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ハナヒメ*アブソリュート! まとめ

シナリオ

最初に結論を言ってしまう。
純粋なシナリオ面での評価は、☆1・駄作レベル。

このゲームの大きな欠点の一つであり、キャラ萌えゲーに寄せ過ぎていてシナリオ的な魅力が薄すぎるのだ。
(この問題はクルくるの時から変わらない気がするのに、クルくるでの批評を受けて改善したとの制作側のコメントもあった。
 なのにこれなのだから、ひょっとしたらこのシナリオが制作側の目指す一つの到達点なのかもしれない。あんまり理解できないけど……)
細かくツッコもうとすればいくらでもできてしまうし、他所のレビューでもやっているようなので、私は省きます。

そんなご都合主義のカタマリといった感じのこのシナリオだけれど、この作品全体に漂うゆるゆるの世界観が、なぜかとても好き。
体験版の記事にも書いたけれど、ソシャゲのプロゲーマーという職業が存在していて、ゲーム内のキャラがVRで現実に出てきたと思ったらなぜか主人公と住みはじめて(もちろんご飯も食べるしエッチもできる)、合宿したいなーって思ったら学園の理事長が交通費も滞在費もオゴリで沖縄に連れてってくれて、もう最高かよ?

この突き抜けた世界観を作り出したシナリオは、もはやすがすがしい。
常識とか世俗のしがらみとかそういう一切合切を置き去りにして、ひたすら学園ラブコメに邁進する。
私たちがギャルゲーを始めたときに求めていたものって、ひょっとしたらこれだったのかもしれない。

そんな原始的な衝動を思い出させてくれるような、不思議な雰囲気のシナリオでした。

テキスト

文章自体はフツーのギャルゲーです。
誤字脱字がゼロなのは好印象。

ただ、どういうスケジュールでこのゲームを作ったのかわからないけど、テキストとグラフィックの連携が取れてない個所がちょこちょこあったのが気になった。
例えば、テキストでは外出しなのに絵が中出しだったり、「制服エッチしようよ!」ってヒロインが制服着てきたのに一枚絵では全裸だったり。
こういうところは非常に残念。

グラフィック

かんなぎれい氏の描く女の子たちは、至高の可愛さ。
というか、単純に私の好みの絵柄。
結果、猫屋敷メアちゃんが私のギャルゲーヒロインランキングのNo.1に君臨しました!
痛車作るときはピンクのメア号にしちゃうよ!!

ただ、めっちゃ可愛いんだけど、絵はそんなに上手くない。
エッチシーンとかちょっとパース狂ってるしね。
でもかわいい! 好き!!

男の子たち? 女性ファンを取り込もうっていう作戦なのかな?
まぁ……いいんじゃないですかね?

特筆すべきは、背景をはじめとした、ポップでキラキラな彩色。
これはかんなぎれい氏のセンスなのかな? それとも、色彩設計をしたま~まれぇど氏のセンス?
ものすごく私好みなんです!
そもそも、ヒロインに黒髪と金髪がいないってすごくない?

ついでに、料理のカットインがいちいちおいしそうなのも高評価。

Hシーン

テキスト的な興奮度はボチボチ。
いちおうオチンポオマンコ言ってくれるし、実用と言っていいと思います。

ただ、シーンの構成に疑問は残る。
戦う変身ヒロインものなのに、変身衣装でのシーンが実装されてないヒロインとかいるし。なんで?
あと、シーン中での表情差分はやっぱり少ないと思います。

音楽・ムービー

ボーカル曲を担当しているfripSideはさすが。
テーマソングとしてエンディングに使われたりBGMにアレンジされたりしている「happy colorful day」が名曲。

そのBGMを担当しているのは、クルくると同じくアメディオ氏。
なるほど、だからハナヒメは「BGMがいいゲーム」タグがついてるんですね!
……あれ、ついてない? じゃあつけよう(提案)

OPムービーの監督は、渡辺明夫氏。
この先は……言う必要ないですよね。

システム(バトルミニゲーム)

このゲームの大きな欠点、その2。

基本はクルくるを踏襲したもので、クルくるの正常進化……と制作側は思っているのだろうけれど、実際はただの劣化。
進化したのは3Dを使用したビジュアル面のみで、そうやって要求スペックを上げていった結果、エラー落ちが頻発するように。
発売から1年が経ってVer1.3までアップデートされているにも関わらず状況が変わっていないということは、おそらくシステムの設計段階に大きな欠陥があったのだろう。
メジャーアップデートあくしろよ

細かいところでは、コマンドが随時入力から先行入力へと仕様に変わっていたため、EXゲージが使い切れず、なんだか不完全燃焼。
ヒロインやボスがコピーアバターとかいって分身するのもちょっと意味不明。

システム(その他)

ゲームデザインが神。
そりゃ萌えゲーアワードも受賞しますよ!

ユーザビリティ的にも十分。
システムボイスを誰にするかもちゃんと選べるんですねぇ!

