよく併走できたりしないよ!

しかし、語るべきはそちらではないだろうな。
自らの情熱にまっすぐな千早と、そんな彼女に惹かれる太一が、なかなかに鮮やかだった。
そして、鼻水を垂らす千早はとても可愛いのだった。

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今回のサブタイトルの歌は、これ。

めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に  雲がくれにし夜半の月かな
  五七 紫式部

友達と久しぶりに会ったけれど、顔もわからぬほどあっという間にその人は帰ってしまった。
それはまるで(10日ごろの)夜も半ばで沈む月のようだった。

会えた時間も短く、話せたのも二三言に過ぎなかった。
けれど、千早の思いはたしかに新に伝わっていた。
一度でも同じ夢を見た仲間なのだから、絆はそんなに簡単に切れたりするものではなかったのだね。



第六首 けふここのへににほひぬるかな

千早と太一の作ったかるた部に、大江奏という新入部員が加入する話。

奏は呉服屋の娘で、和服が好きだから弓道部に入るような、古典派の文学少女。
袴のまま走らされるような弓道部に失望した奏は、だからかるた部をのぞきに来るのだけれど、アノ感じに驚き、引いてしまう。
しかしそんな彼女に、千早は和歌の歌としての素晴らしさを教えてもらう。

「あたしの先生が言ってたんだ。かるたと仲良くなって、友達になれって」
「かなちゃんはもう百首と友達だよ。強くなるよ」


そう言って誘う千早に、奏は条件を出す。
ひとつは、千早に呉服屋のパンフレットのモデルになってもらうこと。
もうひとつは、大会に出るときには袴を着用すること。
うむ、どちらも素晴らしいアイディアだ。でかしたぞ奏!

ところで、このアニメの登場人物は泣いてばっかりだなぁ。

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かなちゃんはいろんな歌の意味を教えてくれたけれど、私はこれで。
一人で店番をするかなちゃんが、ぽつりと漏らした一首。

もろともにあはれと思へ山桜 花よりほかに知る人もなし
  六六 前大僧正行尊

修行のために山入した山伏が、季節の終わったはずの桜を見つけたときにあふれた感情。
山桜よ、私はお前を見てとても懐かしく思う。だからお前も私を心から懐かしんでくれ。
こんな山奥では、私にはお前しか心の通じ合えるものがいないのだから。

奏の孤独が滲み出ているようだね。
学校でもはぶられて、友達のいない奏。自分は流行らない呉服屋でひとりぼっちだ。
けれど私はあなたの素晴らしさを知っている。だから、あなたにも私を認めてほしい。

そんな奏を認めたのは、千早だった。

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今回のサブタイトルの歌は、これ。

いにしへの奈良の都の八重桜  けふ九重ににほひぬるかな
  六一 伊勢大輔

古の奈良の都で咲いた八重桜が、今日はここの辺(九重=平安の宮中)で美しく香っている。
昔の人の歌が奏の心には生きていて、それが千早へと伝えられていく。
そんな心の交わりを、ここでは掛けているのだろうね。
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ちはやふる

ちはやふる 7~9話

第七首 ひとこそみえねあきはきにけり

学年二位のガリ勉、駒野勉を勧誘する話。まごうことなき太一回。

千早には、たしかに才能があった。
太一の頭の回転をもってしても埋められない、生まれつきの才能。

――千早と俺じゃ、実力が釣り合わない。俺は名人目指してるわけじゃないから勝てなくてもいいんだけど……。
――だけど、あいつだったら……もしも、千早の練習相手が、新だったら……。
――千早はもっと強くなれるのか……?


千早は強引なスカウトで勉を引きずってくる。
彼は、15分で札を全て憶えるという話を聞き、ならすべて裏返して取って見せろと言う。
感覚派の千早は、時間が経つと記憶があやふやになってきて、頭脳派の太一に敵わなくなってくる。

――勝てるかもしれない……千早に……。
――『勝てなくてもいいんだけど……』? そんなわけあるか!
――千早! 目の前にいるのは、俺だろ!!


そうして、裏返しかるたで、太一は千早に勝利する。
けれど、勉は「どうせ一位になんかなれやしない」「僕はお前とは違う!」と言って拒絶する。
勝てるものでしか勝負しない。太一にとってのそれは、幼い頃の自分だった。

「かるたの才能なんて、俺だって持ってねえ。キツイけどやってんだ。負けるけどやってんだ」
「だって、勝てたとき、どんだけ嬉しいか!」
「俺は、仲間にするならかるたの天才より、畳の上で努力しつづけられる奴がいい」


太一の言葉は、自分に向けたものなんじゃないのかな。
勝つことの喜びを思い出して、千早と同じ土俵に立てるよう、努力していこうっていう。
この原動力は、やっぱり愛なんだろうか。
……たーくん、カノジョさんはどうしたの?

ちなみに、勉の思考回路はよくわからなかった。
そもそも一位になれなかったら、勉強に固執するのも難しいはず。
そして、からかわれるのが嫌なんだったら図書室にでも行けばいいのに。うぅむ。

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さて、今回のサブタイトルの歌は、これ。

八重むぐらしげれる宿の寂しきに  ひとこそ見えね秋は来にけり
  四七 恵慶法師

雑草が生い茂る家はとても寂しく、誰も来る人はいない。けれど、秋だけはやって来ている。

これは勉の心情と掛けているのだろうか。
太一は無理に誘ったりはしない。けれど思いだけはしっかりと届いている。
……ちょっとうがちすぎだろうか?