総評

2016年8月発売枠、2016年萌えゲーアワード、ゲームデザイン賞金賞受賞作。
私にとって、ギャルゲーと呼ばれる女の子と仲良くするゲームに求めているものの数多くが詰まっている作品。
グリザイア並みにグッズを集めてしまっている作品でもある。

ビジュアル面が至高。
そして、それが作品を一貫したテーマとして確立されている。
言ってしまうと、イノグレみたいな「雰囲気」が作り出されているのだ。

シナリオかバトルシステムのどちらかが及第点に達していたなら、真面目な話、神作に認定していたかもしれない。
そのくらい、私のツボな作品でした。

たぶん、好みじゃない人がプレイしたら、☆2・60点とか、そんなレベル。
けれど、私はこのブランドとかんなぎれい氏の作り出したこの世界観・ヒロインが大好きだし、これからもこのセンスを持ち続けてほしいと思っている。
こういう「雰囲気」は誰にでも作れるものではないし、もし作れる人がいるのなら、もっともっとこういうゲームを作ってほしい。
そんな期待も込めて、ハナヒメ*アブソリュート!、★4・傑作評価とします。
批評空間ベースでは87点です。
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ゲーム [★★★★☆]
ハナヒメ*アブソリュート!

ゴールデンアワー まとめ

シナリオ

ゴールデンアワー。
日没後、光源となる太陽が姿を消しているため限りなく影のない状態が作り出される、薄明の時間帯。
色相がソフトで温かく、金色に輝いて見える。よく芸術的な写真が撮れることから、マジックアワーとも呼ばれる。

舞台が3年生の秋から冬にかけてであり、学園生活が残りわずかであること。
そして、メインヒロインであるユキに残された時間もわずかであること。
これらを含め、このゲームにおける「ゴールデンアワー」は象徴的な時間帯になっている。

まず、世界観が特筆すべき独特さと言っていいはず。
このゲームでは、舞台を限りなく「リアル」に近づけようとしているのだ。
主人公たちは渋谷で遊び、代々木公園でクレープを食べ、道玄坂へ行く(行ってないっけ?)。
だから制服も奇をてらわないスタンダードなブレザーだし、瑠璃もユキも髪を「染めている」のだ。

そんな舞台で紡がれる少年少女の物語は、切実なリアルが感じられる。
世界の危機も訪れず、超能力なんかない世界でも、もちろん彼ら彼女らには悩みがあり、それを正しく解決するのはとても難しいことなのだ。

ただ、期待していたようなテーマは、あんまり掘り下げてくれなかった。
私が期待していたのは「目標に挫折した主人公が、どう救われるのか」と「存在理由を求める少女」の二点。
もちろんシナリオ上で触れないわけではないのだけれど、そこをメインテーマにしたシナリオではなかったので。

個別ルート別評価
  瑠璃 ≧ ユキ > その他

瑠璃ルートが、この作品のリアルさを最も感じられるシナリオになっている。
もちろん主人公やヒロインの行動に気にくわない点がある諸兄もおられるとは思うけれど、まだ彼らは18歳なのだ。
それも含めて考えたら、やっぱりリアルだと思う。

ユキルートは、まぁグランドエンドに相当するものなので、それなりに力が入っている。
とは言え、ちょっと息切れしちゃった感もある。
でもユキちゃんはやっぱりかわいいからね、私がクーデレ好きなだけかもしれませんが。

その他の女の子たちは、好みで攻略したらいいと思います!

テキスト

ライターはMORE専属の人かな。
ちょいちょい誤字脱字が目立ったのが興ざめ。(パッチは当てたはずだよ?)

あと、ゴールデンアワーを説明してくれるユキちゃんのセリフがWikipediaの丸パクリってどういうこと?
こういうのでレポート提出しても採点しませんって大学の教授に言われなかった?
……まぁ、ゲームのシナリオを書いてから、ライターさんがWikipediaを編集した可能性はある。
だとしたら、2015年9月以前からこのゲームを書いていたわけで、それでこの完成度っていうのは、うーんどうなんですかね? って感じになっちゃうんですが、どうなんですかね?

ただ、時々印象的なセリフはあった。
私のお気に入りは、ユキちゃんのクールな優しさが詰まったこのシーン。
それでは、まずはサッカーを辞めた心の内を吐露する主人公。

「時間は掛かったけど、俺の怪我はもう治っていて頑張ってリハビリすれば復帰できるかもしれないって」
「でも俺は……辞めたんだ。頑張る事を辞めたんだよ」
「頑張ってもしサッカーが出来なかったら、出来ても以前のようにプレー出来なかったら……」
「怪我をして何か大事な事を失ったような気がして怖かったんだ」


それにこう返しちゃうユキちゃん。
これが彼女なりの励まし方なんだよなぁ……こういうことが言える子が大好きなんですけど、これってなに萌えなんでしょうか?

「……馬鹿じゃないの」
「別にサッカーが全てじゃないでしょ?」
「サッカーが出来なくなったくらいで終わったんだったら死ねば?」
「あんたはまだ始まったばかりじゃない」


声優

瑠璃ちゃんのCV:ヒマリ以外、あんまり印象的な人はいなかったなー。
下手ならそれはそれで印象に残るので、悪くないキャスティングだったのでしょう。
ヒマリの声もかなり好みは分かれそう。私は好きだけどね!