第八首 たえてひさしくなりぬれど

千早が、3話の小学生大会で会った肉まんくんこと西田優征を勧誘する話。

思っていたけれど、千早の勧誘って本当に強引だよね。
「経験者はかるた部に入らなきゃダメ!」とか、よくよく考えたら勉を誘った理由も「学年二位で頭いいから」だもんね。
まぁ西田の場合はかるたが好きっていうのが透けて見えてたけどさ。

そんな彼にも、新の影がまぶたから離れずに、かるたから離れてしまっていた。

「かるたは才能なんだよ! 俺たちみたいのがいくら努力したって、綿谷新には勝てないんだ!」

そう言う西田と千早は、かるたで勝負する。
好きだけで続けてきた千早が、きちんと成長していることを証明するために。

千早がするような名前でのイジリは私は嫌いだけど、西田のキャラはなかなかいいよ。
うごけるデブって三倍くらいカッコよく見えるよね。
……でも、メインの三人ばっかり美形に描かれているような気がしてならない。

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今回のサブタイトルの歌は、これ。

滝の音は絶えて久しくなりぬれど  名こそ流れてなほ聞こえれ
  五五 大納言公任

この滝(京都嵯峨の大覚寺の滝)は枯れて久しいけれど、滝の名前だけは水音のように流れ聞こえてくるものだ。

この滝は新のことだろうか。
かるたの神様の存在は、いなくなってから丸3年が経った今も、多くの人に影響を及ぼしているのだから。



第九首 しのぶれど

晴れて正式な部活動となったかるた部が、全国大会目指して合宿をする話。
と、千早と新の関係に嫉妬する太一の話。

かるた馬鹿の名がふさわしい千早は、初心者の奏と勉もビシバシしごいていく。
かつて自分が新にされたように、そしてそれを経て勝利の喜びを知ったように。
それをやり過ぎだと、太一は止める。

それはたしかに初心者に無理をさせてはいけないという思いもあるのだろうが、千早の向こうに透ける新を見たくなかったのかもしれない。
合宿の夜、あえて間接キスをしてしまうあたり、そしてエンディング直前の暗い太一に、その思いがよく見えるよ。
このことで、太一が自分の恋心をはっきりと自覚したのかもしれないね。

今回のサブタイトルの歌も、まさにこれ。

忍れど色に出でにけりわが恋は  ものやおもふと人の問ふまで
  四〇 平兼盛

この恋はだれにも気付かれないように隠していたけれど、とうとう外に表われてしまった。
物思いをしているのかと人に不審に思われるほどに。
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ちはやふる

ちはやふる 10~12話

第十首 ゆくもかへるもわかれては

瑞沢高校かるた部が、都大会に出る話。新入部員駒野勉回でもある。

はじめたばかりの勉と奏は、やはりなかなか勝つことができない。
しかし奏は初めての白星をあげる。かたや思い通りに取れない勉。
他の部員たちは、勝ち上がるために強い敵を自分らに当てようとしている。
そしてキャプテンの綾瀬千早は、全国大会で綿谷とかいう奴に会うために頑張っている。

「あの。僕、今日もう帰っていいかな?」
「だって、僕がいなくても勝星は足りてるし、一勝もできないし」
「どうせ全国大会に出るための数合わせなんだよ! だれでもよかったんだ! 大江さんじゃなくても! 僕じゃなくても!」
「全国大会出たいんだろ!? 全国大会で会いたいやつがいるんだろ!? そのことばっか考えてるじゃん!」


勉が腐る気持ちはよくわかる。
がんばっても、そもそも期待されていない。目指している人は、自分のことなんてまるで見ていない。
これはやはり嫉妬なんだろうか? それとも失望?
私がこの思考に陥ったら、たぶん二度とはい上がってこられないと思うよ。

千早は勉が自分のことをそんな風に思われていることにショックを隠せず、「ちはや」の札まで取られてしまう。
勉は……千早がそこまで調子を崩していることを聞いて、溜飲を下げたのだろうか……?
本当はかるたがやりたくないわけじゃない、自分のことを見てほしいだけ?
だから千早が自分を気にかけてくれていることが知れて、満足した?
これじゃただの構ってちゃんだけど……。

あるいは、勉は最初から自分でも思ってもいないことを言っていることがわかっていたのかもしれない。
ただ単に勝てない悔しさを八つ当たりしてしまっただけで。
だから、自分のせいでみんなの努力を無駄にしちゃいけないと思い、自分の気持ちに素直になることにしたのかも。

「逃がしませんよ、机くん」
「気がついてましたか? ここにいる人たちの足の甲、みんな皮膚が硬くなってたこになってる。畳の上で何年も正座をしてきた足です」
「私たちがなかなか勝てないの、当然じゃないですか。たこができるまで、がんばりましょうよ!」
「……かなちゃん、さっきの初勝利、おめでとう」


これで勉はかなちゃんルートに入ったのかもしれない。

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さて、問題は太一の千早に対する気持ちなのだけれど……。
新は9話で、千早のアドレスを知っているはずなのに太一経由で誕生日おめでとうを伝えてきた。
そして、新は千早のメールを返さない。
太一曰く「千早は、俺と新のふたりのものだと思っているから」とのこと。

正直に言って、まるで意味不明だ。これが少女漫画か。
抜け駆けみたいなことしたくないってことなんだろうか?