グラフィック

「グラフィックが綺麗なゲーム」タグがつきそう。
背景は丁寧だし、塗りも綺麗。
画力は……女の子はかわいいし、身体の描き方もエロいとは思うんだけど……なにかが物足りないような……。

イベントCGおよそ100枚というボリュームは、悪くない。
しかしヒロイン一人あたり15枚ほど割り当てられた一枚絵のうち、日常シーン用が4枚ほどって、ちょっと少ないような気がしなくもない?
ただ、Hシーンが少なくなるとそれはそれで文句が出るのだろうから、いろいろ難しいのかもしれない。

Hシーン

実用性はある。
あんまりオチンポオマンコ言ってはくれないものの、ライターの情動は十二分に感じられる。
こう、女の子を征服しちゃいたいなーって感じの!

グラフィック面も、深い挿入と浅い挿入の差分があるのは、痒い所に手が届く感じ。
きっとそのうち「うごくHシーン」が実装されるに違いないね!

音楽

ゴールデンアワーを「BGMの秀逸なゲーム」に入れてもいいですか?
というか、一曲だけマジで好みのBGMがあるんだよなぁ。
タイトル画面の「Insomnia」も悪くないんだけどね、「Neon Sign」が名曲すぎるでしょう。
それ以外はフツー。

ボーカル曲のクオリティも上々。
これはあれですね、プロデューサーが作曲家なやつですね。
ゲームの雰囲気がよく曲に反映されていると思います。

システム

まったく不満はありません。
バックログジャンプがあるのはナイス。

総評

2017年7月発売枠、「忘れられない青春を過ごす恋愛アドベンチャー」。
Hシーンも重視したシナリオゲー。

細かいところに粗はあるものの、全体的な雰囲気はとてもよい。
ただ、それは雰囲気ゲーとも言えてしまうわけで、そこから一段ステップアップするためには、やっぱり肝心な個所の説明描写が足りていなかったように思われる。
(特に、悪魔について)
(とは言え、現状で十分満足しているユーザーもいるようなので、私の読解力に問題がある可能性も?)

私の評価は★3・良作です。
批評空間ベースでは、73点。
このブランドには次回作も期待してみたいと思います。
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ゲーム [★★★☆☆]
ゴールデンアワー

ゴールデンアワー ユキルート

ゴールデンアワー、メインヒロインであるユキを攻略し、全クリです。
突然現れた謎のクーデレ少女であり、伏線の塊でもあり、このブランドが愛してやまない銀髪少女でもある。
そんな彼女の抱えていた事情が、もちろんこのシナリオ。

CVは、歩サラ。
茅原雪子(虚ノ少女)、綾崎優(僕と恋するポンコツアクマ。)でお世話になっていた声優さん。
今回の演技は、うん、まぁ普通でした。
照れたような「……ばか」がかわいい。

---

共通ルートからさんざん匂わせてきたとおり、ユキは元カノであり、しかし主人公はその記憶を失っていた。
ユキはずっと主人公を大切に思っていたけれど、彼女がこの世界にいられる時間にはタイムリミットがあった。
だから彼女は、主人公と、主人公を正しく幸せにしてくれるはずの夏未を恋仲にしようとしていたのだった。

けれど、主人公は自然とユキに惹かれていく。
それは毎日顔を合わせていたからでもあったし、ユキとの記憶を失っても、感情では彼女を覚えていたからでもあった。
そうしていつかの約束を果たされてしまったユキは、主人公の告白を受け入れる。
この世界にいられるのがあとわずかな時間だけだったとしても、ゴールデンアワーはやっぱり美しかったから。

---

キャラゲーとして見たときには、まったく悪くないシナリオ。
ユキちゃんのかわいさは十二分に発揮されていたと言っていい。
そうだね、赤ちゃんプレイのことだね!

いつもクールでデレる幅だってぜんぜん広くない。
けれど、エッチのときになると、妙に献身的になるのだ。

印象的だったのは、ユキとの初エッチのとき。
事件の前にユキはすでに主人公とエッチを済ませているわけだけれど、もちろん主人公はそのことを忘れていて、ユキが初めてじゃないことにひどく嫉妬するのだ。
そのときのユキちゃんの包容力ったら、もうね!
勢いで中出ししちゃっても「だらしないんだから、もう……」で許してくれるし、たまらないですって!