今回のサブタイトルの歌は、これ。

これやこのゆくも帰るもわかれては  知るも知らぬも逢坂の関
  一〇 蝉丸

これがあの、地方へ行く人も都へ帰る人も別れ、知り合いともそうじゃない人とも会えるという逢坂の関なのだなぁ。

出会いがあって別れがある。別れがあるから出会いがある。
これは勉の気持ちのようでもあり、三人の三角関係のようでもあるよなぁ。



第十一首 あまつかぜ

都大会その2、A級2人を擁する北央高校との決勝戦の話。

ようやくチームとしてのかるたの戦い方がわかってきた瑞沢高校。
部長の太一が場を盛り上げ、ちはやがみんなをリードする。

「個人戦のとき、一枚はただの一枚だった。でも今は、チームの一枚を取りに行く!」


今回は西田にもスポットが当たった回だった。
対戦相手は、小学校時代にはまるで相手にならない初心者だったのに、今は格上のA級選手。

「俺、何してたんだろ……」「どうして俺は……」
「あぁ、そうだ……諦めたんだ……」


千早のことを、そしてチームのみんなのことをもっと理解しようとしはじめた太一。
勝つことを諦めた自分を変えようとする西田。
そして、自分のため、新に会うためではなく、チームのみんなのために戦うことを覚えた千早。
この三人の勝利で、瑞沢は全国進出を決めたのだった。

敵の北央は、ちょっと肩すかしだったね。特に千早の対戦相手。
なんかもっと大変な展開になるかと思っていたけども。
でも、勝負シーンはとてもよかったよ!

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今回のサブタイトルの歌は、これ。

天つ風雲のかよひ路吹きとぢよ  をとめの姿しばしとどめむ
  一二 僧正遍昭

時よ止まれ。君は美しい。



第一二首 むらさきのゆきしめのゆき

都大会を終え、全国大会へ向けて揺れ動く気持ちたち。

都大会で勝ち残れなかった北央をはじめとする11校を背負って立つプレッシャー。
そして、かるたなんかにまるで興味を示さない家族や先生たち。

「太一あたし……全国大会、恐いみたい……」


でも実は、家族はちゃんと千早のことを見ていたし、先生だってみんなが頑張っているところを目の当たりにしたら考えを改めてくれた。
太一も部長らしくみんなをまとめてくれているし、他の3人だってきちんと努力している。
そうして、全国への思いは一つになっていくのだった。

今回のサブタイトルの歌は、これ。
意味はきちんとかなちゃんが解説してくれたね。

あかねさす紫野行き標野行き  野守は見ずや君が袖振る
  万葉集 額田王

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ちはやふる 13~15話

第一三首 きみがため

近江神宮ではじまる全国大会と、千早の雄姿を観戦しに来る新の過去と現在の話。
ちなみに神社好きな私は、近江神宮は参拝済みの神社なハズなんだけど……まったく思い出せない。
ちゃんと写真まで撮っているのになぁ。すぐ隣の日吉大社のことなら思い出せるのになぁ。
なんだかくやしい。

団体戦を戦う瑞沢高校かるた部はしかし、千早が体調を崩して棄権してしまう。
千早不在でも二回戦までは勝ち上がったようだけれど、そこで負けてしまったようだ。
勉の初勝利は、なんと全国大会だった様子。すばらしい

貧血のような症状を起こしてしまった千早が握っていた取り札は、これ。

見せばやな雄島の海士の袖だにも  ぬれにぞぬれし色はかはらず
  九〇 殷富門院大輔

あの人に見せてやりたい。
松島は雄島のあまさんの袖だって、濡れたって色は変わりやしないというのに、私の袖はあなたを思って流す血の涙で、色まで変わってしまったのだから。

これは浮気者の夫を持つ奥さんの詠んだ、辛い恋の歌のようです。
話の筋には……あまり関係ないかな。

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新の過去回想も、今年の全国大会を観戦しようと決意する心持ちと一緒に描かれる。
新は本当におじいちゃんが好きだったんだなぁ。
そして、おじいちゃんのかるたも好きだった。
そのおじいちゃんは、今でも自分の中に生きている。
だから、もう一度かるたをやり、千早と試合をしようと決意することができたのだろう。

「きみがため」からはじまる歌は二つあるのだけれど、今回のサブタイトルの歌は、たぶんこっち。

君がため惜しからざりし命さへ  長くもがなと思ひけるかな
  五〇 藤原義孝

君に会えるのならこの命は惜しくないと思っていたけれど、一度会ってしまえばいつまでも長らえたいと思ってしまうものだ。

この歌は、ひょっとして新のことを言っているのだろうか?
頑張っている千早の姿を一目見られれば満足だと思っていた。
けれど、見てしまえばもっと見たくなってくる。
自分の前であんなに楽しそうにかるたをしていた、あの千早の姿を。
新にとって、それは良きかるた仲間としての千早なのだろうか? それとも……?



第一四首 はなよりほかにしるひともなし

全国大会その2、千早が個人戦で最年少クイーン・若宮詩暢と当たる話。

詩暢はツリ目でキツそうなルックスなのに、ファッションセンスはダサくて可愛いもの好きっていうギャップに萌えられそうな女の子。
だけど、それ以前にマジでヤバい強さ。
笑いしか出てこない。

千早が負けるところって、冷静に考えて小学校時代の新との試合しかきちんと描かれていないのだよね。
都大会でひやっとするシーンとかはあったけどさ。でもその弱点は克服したわけだし。
だからなんとなく「千早なら結構いい戦いしてくれるだろう」とか思ってたわけ。
なのにあれだよ! フルボッコだよ!

圧倒的な技術の差と、機械のような精密さ。
詩暢を前にして、千早は自信を失いかけてしまう。
けれど、自分を信じている人がいる。そして、自分は自分を信じてここまでやってきた。
思えば、新と最初にやったときだってこんな感じだった。
初心に立ち返った千早は、3話で新からたった一枚取れた「吹くからに~」から、確実に取っていくことにしたのだった。

今回のサブタイトルの歌も、まさにこれ。
6話でかなちゃんがこぼした歌、「もろともにあはれと思へ山桜~」だね。
自分が頑張ってきたことは誰にも否定できやしないんだ。

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そういえば、アバンで太一もまた決意を新たにしていたよね。

「西田……B級って、B級としか当たれないんだよな……」


これはきっとA級を本気で目指すことを決めたんだと思う。
千早を取られたくない。まずは同じ土俵に上がるんだ。きっとこういうこと。
そうだよ、青春全部かけたって取る価値がある札なんだよ!



第一五首 つらぬきとめぬたまぞちりける

全国大会その3、綾瀬千早対若宮詩暢の続きと、B級決勝戦を戦う真島太一の話。

クイーンの詩暢は、やっぱりとても強くて、総合的な実力ではかなわない。
それでも、千早は思うのだった。

「ああ、もっと速く、もっと自由になりたい!」
「身体がこわばるほど強い相手を前にしても、自由に、もっと自由に!」


新の前で宣言した途方もない夢、「クイーンになる」。
それがいま、形として、目の前にいる。

「あぁ、今日だ。今やっと、千早の夢が、本物の夢に……」


それは太一も同じ。
新という千早の目標が近くなった今、自分がもっと強くならないと千早の視界には入ってくれない。
だから、強くなりたい。もっと強く。

そういった青春のほとばしりが、今回のサブタイトルの歌。

しらつゆに風のふきしく秋の野は  つらぬきとめぬ玉ぞちりける
  三七 文屋朝康

白露がついた草の生える秋の野原に風が吹くと、それはまるで散らないように糸でまとめていない白玉がはらはらと散るように見える。

全国大会で散ったのは、汗と、涙と、それから情熱と。
それらが輝く様子は、まるで宝石のように美しい情景だったのだった。

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全国大会と夏休みも、これでおしまいなのかな。
前々から思っていたけれど、このアニメはかなり展開が早い。
ぐだぐだと心情を語られるよりはよっぽどいいけどね!
ただ、個人戦もどうせなら袴で戦ってほしかった。私も和服は好きだよ!
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ちはやふる

ちはやふる 16~18話

第一六首 をぐらやま

ここまでの総集編。
なぜこのタイミングでまとめてきたのかは謎。

ただの総集編に留まらず、細かいギャグネタなんかを散りばめてきて、なかなか面白かった。
西田のお姉ちゃんとか、かなちゃんモテモテなのとか。
オープニングのユニフォームTシャツの並び順固定になってしまうのに関するツッコミは鋭かったね!

今回のサブタイトルの歌は、これ。

小倉山峰のもみぢはこころあらば  いまひとたびのみゆき待たなむ
  二六 貞信公

小倉山の峰の紅葉よ、もし心があるならもう一度の行幸(天皇のお出かけ)を待ってくれ。

楽しい時間はあっという間にすぎる。
それを振り返る回のタイトルとしてはぴったりだ。



第一七首 みちこそなけれ

名人・クイーン戦の予選が迫る秋の話。

千早はクイーン・若宮詩暢に勝つための方法が思いつかない。
太一は千早と自分との間にある「A級」の壁を乗り越えられない。
他の三人も、それぞれ伸び悩んでいる。

世の中よ道こそなけれ思ひ入る  山の奥にも鹿ぞなくなる
  八三 皇太后宮大夫俊成

あぁ、この世の辛さから逃れる道はないのだなぁ。
世を捨てようと思って入った山の奥でも、鹿がこんなに悲しげに鳴いているのだから。

簡単に強くはなる道なんかない。
そんな、スランプでもがくみんなを表現するような歌が、今回のサブタイトルだね。

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今回はもう二つ、かなちゃんの解説が入った歌を取り上げてみよう。
たしかに、ぱっと見た感じとても雰囲気の似ている歌だね。

なには潟みじかき芦のふしの間も  逢はでこのよを過ぐしてよとや
  一九 伊勢

難波の潟に生える芦の、あの短い節の間ほどのわずかな時間でも、あなたに逢わないで過ごせと言うのか。

難波江の芦のかりねのひとよゆゑ  みをつくしてや恋ひ渡るべき
  八八 皇嘉門院別当

難波の入り江に生えている芦の「刈り根の一節」のような「仮寝の一夜」を知ってしまったばかりに、身を尽くして恋慕いながら生きていかなければならないのだろうか。

「かなちゃんは、ホントに歌が好きなんだね」
「私のとってのかるたは、意味ですから」
私、悲しかったんだ……。私にとってのかるたは、速さだったから……。




第一八首 はなぞむかしのかににほひける

かるた部の5人で埼玉大会に出る話。袴が輝いている。

「速さを捨てろ」と言われた千早は、手探りのまま初めてのA級大会に臨む。
結果的には一回戦で負けてしまったけれど、強い相手から盗めるものもあったようだ。
たしかに千早はテンパると呼吸がやたらと浅くなるクセがあるようだからね。
息をするだけで勝てる。かもしれない。