---

期待していたタイムリミット間際からの物語の「転」からの展開は、わりと凡庸。
ユキの言葉から、時系列通りに過去回想が挟まれ、主人公と夏未は記憶を取り戻す。
そして、主人公はユキからもらったものを返すことで、ゴールデンアワーは終わる。

残念なのは、その「記憶」関連についてのギミックが、どうにも説得力に欠けていること。
忘れたり、取り戻したり、ちょっと都合いい感じがしなくもない。
たしかに今回のはありがちな設定だからね、詳しく掘り下げるまでもないなってシナリオライターが判断したのかもしれないけど。
でも、このゲーム唯一のファンタジー要素なんだから、もっとリアル感が出るような説得力を持たせてほしかったかなーって。

「結」についても、もう一捻りあってもよかったような?
まぁキレイにまとまっていたから、これはこれでいいのかなぁ。

次回、総評。
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ゲーム [★★★☆☆]
ゴールデンアワー

夏の色のノスタルジア 文音ルート

積むとは言ったが、リタイアしたとは言っていない。
ということで二年越しに再開した、夏の色のノスタルジア。
とは言え、4ルートすべてをクリアしてまとめ記事を書ける自信がないので、とりあえず最初に総評っぽいことを言ってしまう。

このゲーム、実は面白いんじゃねぇの?

時間が止まった世界――エデン/ラビリンス――に閉じ込められた主人公たち。
そこは現実に居場所がない人だけに許される場所。
作られた永遠を望む少女と、本当の現実を望む少女。
本当に出たいと望むのなら出られるはずなのだが、いくら探しても出口は見つからない。
彼ら彼女らの居場所は、どこにあるのか――

この舞台設定から、少女が永遠/現実を望む理由、心に秘めていた闇/希望にスポットを当てる。
この手法はどこかで見たような気がしなくもないけれど、それでもやっぱりジュブナイル向きで、とてもスマートだと思う。

---

今回攻略したのは、ふんわりおっとりだけど世話焼きな年上の幼馴染・真乗寺文音嬢。
……こんな苗字だったんだ? 本編で一度でも出てきたっけな?

CVは、南里一花。一時期だけ活動していた声優さんっぽい?
演技は、普通にしてる時の声は普通にいいんだけど……ときどき不機嫌になる文音さんの声が本当に怖かった……。
迫真の演技だったとも言えるのかもしれないけど、コワイ声が素で普段のかわいい方が作ってる? とか思っちゃう私は、女性不信なんでしょうか。
ちょっと苦手でした。

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文音はまるで享楽的・狂信的とも思えるほど永遠を望み、エデンに迎合していた。
そんな彼女の「現実に居場所がない理由」「永遠を望む理由」が、文音ルートとなる。

そのシナリオ自体を評価するなら、☆3・良作レベル。
意外なところから伏線を拾い、彼女の心の闇を明らかにしていく。
コンドームのくだりはちょっとわかんなかったですけども、それでもきちんと筋の通った悪くないお話だったと思う。

けれど、この記事で取り上げるのはそこではない。
今回このルートを攻略したのは、2年前の妹ルートの記事に、文音ルートでの妹ちゃんの健気さについてのコメントをいただいたため。
その記事には「妹ちゃんがヤンデレ化してくれれば……」的なことを書いていたけれど、今回は「妹ちゃん、実はそれ以上にキテた可能性!」というお話をします。

---

ヤンデレが病んでると言われるゆえんは、自分の想いの発露たる行動が「非常識な行為だと認識できない」か「わかっていても理性で抑えきれない」からだ。
けれど美羽の場合は違う。「わかっていて、けれどそれをしなければならないと理性で判断した」のだ。
そして、自分の想いの強さを兄にアピールなどせず、「その行動を隠し続けた」のだ。
その隠した理由も、「妹がオカシイと知った兄に心配をかけたくない」「妹がその行動に至った原因を兄に知られたくない」から。
決して保身などといった自分本位な理由ではないのだ。

この判断はとても冷静で賢いものではあるが――やっぱりちょっとオカシイのも事実だ。
だって、それは文音が病んでしまうほどに重いものだったはずなのだから。

けれど、美羽はそれをした。
ヤンデレ並みに病んでるけれど、それを理性で抑えきれるほどの強さ。
なるほど、妹がサイコパスってのは、やっぱり新ジャンルかも!

「ねぇ諒人……美羽は、誰よりも諒人のことを大事にしてきたんだよ?」
「本当は、ずっとずぅっと黙っているつもりだった。でも……」
「今となっては、諒人の一番大事な人は恋人みたいだから。だったらもう……」

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[視聴中] ゲーム
夏の色のノスタルジア

ゴールデンアワー 夏未ルート

ゴールデンアワー、終盤の4ルート目は、広瀬夏未を攻略。
主人公が以前からほのかに憧れていたという学園のアイドルであり、いわば表のメインヒロイン。
清楚系・黒髪ロングという、正統派美少女なキャラクターです。

CVは、あじ秋刀魚。
朽木冬子(殻ノ少女)の印象がとても強い、実力派の声優さん。
今作では、キャラクターが無難な設定ということもあり、まぁ無難な演技だったでしょう。

---

夏未ルートは、「主人公の(とりあえずの)目標が、広瀬夏未と付き合うこと」「夏未も主人公に好意を抱いている」という設定上、ひどく無難なものに終始する。
つまり、主人公はフツーに夏未にコクり、夏未はフツーにOKし、フツーにエッチして、フツーにエンディング。