今回のサブタイトルの歌は、きっとそんな千早を当てはめている。

ひとはいさ心も知らずふるさとは  花ぞむかしの香ににほひける
  三五 紀貫之

人はどうだかわからない。
けれど昔馴染みのこの土地の梅の花だけは、昔と変わらず美しい香りのまま咲き誇っていることだ。

---

B級とD級の決勝では、なんと太一と西田、駒野と奏が優勝を争うことになっていた。
袴のときに顕れる100%のかなちゃんは、とても格好良いよ!
和歌が好きで和服が好きなかなちゃんは、かるたを取るのがすごくよく似合っている。

そんな奏の得意札はこれ。

田子の浦にうち出でて見ればしろたへの  ふじのたかねに雪はふりつつ
  四 山部赤人

田子の浦に出てみると、真っ白い富士の高い峰に雪が降り積もっていた。

富士山はとても大きいから、そのイメージに吸い寄せられてしまう。
そんなかなちゃんは、やっぱりどこか変わっていて、けれどとても優雅だ。
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ちはやふる 19~21話

第十九首 ながらへば

埼玉大会、その2。駒野勉対大江奏、真島太一対西田優征の顛末。

駒野と奏は、実力はだいたい同じくらい。けれど奏の強みはお手つきの少なさ。
空札でお手つきしてしまうと送り札が発生するから、自動的に差が2枚付くんだね。
そのプレッシャーのせいで、駒野には焦りが生まれてしまう。

「かなちゃんだけじゃなくて、自分まで敵になったみたいだ……」
「僕はかなちゃんにも負けたくないけど……自分にだって負けたくない!」


駒野の採用した、当たりらへんの札全部まとめて払う作戦にはわろてしまった。
これ、小学校時代の千早が太一相手にやっていたよね。汚いなさすがつくえ汚い。
けれどそんな中、きっちり「ちはや」を抜いていくかなちゃんは輝いていた。

「私、今日の決勝戦は私の120%が出せたと思います。でも、それはたぶん相手がつくえくんだったから」
「勝ち負けを置いて、自分のかるたをしようって。絶対勝たなきゃとか、そういう気負いがなかったから」
気負いかぁ……。あたしも太一も、気負ってばかりだ……。


そういって太一に肩を貸してあげる千早のまなざしは、とっても優しかった。
寝てる場合じゃないよたーくん!

---

その太一と西田の勝負は、1枚対1枚の運命戦までもつれこんでいた。
太一の札は「せをはやみ」の一字決まり。
対する西田の札は、これ。

あしひきの山鳥の尾のしだり尾の  ながながし夜をひとりかも寝む
  三 柿本人麿

山鳥の尾の、そのしだれた尾のような長い長い秋の夜を、一人で寝るのはなんと寂しいことか。

結果的に西田の札のほうが早く読まれ、B級大会で優勝した西田はA級に昇格することとなった。
残り札も把握していなかった西田に、太一は嫌味を言ってしまう。

負けたのは、運のせいじゃねぇよ……。1:1になる前に勝てなかったのがわりぃんだ……。
きついな、一生懸命って……。言い訳がきかねぇや……。


けれど、そんな風に自己嫌悪する太一のことも、西田はちゃんとわかっている。
戦いを経て、二人は、そして五人の絆はさらに固まっていくのだった。

そんな様子が、今回のサブタイトルの歌。

ながらへばまたこのごろやしのばれむ  憂しと見し世ぞ今は恋しき
  八四 藤原清輔朝臣

生きながらえて振り返れば、辛くて苦しい今このときも懐かしく思うときもくるかもしれない。
あんなに辛かった昔も、今思い返せば懐かしいのだから。



第二十首 くもゐにまがふおきつしらなみ

東日本予選を控え、太一は参加資格であるA級昇格をかけた川口大会に、千早は西田と一緒に駒野の指導のもと週明けの定期試験の勉強をする話。

太一は二回戦までは調子がよかったけれど、西日本予選を目指す新と会ってしまい、おそらくそのせいで負けてしまう。
千早は駒野の元を逃げ出して太一の応援に駆けつけたところで、新と再会する。

三角関係が露わになってくるね。
太一の中では、きっと小学校時代に新のメガネを盗ったことが足かせのようになっているんじゃないだろうか。
せめて千早の前では正々堂々としていたい。卑怯になりたくない。
千早を振り向かせるには、かるたが強くなくちゃいけないんだ。

「先生、俺は……A級になるより、逃げない奴になりたい」


たった数分の邂逅を経て、千早が思い起こした歌は、57番の紫式部だった。
5話のサブタイトルでも使われていた、「めぐりあひて~」だね。
千早は「まるで恋の歌みたいだけど」と言っていたけど、じゃあ千早の新に対する思いはどうなんだろうか?