起伏があるとするなら、恋愛相談の一環としてユキとデートの練習をしている現場を、夏未に見られた点か。
「異性に恋愛相談をする」という行為が恋愛事情を複雑にすることについては皆さんも知っていると思うけれど、今回もそのあたりが少しのスパイス。
とは言え、夏未ちゃんも話せばわかってくれる子だったので、そこがこじれることもほとんどなく。
(ついでに、ユキちゃんにもタイムリミットがあるようだし、時間切れになってしまえば記憶から消えてしまうみたいなので、そのイベントが尾を引くこともない)

「起」の時点の謎でもあった、記憶にない夏未とのツーショットについての答えもないので、いささか退屈なシナリオ。
恋愛モノとしては、主人公にあんまり興味のなかった女の子を落としちゃう――なシナリオのほうが読み物として楽しそうに思えるけれど、おそらくはそう「できなかった」理由があるのだろう。
(リアル志向な本作では、できることならばそうしたかったはず)
そのあたり、物語の構造上の欠陥な気がしなくもない。

とは言え、夏未ちゃんは正統派ヒロインなので、そういう女の子がタイプな人には、フツーにギャルゲーとして楽しめそう。
夏未ちゃんなぜかおしっ娘属性ついてるしね!
ただ、私はシナリオゲーとしてこのゲームに期待していたので、求めているところがちょっと違った感は否めない。
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ゲーム [★★★☆☆]
ゴールデンアワー

ゴールデンアワー まりかルート

ゴールデンアワー、3ルート目は、幼馴染なツンデレ少女・北上まりかを攻略。
中学生のときに付き合っていたという「元カノ」な設定。ちょっとめずらしい

CVは、鈴谷まや。
木ノ本マヨ(恋愛0キロメートル)、妹口さや(お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか?)、吹(サクラノ詩)等でお世話になっていた声優さん。
演技については、んー、ふつうでした(小並感)

---

まりかルートも、街中でオッサンといるまりかを見かけたことで、なんだか気になりはじめちゃって突入していく。
こんなパターンばっかりだね、このゲームは。

瑠璃ルートは、彼氏のいる瑠璃と浮気相手な主人公――という構図だったけれど、今回はその逆。
彼女(候補)のいる主人公と浮気相手なまりか――という構図。
もちろんまりかも昔からずっと主人公のことが好きだったわけだけれど、海外留学で距離が離れたことや、主人公が幼すぎたせいで、二人の関係は自然消滅する。

大好きな人に尽くしたのに、相手は自分の気持ちに応えてくれない――
そういった視点で二人の関係を見てしまうと、一緒にいること自体がどんどんと辛くなっていく。
だからまりかは主人公との恋人関係をやめようとしたのだ。

けれど、好きな気持ちはそのままなわけで、好きな人に彼女ができそうなところを見ていると、このままでいるのも辛くなってしまう。
行き場のなくなった恋心は自分を傷つけ、相手も傷つけるもの。
そうしてついた傷を舐めあうように、二人は互いを求めるのだった。

---

こんなに閉塞感のあるエッチシーンばかりなギャルゲーってのも珍しいですよ!
まりかの気持ちには、割と共感できるように思う。
瑠璃ルートでも感じたような、必死に自分を騙そうとする少女の愚かさが、とても人間らしく感じられるからだ。

しかし、今回は主人公がちょっと主人公らしくなかった気がする。
夏未とまりかのどっちつかずのまままりかとエッチしちゃうことに違和感を感じたせいかもしれないし、夏未を振るシーンがなかったせいかもしれない。
そのせいか、まりかが好きだから側にいてほしい――ではなく、現状を変えるのが嫌だからまりかを側に置いておきたい――な気持ちが透けて見えてしまった気がした。

「大切!? ふざけないでよっ! ヨーロッパに行ってる間に散々放置したくせにっ!!」
「大切だから、私の事に口出したり。大切だからクリスマスにデートしてくれたって言うのっ!?」
「そんなの……大切なんかじゃないっ! あんたの……あんたの自己満足じゃんっ!!」

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ゲーム [★★★☆☆]
ゴールデンアワー

ゴールデンアワー すずルート

ゴールデンアワー、2ルート目には、黒髪ボブカットが愛らしい名取すずを攻略。
メインヒロイン(表)な広瀬夏未嬢と並ぶ、正統派美少女といった感じ。
モデルの卵な設定のせいか、おっぱいは大きい。

CVは、くすはらゆい。
遠野恋(夏空のペルセウス)、汐入玖々里(水葬銀貨のイストリア)などでお世話になっている新進気鋭の声優さん。
演技は安定していて悪くないと思います。光るところもなかったけど……。

---

すずルートは、ストーカー気質なファンから彼女を守ろうとすることで、自然と距離が縮まっていって、気付いたら突入してる。
(瑠璃ルートもそんな感じだったよーな……?)
(今回の主人公は、ずいぶんとお人よしなお節介さんみたいです!)

売れっ子になりつつあるすずの巻き込まれるトラブル云々のくだりは燃えたけれど、その後ルートに入ってしまえば平々凡々。
夢を掴もうとするヒロインと、それを一番近くでサポートする主人公――という、まぁありきたりなエンディングを迎える。

このシナリオにテーマを見つけるとするのなら、「サッカー部時代の主人公を知らない(という建前になっている)ユキ」と「サッカーをやっていた主人公に憧れていたすず」の対比。
開始時点で主人公への好感度がすでに閾値を超えているヒロインたちだけれど、すずの場合は「サッカー選手としての主人公」に好意を持っていた。
しかし、主人公は既にサッカーを辞めているわけで、過去と現在のズレをどう解決するのか? というところが、一つのポイントかもしれない。

とは言え、マネージャー業は主人公にとって「サッカーの代わりに努力できるものを見つけた」という位置づけで、ヒロインは「なにかに向けて努力している主人公が好き」というスタンスに鞍替えしたので、このテーマもやや曖昧なまま。
というか、ユキはサッカーしてる主人公を知ってるんだから、そもそも対比になってないんだよなあ?

それにしても、ボブカットってなんであんなにかわいいんですかね?
ホテルに誘っちゃうすずちゃんの一枚絵の艶やかさったら!
でも、ニットのほうの私服のイモっぽさはさすがにヤバイ。
モデルさんなんだから、もうちょっとセンスがほしい……。
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ゲーム [★★★☆☆]
ゴールデンアワー

ゴールデンアワー 瑠璃ルート

「やるんでしょ?」
「ああ。でも、今からか?」
「何言ってるの、丁度良い時間じゃない。ゴールデンアワー、知らないの?」


ということで、夏休み商戦の2017年7月発売枠(その1)は「ゴールデンアワー」をチョイス。
どこかで見た絵柄だなーっと思ったら「少女マイノリティ」と同じ系列のブランドだったのだね。
なるほど、銀髪スキーなんですね、いいと思います!

---

主人公は将来有望なサッカー選手だったが、怪我をきっかけにサッカーを続けられなくなる。
しかし、サッカーの代わりになる目標もなく、日常を漫然と浪費するようにして高校3年の秋を迎える。

そんなとき、スマホのアルバムの中に撮った記憶のない写真があることを見つける。
それはひそかに憧れていたクラス一の美少女、広瀬夏未とのツーショットだった。
そして、街で広瀬夏未にそっくりの少女・ユキに出会い――彼女は言った。

「私があなたの恋を応援してあげる」
「安心して、私に任せれば全て解決するわ。あんたの恋なんて5秒よ」


---

まず攻略したのは、金髪おさげが可愛らしい七北田瑠璃から。
なぜだか(それとも二次元世界のお約束として?)主人公の周りの女の子たちはみんな主人公のことが好きなのだけれど、それは彼氏持ち設定な瑠璃ちゃんも同じく。

サッカー部のマネージャーだった瑠璃は、その頃からずっと主人公を好きだった。
しかし、主人公が脈ナシなことを悟った彼女は、他の人からの告白を受け入れることで、主人公への思いを断ち切ろうとする。
そうして付き合いはじめた二人を、あまり興味もなく見守っていた主人公だったが、彼氏のほうは瑠璃の身体だけが目的だったことを知ってしまう。
女の子としては興味がなくとも、瑠璃はずっと部活をしてきた仲間で、友達だった。
そんな彼女を放っておけず、主人公は動きはじめるのだった――

――というシナリオ。
感想を一言に凝縮するなら、このお話はギャルゲーっぽくない!
そもそも、ヒロインに彼氏がいるとか、その時点で発狂する人がいそう。
(いちおうキスもまだっぽいけど……)

そして、主人公がヒロインの浮気相手となり、そして主人公は正ヒロイン(夏未、あるいはユキ)から寝取られる形で瑠璃ルートに突入するのだ。
うーむ、主人公がヒロインに寝取られるギャルゲーとか、斬新すぎない??

……こうやって文字にすると、まるで最低主人公とビッチヒロインのお話みたいに見えるかもしれない。
けれど、もし私たちが主人公の立場に立ったとき、本当に瑠璃ちゃんを拒絶できるのか?
この恋は思い出にするから、最後にキスして――
そう懇願されたとき、この健気に一途な少女を袖にできるのか?
そして、本当にキスだけで終わらせられるのか?

口では綺麗ごとを言いながらも、生々しい欲望を抑えきれないヒロイン。
過ちを犯しているとわかっていながらも、肉欲の誘惑に引きずり込まれる主人公。
そして、「両想いな二人」になったはずなのに、たった一つボタンを掛け違えてしまっていたせいで、すべてが「間違い」になってしまう閉塞的な状況。
山場からオチへの繋げかた(浮気バレからのPK勝負)はさておき、瑠璃ちゃんとの浮気エッチにハマっていってしまう過程には、切実なリアルを感じた。

---

瑠璃ちゃんのCVはヒマリ。
そのせいで唐突に瑠璃ちゃん凌辱展開が来るんじゃないかと気が気じゃなかった。
このユーザー心理まで想定してのキャスティングだとしたなら、マジで術中にハマってしまった感じです!