今回のサブタイトルの歌は、これ。

わたの原漕ぎ出でて見れば久方の  雲ゐにまがふ沖つ白波
  七六 法性寺入道前関白太政大臣

海原に船を出して遠くを見れば、沖には雲と見分けがつかないほど白波が立っている。

この白波は、やはり嵐の前兆か何かなのだろうか。
正直、この三角関係は胸が痛い。
千早とだれがくっついてほしいと思っているのか、自分にもわからない。
だれともくっつかず、このままでいいような気もするんだけど、それだと太一がかわいそうな気もして……。
太一はハイスペックすぎて逆にウザいくらいのイケメンだもんなぁ



第二一首 わがころもでにゆきはふりつつ

定期試験を乗り越えた先、東日本予選のその1。
千早が天才小学生の立川梨理華と一回戦を戦う話。
袴姿が見られないのが残念。

千早は確実に強くなっている。
前の大会で負けたあのオバチャンの戦法を身につけたね。
正確性よりも速さ重視な相手を揺さぶりミスを誘う戦い方。
それと同時に、速さにも磨きがかかっているのだろうか?

今回のサブタイトルの歌は、これ。

君がため春の野に出でて若菜つむ  わがころも手に雪はふりつつ
  一五 光孝天皇

あなたのために春の野原で若菜を摘んでいる私の袖に、雪がしきりに降ってくる。

さて、この雪とは何のことだろうか。
ひょっとして、3話のサブタイトルの「降れるしらゆき」だろうか。
だとすると、三人の約束、「ずっと一緒にかるたしようね!」のことになる。
一緒にかるたをするためのスタートラインに立った。その千早が、今回のサブタイトルかな。
うぅむ、考えすぎだろうか?
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ちはやふる 22、23話

第二二首 うつりにけりないたづらに

東日本予選二回戦、千早が前クイーン・山本由美と戦う話。

ゆーみんは、平凡な女の子だった。
取り柄と言えば、人より少しだけかるたの才能があったこと。
それを磨いて、磨いて、磨き立てて、ようやくクイーンにまでたどり着いた。
けれど、それもたった一年のこと。
彼女を倒したのは、あの若宮詩暢だった。

彼女はきっと、私のことなんか思い出しもしない。そのくらい、圧倒的だった。
ここで勝っても最後に控えてるのは……。
勝てない……。


そう言って諦めてしまおうとするゆーみん。
千早はここが好機とばかりに攻めたてようとする。
けれど、腐っても前クイーン、千早のそこを突き、ゆーみんは千早に勝利する。

花の色はうつりにけりないたづらに  わが身世にふるながめせしまに
  九 小野小町

桜の花はすっかり色あせてしまった。長雨で引きこもって物思いに沈んでいるうちに。
そして、私の容姿も衰えてしまった。恋の物思いでむなしく人生を過ごしているうちに。

今回のサブタイトルの歌は、ゆーみんのことだね。
若さも、情熱も、もはやどこかへ行ってしまった。
けれど自分を支えてくれる人、自分に期待してくれる人に応えたいという気持ちだけは失っていなかった。

---

おまけで、かなちゃんの胸を打ったこの歌を。

あひみてののちの心にくらぶれば  むかしはものを思はざりけり
  四三 中納言敦忠

愛しい人と恋の契りを交わした後のこの気持ちと比べたら、前に考えていたことなど恋の物思いなどとはとても言えないようなものだ。

これで、かなちゃんは詠み手を目指したりするようになったりするのだろうか?
というか、てっきり千早はもっと勝ち上がっていくものだとばかり思っていたけれど、あっさり敗退してしまった。
あとの3話はいったい何をやるんだろうか?



第二三首 しろきをみればよぞふけにける

東日本予選のその後と、クリスマスを迎えてそれぞれ縮まる三人の距離の話。

予選は、千早は二回戦で、新は四回戦で負けてしまっていた。

あたしきっと、自分しか見えなくなったときに負けてた……。
――長い一日が終わって、敗者の一年がはじまる


自分の驕りから負けてしまった時なんて、誰とも会いたくない気持ちになるのはよくわかるよ。
そんな千早の手を引けるのは自分じゃないって思ってしまう太一の気持ちも。

しかし、だからといっていきなり着信拒否した太一にはウケた。
コイツはギャルゲーの主人公になれる素質があるぞ!
かなちゃんが言っていた二つの歌の片方は、9話のサブタイトルにもなっている「しのぶれど~」で、もう片方は、これ。

恋すてふ我が名はまだき立ちにけり  ひと知れずこそ思ひそめしか
  四一 壬生忠見

あの人に恋しているという私の噂は、もう広まってしまっている。
だれにも知られぬように思いそめていたというのに。

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今回のサブタイトルでもあり、千早が新にかけた電話で思い起こした歌は、これ。

かささぎの渡せる橋におく霜の  白きを見れば夜ぞふけにける
  六 中納言家持

かささぎが羽を広げて天の川に渡すといわれている橋のような、宮中の階に降る霜が真っ白になっているのを見ると、本当に夜が更けてしまったのだなぁと思うことだ。

千早は、滅多に会えない自分と新が乙姫と彦星のようだと思い、だからそれを結んでくれる携帯電話をかささぎのようだと感じたのだろう。
だけど、だからといって「携帯電話ってかささぎみたいだね! じゃあまたね!」って、意味がわからなさすぎて吹いてしまったよ!
千早が太一の想いに気付く日は、いつか来るのだろうか。
近すぎて見えないとか、やっぱりそういう話なのかなぁ。
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ちはやふる

ちはやふる 24、25話+まとめ

第二四首 をのへのさくらさきにけり

お正月、かるた部のみんなで名人戦・クイーン戦をTV観戦する話。
クイーン戦は、現クイーンの若宮詩暢対挑戦者の山本由美。

詩暢ちゃんがやたらとピザってたのには吹いたよ。なにあれひどい
ちょっと気になっていたのに!