そのヒマリボイスは、軽くミスマッチなところが逆にクセになりそう。
(艦これで言う初霜みたいな?)
ノリが軽すぎるイマドキの女子高生っぽさがちょーヤバいんですけど?
(まぁ私が女子高生だったのは3世紀くらい前なので、瑠璃ちゃんが本当にイマドキかどうかは保証できません!)
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ゲーム [★★★☆☆]
ゴールデンアワー

FLOWERS -Le volume sur automn- (秋篇) その2(まとめ)

春篇の感想はこちら、夏篇の感想はこちらから。

シナリオ

「……ねぇ考崎君。どうしても手に入れたいものが二つあったらどうする?」


秋篇では「停滞」と「変化」が一つのテーマになっている。
そのために用意されたのが、春篇でも一要素として取り上げられていた三角関係である。

本当は恋人になりたいけれど、今の親友という関係を崩してしまうのが怖くて、一歩が踏み出せない――
こんなのはどこにでもある話だ。

譲葉は、変わりたいけれど変わることが恐ろしかった。
ネリネは、変わることそのことを恐れていた。
だから二人はずっとこの距離のまま停滞し続けてきたのだ。

けれど、林檎が一歩を踏み出すことで、否応なしの変化が訪れる。
(林檎が変化を恐れなかったのは、決して彼女が勇気ある少女だったからではない。
 自分を変えられるきっかけを待ち望んでいたのだ)

すべてを受け入れてくれる林檎との優しい関係か、実らないかもしれないネリネへの初恋か――
選択を迫られたとき、千鳥は言うのだ。

「私は、どちらかを必ず選ばないといけないと為ったら迷いません。自分の心に従います」
「私の好きなあの子の言葉を借りるなら“誰にでも佳い顔なんて出来ない”ということだと思います」

「一歩を踏み出すのは誰でも怖い。でも、踏み出さなかったら、ずっと同じ場所でとどまってしまう――」
「それは選ぶ側も、選ばれる側も損なわれる行為ではないでしょうか?」


---

こういったテーマのシナリオゆえに「停滞し続けている関係を、最終的に変化させる」というストーリーにせざるを得ない。
そのせいで物語に起伏が少なく、やや退屈気味だったかもしれない。
(もちろん様々なイベントは起きるが、ヒロインたちの関係性に大きな変化が起きない――という意味で)

ちなみに、豆腐メンタルな私的には、林檎エンドがお気に入りです。
年下女房は年上のように、年上女房は年下のように。
甘えさせてくれる林檎と、甘えっ子な譲葉のカップルは、とってもお似合いだと思うのです!

テキスト

シナリオライターは同じなので、基本は夏篇以前の評価に同じ。
今回、テキスト的に特筆すべき点は特になかったよーな気がします。

グラフィック・ムービー

とにかく譲葉とネリネは写真写りが良すぎるんだよなぁ。
そのせいもあって、OPムービーの出来がハンパないことになっている。
特に、曲名が出るところの二人の「虹の魔法」のCGと、アウトロの「天体観測」のCGのキラキラっぷりがヤバイ。

あとは、過去回想CGの使いかたが上手い。
最初のタイトルコールではネリネの騎士のように譲葉を置いておいて、サビに入ったところで「幼少期:譲葉の手を引くネリネ」を出し、そして「現在:ネリネの手を引く譲葉」を見せる。
もう完璧な物語性ですね!

立ち絵と一枚絵を基本としたスライドショー形式のOPムービーとしては、全ギャルゲーの中でも最高峰の出来と言っても過言ではないかもしれない。
というか、イノグレはいつもOPのクオリティが高すぎる。

音楽

OP曲はシンプルに名曲だけれど、その挿入歌としての使いかたが上手過ぎる。
作中では、この「虹の魔法」がオズの魔法使いの「虹の彼方に」に充てられて、二人の思い出の曲になっているのだ。
その二重唱のシーンも、単純にアレンジとしての完成度も高く、うーん、まりのさん結構歌上手いんじゃないですか! ねえ?

それ以外のED・BGM等はふつう。

声優・システム

こちらの評価も夏篇に準じます。

総評

「百合系」とは言うけれど、譲葉はボーイッシュなキャラクターなので、あんまり百合感は強くない。

ちなみに「ミステリィADV」要素の進展は、ほとんどなし。
「真実の女神」に通じる「アガペのタルパ」という七不思議が明らかになり、七つすべてが出揃う。
これがマユリ消失の鍵になっているらしいのだが……冬篇ってけっこうサスペンス要素強めなんですかね?