凡才が天才に勝つのはなかなか難しい。
けれど、負けたゆーみんの涙には、私もちょっとうるうるしてしまったよ。

でも見ててわかったでしょう!? 差は歴然だって! どうひっくり返ったても勝てないって!
「先生……もう一度ここに来たい……。ご指導お願いします……!」


千早は詩暢の戦いを見て、彼女のことが一つわかったようだった。
詩暢もかるたが大好きなんだって。

今回のサブタイトルの歌は、これ。

高砂の尾上の桜咲きにけり  外山の霞たたずもあらなむ
  七三 権中納言正房

高い山の峰に桜が咲いた。どうか手前の山に霞が立ちませんように。

ここでいう桜は、名人とクイーンのことだろう。
一年に一度しか見られない戦いらしいからね。
太一もなかなか本気になっていたなぁ。



第二五首 もれいづるつきのかげのさやけさ

最終話。名人戦をTV観戦し、春に向けて切磋琢磨する話。

現名人は、通常は7首の「一字決まり」が28首もあるらしい。
たしかに名人はその言葉を裏打ちするような脅威の強さを見せていた。
その現実に打ちのめされるかるた部一同。
けれど駒野は、いつも取っているメモから、千早にも20首前後は一字決まりがあることを割り出す。まじか

「感じの良さ」は生まれつきの才能に他ならない。
その事実に打ちのめされる太一に、新は言う。

「同じくらいの"感じ"を手に入れるのは難しくても、相手より早く取る方法ならいくらでもある」

その言葉を聞き、太一は再び上を向いて走りはじめる勇気を手に入れた。
まずは千早に勝つ。そこから始めよう。

今回のサブタイトルの歌は、これ。

秋風にたなびく雲の絶え間より  洩れ出づる月の影のさやけさ
  七九 左京大夫顕輔

秋風に吹かれてたなびく雲の切れ間からもれ出る月光の、なんと清らかで美しいことか。

天才には勝てないという暗雲が晴れ、月が道を照らしてくれる。
それだけでどこまでも行けそうな気がする。
そんな、みんなの気持ちが乗っているんじゃないかな。

---

これが最終話といわれると、やや残念な気持ちになる。
とは言え、原作があってそれの途中までをアニメ化すると、こうなってしまうのはしかたがないのかな。
ただ、専任読手への高い壁にヘコむかなちゃんにはマジでウケた。
そうか、A級にならなきゃいけないのか。がんばれかなちゃん!



まとめ

競技かるたを題材とした、青春スポ根アニメ。
もとが少女漫画なだけあって、ずいぶんと繊細なキャラデザインになっている。
綾瀬千早、真島太一、綿谷新の三人ばかりやたらときちんと描かれている気はするよね。
西田と駒田なんてあんなんだからね。ぐぅ

私は競技かるたなんていうものの存在をまったく知らなかったので、これは本当に新しい世界だった。
序盤の「えっなにこれ!?」的な惹き込まれ具合は本当にすごかった。
3DCGの使い方も上手くて、札の飛んでいく感じとかマジでテンション上がるよ!

1~3話の小学生編の完成度はヤバい。普通に感動する。
それ以降、全国大会あたりまでの疾走感もなかなか。
尺を伸ばしてくることなく、内容を詰め込んでくる。
ただ、それ以降の若宮詩暢という壁に当たって以降の伸び悩み具合からは、やや失速したような気がしないでもない。
やっぱり才能がものをいう世界だから、それを超えようとする姿に説得力を持たせるのは難しいのかもしれないね。

16話の総集編をはさんで、15話までを一部、16~25話を二部とすると、一部の完成度はすばらしい。
二部は未完というイメージが強く、少し残念だった。
まぁ来年に二期をやるらしいので、このフラストレーションはそこで晴らしてくれるに違いないよ。

少女漫画らしく、三人の三角関係チックな恋愛要素もあるにはあるけれど、これは私にはあまり響かなかった。
というか、どうなってほしいのか自分でもよくわからない。
きっとこのカンジのまま、ずっとつかず離れずでヤキモキさせてくれるんだろうと思うのだけれど。

ただ、この三角関係を二期で押してこられると、私はきっとかなり戸惑う。
三人がなにを考えているのかさっぱり理解できないんだもの。

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2クール以上でもオープニングが変わらないのは神アニメだという話をどこかで聞いたけれど、このアニメは間違いなくその類に入っている。
このオープニングはすばらしいよ。曲とアニメーションがよく合っている。
サビのところの袴で素振りする千早はいつ見てもかっこいい!
「CHIHAYA FULL」Tシャツはちょっとほしいかもしれない。

厳密に言うと、1~3話と4話以降は微妙に違うのだけれどね。
冒頭の電車が行き交うカットからの場面が変わりながら千早の髪がたなびくシーンがかなり気に入っているので、4話以降のほうが私は好きです。

教養としての百人一首の知識が得られる作品としても、興味深い。
かなちゃんと仲良くなって、もっといろいろ教えてほしいくらい。

青春をすべてかけた少年少女のお話って、とてもいいよね!
「ちはやふる」というタイトルもすばらしい。
タイトルのネーミングセンスだけでランキングを作ったらかなり上位だよ。
大満足の秀作、★4評価です。
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ちはやふる

ちはやふる2 1、2話

13年冬から、★4評価「ちはやふる」の2期がはじまった。
1期は、高校1年の冬の終わりまでのお話。
2期は、新年度を迎え、新入生を勧誘するところからはじまる。

オープニングは、1期の方が疾走感があって好きだったなぁ。
エンディングはどっちもどっち、っていう感じ。
というか、「ちはやふる2」って、なんかもう少し捻れなかったのかな? そのままじゃん!