ところで、春篇での私は蘇芳ちゃんにベタ惚れしていたけれど、それは「主人公」としての彼女が好きだという話。
「ヒロイン」としてなら、CV:洲崎綾な千鳥ちゃんがナンバーワンなのです。
そして、えりかちゃんもかなり上位なお気に入り。
なので、まるでアフターストーリーみたく「ちど×えり」の出番の多い今作は、もーたまらないですって!
(それにしてもチドリンはちょっと丸くなりすぎ感はあるけど!?)
(完全に恋する乙女なんですよねぇ……)

私の評価は、★4・佳作入選。
シナリオ的には良作の域を出ていないが、グラフィック・音楽・ムービー等のビジュアル面が秀逸。
批評空間ベースでは、80点です。
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FLOWERS

FLOWERS -Le volume sur automn- (秋篇) その1(シナリオレビュー)

一年越しの2016年5月枠、FLOWERS・秋篇をプレイ。

今作では、八代譲葉が主人公、小御門ネリネがメインヒロイン。
サブヒロインとして、沙沙貴姉妹が充てられている。

今作では、この「FLOWERS」という作品に対するシナリオライターの哲学が明らかになっている。
春篇での、蘇芳を脅して恋人にする立花。
あるいは秋篇での、譲葉を口説き落とす機会を逃さなかった林檎、林檎に代償行為を求めてしまった譲葉。
ヒロインは清く正しく描かれるのが大概のギャルゲーなのだが、この作品においてはなぜか違うのだ。

たしかに、人は過ちを犯す生き物だ。
けれど、なぜヒロインにそんなに大きな過ちを犯させるのか?
それを端的に言い表したのが、譲葉のこの台詞。

「人というのは時折、醜い顔を覗かせることがある。そいつがない人間なんていないんだ」


おそらく、これがこのゲームのテーマの一つだ。
ヒロインたちは、皆少しずつの欠点を持ち合わせている。
そして、その欠けた部分を埋めようと、少しずつ利己的な行動を取ってしまう。
今回、その人間臭さがもっとも顕れていたのが、幼少期のネリネだ。

ネリネの「罪」は、友情を試し、信仰を強要したこと。
ネリネは謝罪はしたけれど、そもそもそれを罪だと思っていない譲葉は謝罪を受け入れなかったし、だからネリネに罪を償う機会も与えられなかった。
いずれのルートでもそのまま物語がエンディングを迎えてしまうことに、納得できていない諸兄姉もいるかもしれない。
(罪を犯したのなら罰を受けなければならないはずなのに、なぜ?)

しかし、幼い頃のネリネの行為を「罪」だと思う心こそが、ライオンの言う「臆病さ」そのものなのだ。

---

夏篇ではグリム童話を下敷きにしていたが、秋篇で扱われていたのはオズの魔法使い。
譲葉は自分を「心のないブリキ」に、ネリネを「臆病ライオン」に喩えていた。

オズの魔法使いで、ライオンは「自分が臆病なことを知っている限り、それは確かな不幸せだ」と言う。
いくらライオンが凶暴な獣だと皆から恐れられていても、自分がどう思っているのか、それこそが真実なのだという。
ネリネも(本当に罪を犯したかはさておき)罪を犯したと思っている限り、幸せにはなれない。

小御門ネリネは己が罪を背負っていることを知り、それをひた隠しにしている。
私はそれを卑怯だとは思わない。ただ臆病なのだと思う。
だが、臆病なことの何が悪い?
踏み出せない、勇気がなく口に出せない事なんて誰だってある。
だから私は――


だから譲葉は、臆病な彼女に代わり、勇気を振り絞る。
譲葉が自分をブリキだと言うのは、自分の心を殺し続けてきたから。
ネリネとの、あるいは両親との関係のなかで、「自分の望む自分らしい自分」ではなく「他人が望む八代譲葉らしい自分」になろうとしていたからだ。
けれど、そうやって心を無くそうとしてきた譲葉は、臆病な彼女のため、「自分の望む自分」になることを決意するのだ。

「ネリーにとっての真実と、僕にとっての真実は違う。同じ物でも視ている側にとって真実なんてものは別の顔をみせる」
「君は自分の行ったことを悔いているようだが、僕には救いだった。逃避? 違うね、天啓だよ」


たしかに、幼い頃のネリネにとって譲葉は大勢の友達の一人でしかなく、ちょっと構ったら思った以上に懐いてしまったことが楽しくて、ペット感覚で可愛がっていただけだった。
けれど、譲葉からすればどうだろうか。
転校を繰り返した結果、消極的で内向きな性格になってしまった譲葉。
愛情表現の苦手な両親と、一人の友達もいない学校。
居場所のなかった彼女にとっては、どんな思惑であれ、一緒にいてくれるネリネの存在は計り知れないものだったのだ。

傲慢は七つの大罪にも数えられているけれど、結果的にその行為は譲葉を救っていた。
ならばそれは本当に「罪」なのか?

その答えは、足を挫いて動けなくなった譲葉を迎えに来たネリネの姿にあると、私は思う。

「かかとを三度鳴らしたら、助けに来る。そう約束したでしょう」


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一つの事実を異なる側面から見たとき、真実は多様な姿を見せる。
この作品では、動機的にではなく、結果的にその事実がどう作用したのか――そこに結論を求めていた。
たしかに、仮にそれが悪意だったとしても、結果的に彼女が救われていたことこそが真実かもしれない。
私としても、そこに異議を唱えるつもりはまったくない。

……ところで、私は似たようなシチュエーションが用意されたゲームをやったことがある。
そして、そこで出された結論は、まったくの正反対だったような気がするのだ。
いやはや、これはどうしたことなんでしょうかねぇ……?
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