第一首 はなのいろは

競技かるたの「き」の字も知らない一年生を迎え、それぞれの向いている方向の違いが浮き彫りになる。
ま、何も知らない人にとっては、競技かるたなんてドン引きもいいとこだよね。
このアニメを見始めた頃の私もそうだったもん!

「ちゃんと後輩育てようよ! かるた部続いていかないよ!?」
「綾瀬、一年生に何期待してんだよ? 勝っていくのは俺たちだろ?」
一年生が来るまでわからなかった。
違うんだ、みんなが大事にしてるものが。


太一は、名人戦・クイーン戦を見据えた個人主義。
西田は、高校選手権の団体戦を。
駒野と奏は、礼儀作法とか、部の空気とか。
それぞれ、見据えているものが違った。
我らがキャプテンの千早ちゃんは、その全部をほしがる強欲ぶりだったけど。

5人は、まだ同じ方向を向いてはいない。
けれど、少しずつ変わりはじめてはいるようだ。

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さて、新キャラのスミレちゃん。
千早の「えっと……ニラちゃん?」には吹いた。
たしかに韮と菫は少し似ている。似ているけど、それはないだろう!

今回のサブタイトルは、恋愛脳な菫ちゃんを号泣させた、この歌。
1期22話、若宮詩暢が台頭するまでの前クイーン・山本由美回のサブタイトルにも使われていたね。
菫ちゃんはこの歌を「後悔の歌」として、反面教師にすることを誓っていた。

花の色はうつりにけりないたづらに  わが身世にふるながめせしまに
  九 小野小町

桜の花はすっかり色あせてしまった。長雨で引きこもって物思いに沈んでいるうちに。
そして、私の容姿も衰えてしまった。恋の物思いでむなしく人生を過ごしているうちに。

「真島先輩ってモテるでしょう? 彼女には困んないですね」
「あ~……なんか、最近そういうのよくわかんなくて。男が女に選ばれてどうすんだって思う」
「俺は、選んで頑張るんだ」
怖いくらい痛感する。真島先輩は、絶対私を選ばない。
……嫌だ! 私だって選びたい! 私は後悔の歌なんて歌わない!


菫ちゃんみたいなキャラは、少女漫画ならでは、という感じだ。
こういう女の子、エロゲーにはまず出てこないもんなぁ。
しかし、上のセリフを言う太一はまじイケメンだった。ヤバいな。

菫ちゃんの「自尊心を満たすためにいい男をゲットする!」という姿勢は、正直気に食わない。
けど、彼女のその「大切なものを手に入れようとする一途さ」は、好ましい。
うぅん、なんだか不思議な女の子だなぁ。



第二首 こひすてふ

恋愛バカな菫が、本気で競技かるたに取り組む決意を固める回。
かなちゃんが凛々しい回でもある。

1話ラストで、菫は太一を本気で狙いに行く覚悟を決める。
かるた部に入り、太一との距離と縮めて、自分の選んだ人に選んでもらおうと。
しかし、かるたを疎かにして部内の空気を悪くする菫に、奏は言う。

「恋愛のことしか考えられないなんて、下品で下らないですよ!」
「えー、でも百人一首なんて恋愛の歌ばかりじゃないですか。人間の頭の中なんて、大昔から愛だの恋だのなんですよ。私、かるたには絶対ハマんないけど、恋は頑張るって決めたんです」


かなちゃんに「筋の通った恋愛バカ」と言わしめるスミレちゃん。
もう一人の面倒な一年と練習試合を組んだとき、その長くてキレイな爪を注意され、勢い余って太一狙いなことを本人の前で零してしまう。

これが、今回のサブタイトルの歌。

恋すてふ我が名はまだき立ちにけり  ひと知れずこそ思ひそめしか
  四一 壬生忠見

あの人に恋しているという私の噂は、もう広まってしまっている。
だれにも知られないように思いそめていたというのに。

この歌は、40番の「忍ぶれど色に出でにけりわが恋は~」ととてもよく似た雰囲気。
確かに百人一首は恋の歌ばかりで、人の思うことは昔も今もそう変わらないのかもしれない。

「でも、百人一首は短歌です。三十一音のルールを守って、想いと技術の上に編まれたからこそ、千年残ったんです」
「伝える伝わるは、ルールの向こうにある! さっきみたいな言葉で、花野さんの本当の想いが部長に伝わったと思いますか!?」


部活には部活のルールがある。
急がば回れ、自分の本当の気持ちを伝えるのは、きちんと部活の後輩として太一に見てもらえるようになってから。
そうでないと、新入部員としての自分の手を取ってくれた太一には、選ばれない。

恥ずかしさの余り逃げ出した先、奏の言葉に胸を打たれた菫は、爪を切り、百人一首をすべて覚える覚悟を決めるのだった。

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なかなかの完成度な回だったと思う。爽やかでいいエピソードだった。
かなちゃん、ちゃんと先輩しててカッコよかったよ!
スミレちゃんにはムカつくけど、それでも真っ直ぐでいい子なのも間違いない。
嫌いだけど好き。なんだこの気持ちは? なんだか困るよ?

そして、もう一人の新入部員も、なんだかウザそーだった。
なんなんだこれは! 何押しだよ!?
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